雲雀市の不思議な世界
本作の舞台である雲雀市は、街並みこそ現代の日本に非常によく似ているが、日常的にお化けが現れたり、自在に伸縮する謎の生き物「ツチネコ」が闊歩(かっぽ)したりと、不思議な現象にあふれている。さらに、22世紀からやって来たと名乗る探偵のライモンは、異なる言語での会話を可能にするこんにゃくや、壁の中に家を作るポスターなどを駆使し、雲雀市に潜伏する四人の仲間を捜索している。現実世界に似ていながらも、明らかに異なる法則で成り立つこの独特の世界観が、本作の没入感を一層深めている。
雲雀市の七不思議が世界の謎へとつながっていく
ヨキたちは、夏休みの自由課題として「雲雀市の七不思議」を選んだ。それは、不思議に満ちたこの街の中でも、特に奇妙な七つの現象を指している。しかし調査を進めるうちに、ヨキたちは衝撃的な事実にたどり着く。雲雀市自体が、かつてライモンたちが大学の研究で作り上げた箱庭世界「ビバリウム」であり、自分たちはそこで培養された実験体だったのだ。彼女たちはその事実に動揺しながらも、まず七不思議の謎を解明し、その後に世界の真実に挑むことを決意する。
絶望の中で未来を模索する
調査を続けるヨキたちは、ライモンの故郷が恒星間戦争によって滅亡の危機に瀕していることを知る。次々と突きつけられる過酷な現実を受け止めながら、彼らは実現可能な未来を模索し始める。逃げ出したくなるほどの絶望的な破滅を前にしても、人はなお未来に希望を抱き、楽しみながら生きることができるのか。この根源的な問いこそが、本作を貫くテーマとなっている。
登場人物・キャラクター
木花 ヨキ (このはな よき)
雲雀小学校に通う6年生の女子。茶髪をショートヘアにしている。くじ付きのアイスを買うと必ず当たりが出るほどの強運の持ち主。夏休みの自由課題として、多児ミコトや櫛田キクリと共に雲雀市の七不思議を調査している。その中の一つである「ノッポマン」と呼ばれる男性、ライモンが未来から来た探偵であることを知り、好奇心から彼の助手になることを決めた。それ以来、ライモンを慕い、未来人の捜索に協力している。ライモンに対して淡い恋心を抱いている様子で、彼が一度未来へ戻った際には、もう二度と会えないかもしれないと涙を流すなど、少女らしい一面も垣間(かいま)見せた。夏休みが始まる直前には、Qちゃんと名付けたお化けから不思議な鍵を渡されている。
多児 ミコト (たじ みこと)
雲雀小学校に通う6年生の女子。白髪の猫耳のようなショートボブヘアにしている。宇宙飛行士になることを夢見ており、視力の大切さを強く意識しているため、図書館には絶対に行かないという信念を持っている。夏休みの自由課題として、ヨキやキクリと共に雲雀市の七不思議を調査している。また、自信に満ちた強気な女性にあこがれており、ライモンの仲間の一人、ステラに強く惹かれている。
櫛田 キクリ (くしだ きくり)
雲雀小学校に通う6年生の女子。藍色のロングヘアを一部サイドテールにまとめている。大地主の家系に生まれ、非常に広大な邸宅に住んでいる。夏休みの自由課題として、ヨキやミコトと共に雲雀市の七不思議を調査している。サラリーマンや公務員以外の大人を変質者予備軍と考えており、ヨキとノッポマンがいっしょに歩いているのを見かけた際には強く警戒していた。また、ヨキに対して恋愛感情を抱いている様子が見られ、ライモンの道具でヨキの体と自分の体を合成した際には性的な興奮を覚えていた。ライモンの仲間の一人、オービットを食客として自宅に迎え入れた。ヨキからは「キクリン」と呼ばれている。
ライモン
22世紀から来たと名乗る探偵。男性の姿をしているが、人間ではなく、自我を持つ自立型AIである。長い髪をうなじでまとめ、前髪で目元が隠れている。雲雀市の七不思議の一つ「ノッポマン」として知られ、子供を誘拐する怪人だと噂されていた。大学時代には境界(フリンジ)科学を専攻し、異なる言語間での会話を可能にする「対話こんにゃく」や、壁の中に家を作るポスター「壁紙シェルター」など、さまざまな自作の道具を持っている。現在は雲雀市に潜伏し、四人の仲間を捜して22世紀へ連れ帰ることを目的としている。偶然にもヨキを助手に迎えたが、彼女の好奇心や探究心、そして善意を高く評価し、信頼を寄せている。
書誌情報
ビバリウムで朝食を 全4巻 秋田書店〈チャンピオンREDコミックス〉
第1巻
(2022-07-20発行、978-4253238878)
第2巻
(2023-09-20発行、978-4253238885)
第3巻
(2024-10-18発行、978-4253238892)
第4巻
(2025-11-20発行、978-4253007290)








