ミハルの戦場

本作の舞台である旧日本国は、2027年に勃発した3度目の世界大戦の影響で主権を失い、複数の国や国際機関によって分割統治されている。大戦後も海洋資源を巡る争いが各地で絶えず、混沌とした情勢が続いている。特に、かつて日本に暮らしていた人々は、わずかな報酬と引き換えに捨て駒のように扱われるなど、過酷な状況に置かれている。天才狙撃手のミハルもその一人であり、日本占領軍の兵士に居場所を奪われた彼女は、復讐を胸に日本国政府主権維持軍の一員として彼らに立ち向かう。

日本国政府主権維持軍は、かつての日本政府による統治の復活を目指す軍事組織。旧埼玉県、旧長野県、旧群馬県を中心とした地域を拠点に、現在は主に各地の紛争や小規模な衝突への介入・調停、そして周辺地域の治安維持にあたっている。しかし、将来的には占領下にある地域の解放を目標とし、軍備の強化を進めている。構成員の多くは世界大戦以前から軍に所属していた日本人だが、ルイーズ少佐のような外国籍の軍人も在籍している。また、戦力増強の一環として保護した戦災孤児を兵士として育成しており、ミハルのような少年兵も増加傾向にある。

家族を失ったミハルは、日本国政府主権維持軍に保護され、スナイパーの訓練生として日々技術を磨いていた。しかし、彼女には心理的な問題があり、500メートル以上の距離で狙撃する際に照準が右上にずれてしまうという弱点を抱えていた。そんなある日、ミハルは炊事係のショウと出会う。上官・ルイーズの指示で、かつて「音越の悪魔」と呼ばれた元狙撃手であるショウに助言を求めたミハルは、半信半疑ながらも彼のアドバイスを実践し、命中精度が劇的に向上する。この出会いをきっかけに、互いの実力を認め合った二人は、やがて狙撃班「音越の悪魔」を結成することになる。