モングレル

モングレル

村瀬克俊の代表作の一つ。キックボクシングジム「Stroke's」を舞台に、元体操選手の飛島晴亘がキックボクシングに本格的に取り組み、並みいるライバルと激闘を繰り広げる新世代格闘ドラマ。タイトルの「モングレル」は「雑種」を意味しており、かつて体操選手として活躍していた晴亘が挫折を味わうことを比喩している。そんな晴亘がコンプレックスを払拭し、努力の果てに成長していく姿が痛快なタッチで描かれる。集英社「週刊ヤングジャンプ」2013年33号から2014年20号にかけて掲載の作品。

正式名称
モングレル
ふりがな
もんぐれる
作者
ジャンル
格闘技・武道
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
巻数
全4巻完結
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元体操選手がキックボクシングに挑戦

晴亘は少年時代に体操の世界で輝かしい成績を収めていたが、弟の照平との実力差を痛感し、やがて体操をあきらめてしまう。その後はボクシング、空手、水泳と、さまざまなスポーツに挑戦したが本気になれず、軽い気持ちでキックボクシングジム「Stroke's」に通い始める。だが、入会当初はあくまでストレス解消以上の意味を見出せず、会長の吉光龍生から試合に出るよう勧められても乗り気になれないでいた。そんな中、晴亘は会長から練習生の小菅健太郎とのスパーリングを頼まれる。晴亘は自分より明らかに弱い小菅を圧倒するが、小菅の得意なハイキックを受けてKOされる。吉光から、小菅がいかに努力を重ねてきたかを聞いた晴亘は、努力の大切さを認識して、キックボクシングに本気で取り組むようになる。

キックボクシングジム「Stroke's」の仲間たち

晴亘が所属するキックボクシングジム「Stroke's」には、センスのなさを練習量で補っている小菅や、センス抜群ながら練習嫌いな根津誠など、個性的な会員が通っている。晴亘は彼らと共に練習を重ねることで、肉体的にも精神的にも大きく成長を遂げる。ジムの会長である吉光は、かつて一世を風靡(ふうび)したカリスマボクサーで、ふだんはノリがよく気さくな性格で会員たちからも慕われている。だが、練習メニューはスパルタそのもので、晴亘の拳や脛(すね)の皮が剝けるほど厳しく指導している。吉光のキックボクシングにかける情熱は「Stroke's」のみならず、ほかのキックボクシングジムの関係者からも、よくも悪くも注目を集めている。

晴亘の前に立ちふさがる強力なライバルたち

晴亘は練習を重ねて試合への出場を決意するが、デビュー戦の相手は業界が注目する、負け知らずの大型ルーキー、相馬鉄平。相馬は既にプロレベルにあるハードパンチャーで、試合前から吉光に「まともに戦ったら勝つ可能性は10%」と言われるが、土壇場で一か八かで繰り出したハイキックで晴亘は勝利を収める。そして2戦目の相手は、ムエタイをベースにした独自のスタイルで、強力な膝蹴りを得意とする三傑の一人、蒼井竜太。試合は徐々に地力の差が出て晴亘は右腕を潰され、絶体絶命のピンチに陥ってしまう。だが、ライバルとの戦いや仲間たちとのトレーニングを糧に成長した晴亘は、体操で培った空間認識能力や得意とするカウンター技を活かして、次第に戦いのペースを掴んでいく。

登場人物・キャラクター

飛島 晴亘 (とびしま わたる)

フリーターの青年。年齢は20歳。かつて弟の照平と共に体操選手として活躍していたが、弟との才能の差を思い知り、体操をあきらめてしまう。現在はさまざまなアルバイトに励みながら、キックボクシングジム「Stroke's」に通っている。当初は、体操を辞めた挫折感から無為に日々を過ごしていたが、小菅とのスパーリングをきっかけに努力の大切さを知り、キックボクシングに対して真摯に取り組むようになる。弟の照平が体操選手として大成したことを喜びつつも、内心ではコンプレックスを感じており、照平とはどこかぎこちない関係になっている。だが、キックボクシングの練習や試合を通じてコンプレックスを払拭し、晴亘自身はキックボクシングで、照平は体操で世界一を目指すべく、互いを応援し合う仲になる。何かと理由をつけては酒を飲んでいたが、キックボクシングを始めてからは渋々控えている。

小菅 健太郎 (こすげ けんたろう)

キックボクシングジム「Stroke's」に通っている青年。生真面目な性格で、強くなるための努力を惜しまない。学生時代は気が弱く、使い走りに甘んじていた。そんなある日、強さにあこがれてキックボクシングの試合を観戦し、何度も劣勢に立たされながらも一歩も引かない一人の選手に魅了され、小菅自身もキックボクシングの世界に足を踏み入れる。キックボクシングのセンス自体は晴亘に遠く及ばないが、スパーリングでは得意なハイキックで晴亘をK.O.した。愚直なまでに練習を重ねた結果、晴亘が本気でキックボクシングに取り組むきっかけを作ったり、将来プロ確実とされる強豪選手との試合でドローに持ち込むなど、その努力は着実に実を結びつつある。

書誌情報

モングレル 全4巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉

第1巻

(2013-12-19発行、 978-4088797205)

第4巻

(2014-06-19発行、 978-4088798578)

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