ブレイド＆バスタード

本作は、サーテック社のゲーム「ウィザードリィ」シリーズを基にしたファンタジーRPG風のダークな世界観で、謎に満ちた「迷宮(ダンジョン)」を舞台にした冒険譚。作中には呪文やキャラクターなど、「ウィザードリィ」シリーズのファンであれば、より楽しめる小ネタや設定が盛り込まれている。本作における迷宮は、自然に構成された洞窟とは異なり、かつて何者かによって築かれた古代遺跡のような大規模な地下施設を指す。誰がなんのためにこの迷宮を作ったのかは不明だが、突如として復活したこの場所には、富や名声、武勲を求めて「冒険者」と呼ばれる者たちが挑むようになった。迷宮は複数の階層に分かれ、下層に進むほど危険な罠や怪物が待ち受けており、攻略の難易度も高くなる。

かつて誰も足を踏み入れたことのない迷宮の奥地で命を落とし、寺院で蘇生されたものの記憶を失ったイアルマスは、迷宮内で死亡した冒険者たちの死体回収を生業としている。イアルマスは人の生死に頓着せず対価を求め続ける無情さから人々に蔑まれる一方で、蘇生に成功した数少ない人間として、ほかの冒険者たちから一目置かれていた。そんなイアルマスは、自分自身の記憶を取り戻す手掛かりとなる情報や、かつての仲間を捜しながら孤独に死体回収を続けていたある日、迷宮内で多数の怪物に囲まれていた謎の少女・ガーベイジを救出する。地上に戻ったイアルマスは知り合いの冒険者を通じて、ガーベイジがかつて怪物に敗北して壊滅したパーティの唯一の生き残りであり、「怪物の食べ残し」と呼ばれていることを知る。

人語を話さず、野生児のようなガーベイジは詳細な生い立ちも不明であり、怪物の脅威から唯一生き残った理由も謎に包まれている。そんなガーベイジは、次第にイアルマスに寄り添うようになり、孤独と灰に覆われていた彼の日常は、彼女との交流を通じて変化していく。当初は、イアルマスとガーベイジの二人だけで迷宮を探索していたが、追放された若き盗賊のララジャや、陽気な自由騎士のセズマールをはじめとする個性的な冒険者たちをパーティに迎え入れ、未知の領域に挑む中で迷宮自体の謎を解き明かしていく。迷宮に潜む危険な怪物たちとの緊張感あふれるバトルや、冒険が進むにつれて少しずつ明らかになっていくイアルマスの過去やガーベイジの秘密も、見どころとなっている。