HELLSING

HELLSING

二十世紀末の英国を舞台とした、怪物/異能力バトル漫画。英国国教騎士団(通称・HELLSING)に所属する吸血鬼アーカードが、英国に敵対する超人・化物を相手に、人知を越えたアクションを繰り広げる。平野耕太の出世作ともいえる作品。外伝漫画『THE DAWN』も発表されている。

正式名称
HELLSING
ふりがな
へるしんぐ
作者
ジャンル
バトル
関連商品
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あらすじ

第1巻

吸血鬼対策のために組織された英国国教騎士団に所属するアーカードは、ある夜、吸血鬼となり村人を次々に襲っていた牧師を倒す。その際、瀕死の重傷を負った村の婦警セラス・ヴィクトリアを助けるために、アーカードはセラスを吸血鬼に転化させる。吸血鬼となったセラスは、英国国教騎士団に所属する事となった。その後、アーカードと英国国教騎士団の局長であるインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングは、セラスを連れて次の事件の現場に向かう。そこでセラスは初めて吸血鬼を殺し、自分が人間離れした力を手に入れた事を実感する。アーカード達はこうして事件を解決したが、ローマ法王庁の非公式特務実行部隊に所属するアレクサンド・アンデルセンに目をつけられてしまう。アンデルセンも吸血鬼を狩る人間だったが、同じ目的のためとはいえ、敵である吸血鬼までも仲間として扱う英国国教騎士団を目の敵にしていた。その事を知らぬまま、アーカード達は次の吸血鬼がいる都市へと向かい、そこで大量発生している吸血鬼のなりそこない「喰屍鬼」を次々と討伐していく。しかしそこにアンデルセンが現れ、彼の奇襲を受けてセラスは重症を負い、アーカードは首を切られてしまう。

第2巻

インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングは、頻発している吸血鬼による事件は、何者かが裏から糸を引いているのではないかと考えていた。そんな中、英国国教騎士団の本部に、吸血鬼のなりそこない「喰屍鬼」が大量に押し寄せて来る。それは、ヴァレンタイン兄弟という二人の吸血鬼が率いる喰屍鬼の軍隊だった。アーカードは、部下のセラス・ヴィクトリアと、インテグラルの老執事であるウォルター・クム・ドルネーズと共に喰屍鬼達を迎え撃つ。アーカード達は圧倒的な強さでヴァレンタイン兄弟を討伐。しかし英国国教騎士団の本部は、多くの犠牲者を出してしまう。インテグラルは、吸血鬼を送り込んで来たミレニアムという機関について調査を開始する。また、人員不足を補うために、ピップ・ベルナドット率いる傭兵部隊を雇う。そんなインテグラルに、英国国教騎士団とは関係の悪いヴァチカン特務局第13課イスカリオテ機関から誘いの手紙が送られて来る。インテグラルは警戒しながらも、ヴァチカン特務局第13課イスカリオテ機関の局長であるエンリコ・マクスウェルのもとを訪れる。

第3巻

セラス・ヴィクトリアは、吸血鬼と戦う英国国教騎士団が人員不足のために雇った傭兵部隊の戦闘訓練を行っていた。アーカードはそんなセラスと傭兵部隊を連れ、吸血鬼事件を頻発させる謎の機関ミレニアムが潜むとの情報がある南米へと向かう。アーカード達が南米に着きホテルに泊まると、そこにはミレニアムが用意した罠があり、アーカード達はテロリスト集団であるとでっち上げられ、ホテルの周囲を軍と警察に取り囲まれてしまう。英国国教騎士団局長のインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングは、人間の部隊と戦う事に躊躇を見せるも、アーカードに戦う事を指示する。アーカードはインテグラルの命令通り、ホテル内に突入して来た人間の部隊を容赦なく惨殺し、ただ一人で軍と警察を壊滅させていく。しかしそんなアーカードの前に、トバルカイン・アルハンブラというミレニアムに所属する吸血鬼が姿を現す。

第4巻

アーカードは、トバルカイン・アルハンブラの猛攻に押されていたが、セラス・ヴィクトリアの援護もありトバルカインを討伐する。傭兵部隊の隊長ピップ・ベルナドットが奪ったヘリコプターにより、軍と警察に囲まれたホテルから脱出する。一時的に身を隠すアーカード達だが、本部に帰る術を探していると、そこに宿敵アレクサンド・アンデルセンが現れる。アーカードとアンデルセンは一触即発、殺し合いを始めるかと思いきや、アンデルセンは自分が所属するヴァチカン特務局第13課イスカリオテ機関が用意した小型ジェットの譲渡書をアーカード達に渡す。吸血鬼事件を起こすミレニアムの出現により、今やアンデルセンにとっても、不本意ながらアーカード達は共闘する立場にあった。一方ミレニアムでは、少佐と呼ばれる男が上層部を殺して実権を握り、1000人の吸血鬼を率いていた。アーカード達はようやく本部に戻るが、そこにミレニアムの特使を名乗る吸血鬼が現れる。そこでアーカード達に少佐からの宣戦布告がされ、それから間もなく大英帝国海軍の戦艦が吸血鬼によって襲撃されてしまう。

第5巻

大量の吸血鬼を率いる機関ミレニアムに所属する吸血鬼リップヴァーン・ウィンクルによって、大英帝国海軍の戦艦が奪われてしまう。吸血鬼と戦う英国国教騎士団の局長を務めるインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングは海軍に協力を申し入れ、アーカードに戦闘の指示を出す。アーカードは奪われた戦艦に突入するために、米軍の偵察機に乗り、超高高度から偵察機ごと戦艦に突撃する。戦艦を守っていたリップヴァーンは、アーカードのまさかの特攻に恐慌し、アーカードから逃げ惑う。アーカードは次々と戦艦に乗っているミレニアムの人員達を倒していく。一人だけになったリップヴァーンはようやく覚悟を決め、アーカードに戦いを挑む。しかしアーカードは、いとも簡単にリップヴァーンを仕留める。その事態を知ったミレニアムの少佐は、改めてアーカードの常軌を逸した強さを確認する。しかしすべては少佐の計画通りであり、アーカードは海上で孤立する事となる。少佐はこれを好機とし、ロンドンに吸血鬼の軍団を連れて現れる。少佐はロンドン全域に対して戦争を仕掛けるのだった。

第6巻

ロンドンの全域で、大量の吸血鬼を率いる機関ミレニアムによる大量虐殺が始まっていた。インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングは、執事のウォルター・クム・ドルネーズと共に、逃走しながら吸血鬼達に反撃していく。しかしインテグラル達の前に大尉と呼ばれる吸血鬼が立ちはだかったため、インテグラルはウォルターを残し一人で逃げるが、次々とミレニアムの吸血鬼軍団に襲われる。だがそこへ、アレクサンド・アンデルセンが部下の戦闘員達を連れて現れる。アンデルセン達が吸血鬼軍団を相手に奮闘する中、アンデルセンの上司であるエンリコ・マクスウェルは、壊滅していくロンドンを遠くから傍観していた。エンリコはこの機会に、アーカード達も含め自らの思想に仇なす者達をすべて葬ろうと、密かに軍団を結成する。しかしエンリコがロンドンに侵攻しようとした時、アーカードが吸血鬼の力で戦艦を動かしロンドンへと向かって来ていた。一方、セラス・ヴィクトリアは、近づいて来るミレニアムの飛行船を撃墜。セラスは飛行船から降りてきたミレニアムの主力の一人であるゾーリン・ブリッツと会敵する。

第7巻

吸血鬼ゾーリン・ブリッツの圧倒的な力により、英国国教騎士団が雇った傭兵部隊の隊員達は次々と倒れていく。セラス・ヴィクトリアは、傭兵部隊の隊長ピップ・ベルナドットと共に奮闘する。しかしセラスはゾーリンの攻撃によって重症を負い、さらにはベルナドットまで殺されてしまう。するとセラスは、ベルナドットの血を吸い、吸血鬼としての本来の力を解放、圧倒的な力でゾーリンを倒すと、上司であるインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングを助けるためにロンドンの空へと飛んでいく。そしてそのロンドンには、エンリコ・マクスウェルが大軍勢を率いて到着する。しかし、大量の吸血鬼を率いる機関ミレニアムを指揮する少佐はまったく動揺せず、むしろエンリコが来てさらに混乱するロンドンを楽しむ様子すら見せる。そんな少佐を守る吸血鬼達の中には、なぜかインテグラルの執事であるはずのウォルター・クム・ドルネーズが若返った姿で立っていた。

第8巻

吸血鬼の力で戦艦を動かしていたアーカードは、ついに戦火のロンドンに辿り着く。アーカードのもとには、宿敵であるアレクサンド・アンデルセンや、吸血鬼軍団を率いる機関ミレニアムの主力の一人である大尉までもが現れる。ロンドンは今や、人間や吸血鬼達のいくつもの思惑によって大混乱状態となっていた。アーカードはこれまで以上に吸血鬼の力を使い、人間や吸血鬼の軍勢を大量に虐殺していく。エンリコ・マクスウェルは、用意していた軍勢をアーカードにあっさり壊滅させられ絶望する。するとアンデルセンは、もともとは教え子だが欲に溺れてしまったエンリコを見放してしまう。エンリコは戦いに巻き込まれ、そのまま命を落とす。上司を失ったアンデルセンだったが、そのままアーカードを殺す事を決意する。時には共闘関係も築いたアーカードとアンデルセンだったが、ついに決闘を始める。アンデルセンはアーカードに対して猛攻を仕掛けるが、これまでと違い吸血鬼の力を全開にしたアーカードにやがて圧され始める。そしてアンデルセンはついに、自らもアーカードのような化け物へと転化するという、最後の切り札を用いるのだった。

第9巻

アーカードセラス・ヴィクトリアに助けられ、追い詰められながらもついにアレクサンド・アンデルセンを倒す。このアーカードの活躍により、ロンドンは落ち着きを取り戻したかのように見えた。だがそんな中、吸血鬼となって若返ったウォルター・クム・ドルネーズが現れ、アーカード達に自分が裏切り者である事を告白する。インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングは、ずっと執事として付き従って来たウォルターの裏切りに戸惑うが、覚悟を決めアーカードにウォルターを殺すよう命じる。インテグラルはウォルターをアーカードに任せ、自らはセラスと共に、吸血鬼軍団を率いる機関ミレニアムのトップである少佐のもとへと向かう。ウォルターはアーカードすら圧倒する戦いを見せるが、外法により無理やり吸血鬼になったために、徐々にその力が衰え始める。一方、ミレニアムの飛行船の中を進んでいくインテグラルとセラスだったが、ミレニアムの主力の一人である大尉が立ちはだかる。セラスはインテグラルを先に行かせ、一人で大尉と戦い始める。

第10巻

セラス・ヴィクトリア大尉との戦いで苦戦するが、自分の中に取り込んだピップ・ベルナドットの助けもあり、大尉を倒す。そしてインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングは、吸血鬼軍団を作り出した少佐のもとに辿り着く。すると少佐はインテグラルに、無敵と思われるアーカードの殺し方を説明。アーカードは、ウォルター・クム・ドルネーズとの戦いでエネルギーを消費したために、周囲の死体から血という血を吸収していく。しかしその血の中に、少佐の部下である吸血鬼シュレディンガーが自ら混ざってしまう。少佐は、シュレディンガーを吸収したアーカードを見て勝利を確信する。シュレディンガーは存在自体があやふやな吸血鬼であり、それを取り込んでしまう事でアーカードの身体は存在しないものとして崩壊してしまうのだった。アーカードは少佐の狙い通り、完全に姿を消失する。こうしてインテグラルはアーカードという最強の駒を失うが、そこにセラスが辿り着き、二人は少佐を追い詰めていく。

登場人物・キャラクター

アーカード

ヘルシング家が100年をかけて作り上げたという最強の吸血鬼。英国の特務機関・王立国教騎士団(通称・HELLSING)に所属する、化物退治のエキスパート「ゴミ処理係」。戦闘では対化物戦闘用の拳銃(主に「ジャッカル」)を愛用するが、単純な身体能力も並外れており、素手で武装部隊をあっさり壊滅できるほど。 また普段は何段階かの「拘束制御術式」によって力を制限しており、これを解放することによって、体内に取り込んだ化物を解き放つなど、単体の吸血鬼を遙かに超越した力を発揮する。作品開始時点から見て10年前に、ヘルシング家の地下に封じられてところをインテグラによって解放され、以来彼女を「我が主」と認め従っている。 チェーダース村で起きた吸血鬼事件のおり、瀕死となったセラス・ヴィクトリアを吸血鬼化し、王立国教騎士団へ迎え入れた。第二次世界大戦末期、ワルシャワで吸血鬼化実験をおこなっていたミレニアムをウォルターとともに襲撃、これを壊滅状態に追い込んだこともある。 作中では、小説『吸血鬼ドラキュラ』のドラキュラ及びそのモデルとなったワラキアの支配者ヴラド・ツェペシュでもあったと示唆されている。また、名前のアーカード「Arucard」は、ドラキュラ「Dracula」のlをrに変え、逆から読んだものとなっている。

インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング

ヘルシング家当主にして、英国の特務機関・王立国教騎士団(通称・HELLSING)の局長。父の死に伴う相続争いのさなか、ヘルシング家の地下に封じられていたアーカードを解き放ち、以来、彼の主となる。性格は苛烈にして果断という「鉄の女」。ナチスの残党組織ミレニアムとの抗争では、「見敵必殺(サーチアンドデストロイ)」を厳命するなど、敵には一切容赦せず、いかなる脅威に対しても一歩も退くことはない。 その器の大きさは、味方であるアーカードやウォルターらが認めるにとどまらず、敵である超人アレクサンド・アンデルセンやミレニアムの首魁・少佐からも一目置かれるほど。 本人曰く「正真正銘100%処女」で、吸血鬼になってからも血を飲まず食事に苦しんでいたセラス・ヴィクトリアに、その血を与えて渇きを癒してやったこともあった。

ウォルター・クム・ドルネーズ

ヘルシング家の執事。アーサー・ヘルシング、インテグラの父娘2代にわたって仕えており、インテグラからは腹心以上に信頼を寄せられている。元々は英国の特務機関・王立国教騎士団(通称・HELLSING)に所属する、化物退治のエキスパート「ゴミ処理係」で、当時の二つ名は「死神」。 現在は一線から退き、主に後方支援に回っているが、緊急時には戦闘に参加し、老いてなお卓抜した戦闘力を披露することもある。武器は目に見えないほど細い鋼線で、敵を切断または拘束したりするほか、操り人形のように操作したり、鋼線を束ねて銃弾を防いだりすることもできる。第二次世界大戦末期、ワルシャワで吸血鬼化実験をおこなっていたミレニアムをアーカードとともに襲撃し、これを壊滅状態に追い込んだ。 このときの様子は、外伝漫画『THE DAWN』として発表されている。

セラス・ヴィクトリア

チェーダース村で起きた吸血鬼事件のおり、主人公の吸血鬼アーカードによって転化させられた女吸血鬼。事件ののち、英国の特務機関・王立国教騎士団に加入する。生前は警察官だったため、「婦警」とよばれることも。アーカードを「マスター」と慕うほか、王立国教騎士団の局長であるインテグラやその執事のウォルターにも敬意を払う。 自らが化物となったことへの抵抗感から、食事としての血液を拒んでいたが、ナチスの残党組織ミレニアムとの闘争の最終局面において、傭兵ピップ・ベルナドットの血を吸い、真の吸血鬼として覚醒。戦闘では対化物用砲「ハルコンネン」などによる高火力・長射程の火器による砲撃を主に使用。 真の吸血鬼として覚醒してからは、格闘戦でも人知を越えた超常的な強さを見せた。

ピップ・ベルナドット

傭兵部隊の隊長。吸血鬼と喰屍鬼によって甚大な被害を受けた英国の特務機関・王立国教騎士団(通称・HELLSING)に、戦力の補充要員として部隊ごと雇い入れられた。代々傭兵稼業をしてきた家の生まれという生粋の戦争屋で、ナチスの残党組織ミレニアムとの戦闘でも、吸血鬼部隊を相手に「傭兵」としての戦いを展開して見せた。 当初は化物の存在に戸惑いを見せるも、その後すんなりと状況を受け容れ、主人公の吸血鬼アーカードのことも「旦那」と呼んで怖れるそぶりもなく接している。新米吸血鬼のセラス・ヴィクトリアに対しては、セクハラ紛いの言動をしつつも彼なりに可愛がっており、ミレニアムとの闘争の最終局面においては命がけで彼女を救出。 最後は自分の血を彼女に飲ませ、真の吸血鬼への覚醒を促した。

シェルビー・M・ペンウッド

英国海軍中将。英国の裏の権力者結社円卓会議のメンバーの一人。ヘルシング家とは古くからの付き合いで、アーサー・ヘルシングやその娘インテグラからなにかと無理難題を押しつけられきた。自分自身のことを「家柄だけで今の地位に就いた駄目で無能な臆病者」と評価するが、職務には忠実。 ナチスの残党組織ミレニアムの吸血鬼部隊が迫る中、英国安全保障特別指導部本営が陥落するそのときまで指揮を執り続けた。同じく円卓会議のメンバーであるヒュー・アイランズやロブ・ウォルシュとは友人同士。

ヒュー・アイランズ

英国の裏の権力者結社円卓会議で議長を務める有力者。ヘルシング家のアーサー・ヘルシングや、円卓会議のメンバーであるロブ・ウォルシュ、シェルビー・M・ペンウッドとは友人同士。アーサー・ヘルシングの娘インテグラに対しては、後見すると同時に、指揮官としての覚悟を問うこともあった。 ナチスの残党組織ミレニアムの吸血鬼部隊による対英上陸戦「第二次ゼーレヴェ作戦」では、ドーヴァー要塞の英国移動大本営にて英国部隊の指揮を執る。

ロブ・ウォルシュ

英国の裏の権力者結社円卓会議にて参議を務める英国陸軍近衛師団の中将。同じく円卓会議のメンバーであるヒュー・アイランズやシェルビー・M・ペンウッドとは友人同士。ナチスの残党組織ミレニアムの吸血鬼部隊による対英上陸戦「第二次ゼーレヴェ作戦」では、核攻撃でロンドンの吸血鬼を殲滅するという最終手段も視野に入れていた。 20世紀末の段階で、すでに老齢だったが長生きをしており、2030年にも存命、退役大将となり円卓会議の議長を務めている。

アーサー・ヘルシング

ヘルシング家の先代当主。また、英国の特務機関・王立国教騎士団の先代局長。インテグラの父。円卓会議のヒュー・アイランズやロブ・ウォルシュ、シェルビー・M・ペンウッドとは友人同士だった。吸血鬼アーカードの存在を危険視し、王立国教騎士団本部の地下牢に封印。 しかし、もし本当の危機が迫ったときはそこに向かうよう、インテグラに言い遺していた。幼き日のインテグラに吸血鬼の性質についてレクチャーしたりと、『HELLSING』では温和で優しい父として描かれているが、外伝漫画『THE DAWN』では、破天荒な人物として描かれている。

リチャード・ヘルシング

アーサー・ヘルシングの弟、インテグラの叔父。兄アーサー・ヘルシングの死後、1週間もしないうちに、ヘルシング家当主の座をねらって、インテグラを殺害しようとした。追い詰められたインテグラは、亡き父の言いつけに従って王立国教騎士団本部の地下牢へと逃げ、それがアーカードの解放へとつながった。

エンリコ・マクスウェル

ヴァチカン特務局第13課イスカリオテ機関(第13課)の局長。人当たりの良さそうな人物に見えて、内面はカトリック信者以外は豚以下と見下している狂信者。傲慢で上昇意欲が強く、「神の力」に酔っている部分がある。ナチスの残党組織ミレニアムとの闘争に入った英国の特務機関・王立国教騎士団を支援するかのような動きを見せるが、その実、「横合いから殴りつける」機会をうかがっていた。 ミレニアムが、吸血鬼部隊による対英上陸戦「第二次ゼーレヴェ作戦」を開始すると、第九次十字軍を率い「英国を異端と化物から奪還」すべく、「熱狂的再征服(レコンキスタ)」を発動する。 初登場時の位階は司教だったが、第九次十字軍の参陣に伴い、大司教へと昇進している。幼い頃、アレクサンド・アンデルセンの孤児院で育ったという過去を持つ。

アレクサンド・アンデルセン

ヴァチカン特務局第13課イスカリオテ機関(第13課)に所属する化物退治のスペシャリスト。「聖堂騎士(パラディン)」「殺し屋」「銃剣(バヨネット)」「首斬判事」「天使の塵(エンジェルダスト)」等、多くのあだ名を持つ。対化物技術の結晶ともいうべき超人であり、生物工学の粋をこらした「自己再生能力」に「回復法術」まで施された肉体は、銃弾を受けても即座に回復するほど。 吸血鬼アーカードとも互角以上に渡り合う戦闘能力を有し、初対戦以降、互いに「宿敵」と認め合う。自分達は「神に司える力」であり、「ただの暴力装置であるべき」という考えから、エンリコ・マクスウェルの権力志向には不快感を示した。 普段はローマ近郊のカソリック系孤児院フェルディナントルークス院の神父を務めており、子ども達からは「神父様」と慕われている。また、エンリコ・マクスウェルもかつてはアレクサンド・アンデルセンの孤児院で育った子どもだった。

由美江 (ゆみえ)

ヴァチカン特務局第13課イスカリオテ機関(第13課)の機関員。島原流抜刀術を使う殺戮の専門家。ナチスの残党組織ミレニアムが対英上陸戦「第二次ゼーレヴェ作戦」を開始した際に、英国の特務機関・王立国教騎士団の局長インテグラの監視任務についていた。ウォルターに戦闘をしかけるも、返り討ちに遭ってしまう。 『HELLSING』の単行本に収録された平野耕太の短編漫画『CROSS FIRE』にも、ほぼ同一設定の人物が登場している。

ハインケル

ヴァチカン特務局第13課イスカリオテ機関(第13課)の機関員。2丁拳銃の遣い手。ナチスの残党組織ミレニアムが対英上陸戦「第二次ゼーレヴェ作戦」を開始した際に、英国の特務機関・王立国教騎士団の局長インテグラの監視任務についていた。2030年段階では、アレクサンド・アンデルセンの後任のような立ち位置となり、王立国教騎士団のセラス・ヴィクトリアとはライバル関係を思わせるようなそぶりをみせる。 『HELLSING』の単行本に収録された平野耕太の短編漫画『CROSS FIRE』にも、ほぼ同一設定の人物が登場している。

ヴァレンタイン兄弟 (ゔぁれんたいんきょうだい)

兄ルーク・ヴァレンタイン、弟ヤン・ヴァレンタインの二人組。ナチスの残党組織ミレニアムによって生み出された人造吸血鬼で、やはりミレニアムによって作られた喰屍鬼を率い、英国の特務機関・王立国教騎士団のロンドン本部を襲撃し、壊滅状態へと追い込んだ。最終的に、兄のルーク・ヴァレンタインは、王立国教騎士団の吸血鬼アーカードに喰われ、体内に取り込まれることに。 弟のヤン・ヴァレンタインは、情報を漏らしそうになったところを、体内に仕込まれていた自動発火装置によってミレニアムに処分された。『HELLSING』単行本の巻末のあとがき漫画にも登場する。

少佐 (しょうさ)

ナチスの残党組織ミレニアムの統率者。主に「少佐」と呼ばれているが本名は不明。「総統代行」と呼ばれることもある。ナチスでの所属は親衛隊(SS)。第二次世界大戦中に「総統閣下」から特命を受け、「人造吸血鬼の製造計画」および「極秘物資人員輸送計画」を推進。本人曰く「“手段”のために“目的”を選ばない」タイプで、本来は手段であるはずの「戦争」を起こすこと自体を目的とし、英国に化物を送り込んだ。 少佐の代表的な台詞ともいえる「諸君、私は戦争が好きだ」から始まる大演説ののち、英国本土を蹂躙する「第二次ゼーレヴェ作戦」を発動。ロンドンを化物が闊歩する死の都へと変貌させた。 吸血鬼を生み出した立場でありながら、本人は化物と化すことを否定。全身を機械に置き換えようと「人間」であり続けることにこだわった。

博士 (どく)

ナチスの残党組織「ミレニアム」の幹部で、マッドサイエンティスト。本名は不明。第二次世界大戦中より人造吸血鬼製造研究に携わっており、ついには人造吸血鬼の製造に成功する。彼が研究の素体としたのは、吸血鬼ドラキュラ(すなわちアーカード)に襲われ、そして人間に戻ったミナ・ハーカーであり、その彼女を模倣した結果生み出されたのが人造吸血鬼であった。

大尉 (たいい)

ナチスの残党組織「ミレニアム」の幹部。化物の精鋭「ヴェアヴォルフ」の一人。本名は不明。正真正銘の人狼で、「ミレニアム」の擁する化物の中でも最強の存在。強靱な肉体と再生能力を有するほか、全身を霧の狼のようなものへと化す能力も持っている。戦闘能力が非常に高く、吸血鬼として完全に覚醒したセラス・ヴィクトリアすら一時は戦意を失うほどに追い込まれた。 人狼の伝説と同様、「銀」が弱点。

ゾーリン・ブリッツ

ナチスの残党組織「ミレニアム」が生み出した化物で、その中の精鋭である「ヴェアヴォルフ」の一人。階級は中尉。半身にびっしりと紋様が描かれている女吸血鬼。戦闘では主に大鎌で殺戮を行うが、紋様を展開させることで幻術を操ることもできる。対英上陸戦「第二次ゼーレヴェ作戦」では、英国の特務機関・王立国教騎士団の本部を襲撃。 守備していた傭兵部隊を壊滅状態に追い込むも、これが王立国教騎士団の女吸血鬼セラス・ヴィクトリアを真に覚醒させるきっかけとなる。

トバルカイン・アルハンブラ

ナチスの残党組織「ミレニアム」が生み出した化物。近しい者からは「伊達男」と呼ばれているらしい。ミレニアムを調査すべく南米に訪れたアーカードに襲撃をかけるも、返り討ちにあう。刃物のように相手を切り裂くトランプが武器。また、肉体をトランプに変えて銃弾を回避するといった芸当も見せた。

シュレディンガー

ナチスの残党組織「ミレニアム」が生み出した化物で、その中の精鋭である「ヴェアヴォルフ」の一人。ネコミミの生えた少年で、階級は中尉。射殺されたかと思えば、別のところで涼しい顔で復活したり、誰かの意識の中に現れたりもするという、「どこにでもいるし、どこにもいない」という特性をもつ。 その「存在自体があやふや」という命の性質ゆえに、ミレニアムの首魁である少佐からは、「アーカードを倒すための切り札」と見られていた。

リップヴァーン・ウィンクル

ナチスの残党組織「ミレニアム」が生み出した化物で、その中の精鋭である「ヴェアヴォルフ」の一人。長砲身のマスケット銃から、不規則に飛翔・相手を追尾する銃弾を放つ。その銃弾の威力は、たった1発で戦闘ヘリを貫いた上に中にいた乗員すべてを殺戮しつくすほど。対英上陸戦「第二次ゼーレヴェ作戦」に先駆けて、英国海軍の空母を奪取。 しかし、高高度実験機による急降下突撃で乗り込んできた王立国教騎士団の吸血鬼アーカードよって敗北し、その身を喰われてしまう。その死はミレニアムにとって計画通りのものであり、これによって王立国教騎士団の最大戦力であるアーカードを、吸血鬼が越えることができない海の上へと足止めすることに成功した。

英国国教騎士団 (えいこくこっきょうきしだん)

大英帝国と国教を犯そうとする反キリストの化物を葬り去るために組織された特務機関。通称は「HELLSING機関」、または単に「HELLSING」。ヘルシング家の当主が代々局長を務めており、当代の局長はインテグラル・ファルブリケ・ウィンゲーツ・ヘルシング(インテグラ)。 本部はロンドンにある。一般局員のほか、この機関に属する化物退治の専門家である「ゴミ処理係」を擁する。主人公の吸血鬼アーカードもこのゴミ処理係であるほか、ヘルシング家の執事ウォルターも、若い頃はゴミ処理係であった。吸血鬼と喰屍鬼の襲撃を受けたことにより、本部所属の構成員96名中86名が死亡。 戦力補充のため、ベルナドット率いる傭兵を雇い入れることになった。なお、機関名の「ヘルシング」は、小説『吸血鬼ドラキュラ』においてドラキュラ退治の中心人物となったエイブラハム・ヴァン・ヘルシング教授に由来する。

ヴァチカン特務局第13課イスカリオテ機関 (ゔぁちかんとくむきょくだいじゅうさんかいすかりおてきかん)

「神の代理人」「神罰地上代行者」と自認する、ローマ法王庁の非公式特務実行部隊。ローマ法王庁唯一にして最大の戦力で、聖別済みの武器で武装した、悪魔退治・異教弾圧・異端殲滅のプロフェッショナル。本来は存在しないはずの第13番目の課であり、イエス・キリストを裏切ったイスカリオテのユダの名を冠している。 単に第13課(ルビは「イスカリオテ」)と略されることが多い。第13課にとって主人公の吸血鬼アーカードは退治すべき化物であり、英国の特務機関・王立国教騎士団も殲滅すべき異端にすぎない。

ミレニアム

ナチスの極秘物資人員輸送計画の計画名、及び、それの実行者達を示す名称。第二次世界大戦の初期からドイツ占領地を周り、書類を改ざんしながら大量の物資・人員を南米へと輸送した。その目的は「不死者(アンデッド)による不死身の軍勢を作る」こと。第二次世界大戦でドイツが敗戦し、ナチスの残党と化したあとも、南米にて不死者を人為的に作り出す研究をひたすら続け、ついには吸血鬼を生み出す技術を確立した。 英国国内で吸血鬼事件を頻発させ、ヴァレンタイン兄弟に英国の特務機関・王立国教騎士団のロンドン本部を襲わせたのもミレニアムの仕業。ついには「最後の大隊(ラストバタリオン)」と呼ばれる吸血鬼1000人による部隊による、対英上陸戦「第二次ゼーレヴェ作戦」を決行するにいたる。 計画の推進者は「少佐」、研究の中心人物は「博士」。この他、「ヴェオウルフ」と呼ばれる幹部級の化物がいる。

円卓会議 (えんたくかいぎ)

英国王室に忠誠を誓う12人の政・財界の重要人物、貴族・軍人等が集まった結社。実質的に大英帝国圏を裏から支配しているに近い集団。議長はヒュー・アイランズ。大英帝国の女王陛下自らが会議を招集することもある。特務機関・王立国教騎士団の局長インテグラもそのメンバーの一人。 情報を操作し、化物事件が表沙汰にならないようしているのは、この円卓会議の意向による。

ジャッカル

主人公の吸血鬼アーカードの愛銃。ヘルシング家の執事ウォルターが手配して作らせた、対化物戦闘用13mm拳銃。全長39cm、重量16kgという超大型銃で、怪力の吸血鬼だからこそ使用できる代物となっている。使用するのは専用の13mm炸裂徹鋼弾で、弾核は純銀製マケドニウム加工弾核、装薬はマーベルス化学薬筒NNA9、弾頭は法儀済み水銀弾頭となっている。 装弾数は6発。なお、アーカードの夢の中に、「ジャッカルの精」を名乗る存在が現れたこともある。

ハルコンネン

ヘルシング家の執事ウォルターが、新米吸血鬼のセラス・ヴィクトリアに支給した30mm対化物用砲。2m近い大型の携行火器で、弾は劣化ウラン弾または爆裂徹鋼焼夷弾。主力戦車を除くすべての地上・航空兵器を撃破できるという、破格の火力を誇る。なお、セラス・ヴィクトリアの夢の中に「ハルコンネンの精」を名乗る存在が現れ、彼女に危機が迫っていることを知らせたこともある。 ハルコンネンは単発式であったが、ナチスの残党組織ミレニアムとの闘争の最終局面においては、これをセミオート化及び火力強化したと思われるハルコンネンⅡという火器も登場している。

吸血鬼 (きゅうけつき)

人の血を吸う不死の化物。通常の刃や銃弾は一切効かず、狼やコウモリを操り、超常的な身体能力を有する。一方で弱点も多く、にんにくや十字架を嫌い、聖別された物でには身を焼かれ、大量の水や流れる水を渡れず、太陽に弱くほとんどの吸血鬼は夜にしか行動できない。男吸血鬼(ドラクル)は処女の、女吸血鬼(ドラキュリーナ)は童貞の血を吸ったときのみ、繁殖(対象を吸血鬼として転化)することが可能。 血を吸った相手が非処女・非童貞だった場合、対象は意志をもたない吸血鬼の従僕である喰屍鬼と化す。この吸血鬼と喰屍鬼の襲撃により、英国の特務機関・王立国教騎士団のロンドン本部は壊滅状態に追い込まれた。

喰屍鬼 (ぐーる)

まともな自意識ももたない、動く屍。吸血鬼に血を吸われた非処女・非童貞の犠牲者が喰屍鬼となるほか、喰屍鬼に襲われて死んだ者も喰屍鬼と化す。動きは鈍重だが耐久力がはなはだ高く、脳や心臓を潰さない限り動き続ける。この喰屍鬼と吸血鬼の襲撃により、英国の特務機関・王立国教騎士団のロンドン本部は壊滅状態に追い込まれた。 第二次世界大戦末期、ナチスドイツはこの喰屍鬼を戦線に投入する計画を立てていたが、主人公の吸血鬼アーカード及び若き日のウォルターが、喰屍鬼を生み出そうとした研究所を潰したことで、この計画は阻止された。

アニメ

Hellsing

大英帝国を吸血鬼などの怪異から代々守ってきたヘルシング機関。機関を束ねるインテグラの切り札である吸血鬼アーカードは、ある事件で瀕死の重傷となったセラスの血を吸い、吸血鬼とする。 国内で起こる吸血鬼事件... 関連ページ:Hellsing

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