リビドーハンタータケル

聖天使のペロエルが猛の前に姿を現し、猛を自らの下僕「リビドーハンター」にするところから物語は始まる。その目的は、「オトコリング」で猛の内に秘めたエロさを解放して女性を一瞬で惚れさせ、キスをして彼女たちから「性的衝動(リビドー)」を集めること。吸収したリビドーは一度猛の体に蓄えられ、その状態でペロエルとキスをすることで、猛自身のリビドーも含め、すべてのリビドーがペロエルに溜められていく。こうして集めたリビドーを、将来的に日本中に分け与えることで性行為をうながし、少子化問題を解決するのが天界の計画となっている。その目的を果たすため、猛は周囲の女性たちを助け、時におしおきしながら、キスをしてリビドーを集めていく。その様子が疾走感あふれる描写で展開され、濃厚なキスシーンや数々のセクシーシーンと共に、本作の大きな魅力となっている。

「性的衝動(リビドー)」を集める猛やペロエルの前に、やがてその計画を邪魔する堕天使が立ちふさがる。堕天使は心が弱った者の前に姿を現して、その者の「欲」を狂わせ、欲が最も高まった瞬間に、その人間の欲を根こそぎ喰らう。欲を喰われた人間は、しばらくのあいだ心を失い、感情を喪失してしまう。ちなみに堕天使は、元々聖天使であった者が人間と交わることで堕ちた存在であるため、聖天使以外では対抗するのも難しく、覚醒後の猛も苦戦を強いられる。また、天界は結果主義であることから、ペロエルが集めたリビドーを奪おうとする天使たちも登場する。これにより物語中盤以降は、セクシーシーンの比重は変わらないものの、派手な必殺技が交錯するバトルアクションの要素が強くなっていく。

猛は「性的衝動(リビドー)」を集めるため、さまざまな女性と出会い、彼女たちの抱える問題を解決していく。そして猛は、熱血体育教師の鶴田萌や、猛と同様に内気なクラスメイトの海野つばめなど、多くの女性との友好関係を築くこととなる。さらに、リビドーを狙う堕天使や、ペロエルに蓄えられたリビドーを狙うほかの天使たちとの戦いを通して、覚醒後の猛はリビドーハンターとしてさらなる進化を遂げる。同時に覚醒しなくても大事な人を守ることのできる、一人前の男として目覚めていく様子が描かれており、一人の少年の成長物語としても楽しむことができる。