ペンションライフ・ヴァンパイア

ペンションライフ・ヴァンパイア

音楽家としても活躍する田口囁一の代表作の一つ。舞台は「カタラレ」と呼ばれる怪物が存在する現代の日本。カタラレに対抗する術を身につけた少女、直理エリが、吸血鬼のヴェローニカが経営するペンション「フィーヴァードリーム」で働く姿を描いた異文化交流コメディ。寿命や文化に大きな隔たりがあるエリとヴェローニカが、種族の壁を越えて絆を深めていく過程が丁寧に描かれており、シスターフッドの要素が色濃く表現されている。集英社「少年ジャンプ+」2023年17号から2024年15号まで配信の作品。

正式名称
ペンションライフ・ヴァンパイア
ふりがな
ぺんしょんらいふ ゔぁんぱいあ
作者
ジャンル
ファンタジー
 
その他ギャグ・コメディ
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊4巻
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超常の怪物「カタラレ」との戦いが終結した世界

人間の想像から生まれた怪物たちは「カタラレ」と呼ばれている。彼らは「人間の恐れ」を力の源とする超常的な存在であり、その生態は自然の摂理から切り離されている。吸血鬼や人魚、ドラゴン、鵺(ぬえ)など多種多様なカタラレが確認されており、それぞれが独自の国家や文化を築いている。一方で、人間社会に溶け込んで暮らす個体も存在する。しかし、文明の発展と共にカタラレを恐れる人間の数は減少し、それに伴い彼らの勢力も衰退していった。かつては積極的に人間を脅かし、失われた力を取り戻そうとする過激なカタラレも現れたが、50年前に人間とカタラレの争いを禁じる協定が結ばれ、冷戦時代へと突入した。その後、正式に講和条約が締結され、終戦を迎えた。

お役御免になった「改訂官」と新時代を担う「再話師」

「改訂官(リライター)」は、宮内庁外局の極秘行政機関「東京御伽局」に所属する国家公務員である。正式名称は「東京御伽局機動隊」で、対カタラレ特殊戦闘員としての任務を担っていた。隊員の多くは身寄りのない少年少女で、隔離された環境の中で義務教育と並行して9年間にわたる厳しい訓練を受けている。これは幼少期からカタラレに対する認知力を高めることを目的としており、カタラレのタイプに応じた対処法や銃器の扱い、気配の隠蔽など多岐にわたる技術を叩き込まれる。しかし、冷戦状態が50年続いたため、エリの世代は主にAR訓練に専念しており、実戦経験はほとんどない。その後、講和条約の締結により御伽局は解体され、隊員たちは日常生活へと戻っていった。終戦後の種族間トラブルの対応は、人間とカタラレが共同で運営する「境界公安委員会」の構成員、通称「再話師(リテラー)」が担っている。

吸血鬼が経営するペンション「フィーヴァードリーム」

ペンション「フィーヴァードリーム」は、吸血鬼のヴェローニカが亡き友人から受け継いだ建物を活用して開業した宿泊施設である。空想から生まれた怪物「カタラレ」と人間を区別せずに受け入れ、両者の交流をうながし、共存を目指している。しかし現状では、人間の宿泊客は一人も訪れていない。当初はズボラな性格のヴェローニカが一人で切り盛りしていたため、施設は荒れ放題だったが、エリが働き始めてから環境が改善され、徐々に客足も伸びつつある。それでも経営は依然として厳しい状況が続いている。さらに「妖怪を見た」「遠吠えが聞こえた」といった噂が絶えず、近隣住民からは「化け物ペンション」と呼ばれ、地域を管理する三珠銀座商店街の会員からも煙たがられている。なお、ペンションの外観は愛媛県松山市に実在する「旧濱田医院」をモデルにしている。

登場人物・キャラクター

直理 エリ (すぐり えり)

迷信から生まれた怪物「カタラレ」に対抗する術を身につけた、元「改訂官(リライター)」の少女。前下がりのボブヘアで、「荒れ野に咲いた一輪の花」と称される美貌の持ち主。局内ではファンクラブが存在するほどの人気を誇っていたが、友人は一人もいなかった。実戦経験こそないものの、文武両道で統率力とカリスマ性を兼ね備えている。改訂官を統括する「東京御伽局」の解体に伴い罷免され、教官の助言を受けてふつうの高校生として第二の人生を歩み始めた。なんでも背負い込んでしまう性格が災いし、クラスでは孤立していた。そんな中、吸血鬼のヴェローニカとの交流を通じて他者に頼ることを覚え、次第に心を開いていく。改訂官の肩書きを失ってもなお、カタラレから人間を守る使命を自覚し、放課後は監視の名目でヴェローニカのペンション「フィーヴァードリーム」を手伝っている。持ち前の記憶力で業務にもすぐに順応したが、世間知らずな一面が玉に瑕(きず)。のちに「境界公安委員会」の「再話師(リテラー)」と出会い、その仕事に興味を抱くようになる。

ヴェローニカ

迷信から生まれた怪物「カタラレ」の女性。愛称は「ニカ」。長い銀髪と尖った耳、鋭い犬歯が特徴で、意地っ張りな性格をしている。ラフなパーカーなどのカジュアルな服装を好み、外出時にはキャップをかぶることが多い。見た目は小学生とカンちがいされるほど幼いが、実は1000年以上も生きている。その正体は、かつて名君として知られた吸血鬼の元女王である。現在は妹のエステルが国を治めているが、ニカには多くの信奉者がいる。人間からも「最強の吸血鬼」「カタラレ社会に強い影響力を持つ最重要人物」として認識されており、人間側の組織「東京御伽局」の特別顧問を務めた経験もある。かつては人間嫌いであったが、ある女性から「時間や文化の共有が相互理解の第一歩」と教えられたことで、人懐っこい性格に変わった。現在は亡き友人との約束を果たすため、ペンション「フィーヴァードリーム」を経営している。しかし、ズボラな性格で繊細な作業が苦手なため、経営状態は芳しくない。カタラレに関する知識を持つエリを従業員として雇い、宿を盛り立てようと奮闘している。

書誌情報

ペンションライフ・ヴァンパイア 4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2023-07-04発行、978-4088835358)

第2巻

(2023-10-04発行、978-4088836393)

第3巻

(2024-03-04発行、978-4088836997)

第4巻

(2024-04-04発行、978-4088840048)

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