マザーキーパー

時は遥か未来。この世界では「アーマゲドン」と呼ばれる大火により、人類の栄光の時代はすでに過去のものとなっていた。汚染された世界は荒野と砂漠と化すが、唯一「EDEN」と呼ばれる巨大ドームの都市だけは水も食料も豊富で、別世界のように発展し、まさに楽園とも言える場所だった。しかし、すべての人間が住めるわけではなく、EDENに住む者とEDENの外に住む者とでは深刻な格差が生まれていた。この格差は怒りと憎しみを呼び、それは新たな戦争の火種となり、人は滅びの時代を迎えてもなお、お互いを憎み争い合う運命から逃れられずにいた。

「EDEN」に住むことのできない人々は、いつしかEDENが自分たちを見捨てたと思い込むようになる。そしてEDENに対して強い憎しみを持つ者たちによって、各地で「レジスタンス」と呼ばれるテログループが結成される。リカルナ=フォルドーはレジスタンスの若きエースで、EDENの中枢であるマザーコンピューターを破壊する任務を受けていた。だが、リカルナはEDENに捕らえられ、サイボーグ「マザーキーパー」に改造されてしまう。否応なくEDENのために働くことになったリカルナは、戦いの中で自分が流されるままレジスタンスとして戦っていただけで、何の目的もなかったことに気づかされる。しかし、リカルナは戦いに身を投じる運命にあり、彼は運命に足搔き、苦しみながらも己の向かうべき道を模索する。

リカルナ=フォルドーはサイボーグに改造され、EDENを守るマザーキーパーとなる。しかし、リカルナの妹のレナード=フォルドーは兄がEDENに殺されたと思い込み、EDENへの復讐（ふくしゅう）を誓う。そしてレナードは10年の歳月をかけ、厳しい鍛錬を重ねて強くなり、レジスタンスとなってEDENを襲撃するが、そこで対峙（たいじ）したのはサイボーグとなったマザーキーパーの兄だった。しかし憎しみのあまり、判断力が鈍ったレナードは兄とは気づかず、リカルナはその数奇な運命に愕然（がくぜん）とする。お互いを思いながらもすれ違い、敵味方となって戦う兄妹の行く末は、やがて大きな運命のうねりとなって世界を揺るがすこととなる。