ロックは淑女の嗜みでして

本作の舞台となるのは、一流の淑女だけが在籍を許される、小・中・高一貫男子禁制の超お嬢様校「桜心女学園」。一年前に母の再婚で鈴ノ宮家に入った鈴ノ宮りりさは、元はロックとギターを愛する一般庶民である。しかし、鈴ノ宮家の親族に母と自分を認めさせるため、礼儀作法やダンス、英語などを学び、血が滲むような努力をして、学園一のお嬢様の証「高潔な乙女（ノーブルメイデン）」の称号を手に入れようとしている。本作は、そんなりりさが黒鉄音羽との出会いをきっかけに、再びロックに邁進する姿を描く。華麗でおしとやかなお嬢様たちが、火花をちらして罵り合い、本音をさらけ出すギャップが魅力の激アツ青春ストーリーである。

窮屈すぎて圧死しそうになりながらお嬢様を演じるりりさは、ある日、息が止まるほどの美少女お嬢様・音羽とすれ違う。音羽が落としたギターピックを拾ったりりさは彼女の跡を追い、学園の旧校舎の音楽室にたどり着く。そこで激しいロックドラムを一人で叩いていた音羽は、りりさがギター弾きであることを見抜き、セッションを迫った。「桜心女学園」でお嬢様として受け入れられている自分にギターは必要ない。そう考えていたりりさだが、音羽との激しいセッションで、久しぶりに脳汁が出まくり、ギターなしでは生きられないことを再確認する。こうして出会った二人は、「フジロック」出場を目指してインストバンドを結成する。

りりさと音羽のバンド活動は、さらに二人のお嬢様を加えて展開することになる。一人目は、長身と中性的な外見で「桜心の王子」と呼ばれる院瀬見ティナ。周囲の評価とは裏腹に、実は自分に自信がない少女で、偶然目にしたりりさの演奏に惹かれてバンドをやりたいと言い出す。音楽に関してはド素人だが、懸命さを買われてキーボード担当になる。もう一人はすご腕ギタリストの白矢環。りりさのライバルとして登場し、昔からの知り合いである音羽にバンド結成を迫る。しかし、本当はギターよりもベースを志していた白矢は、紆余曲折を経てりりさたちのバンドに加入する。こうして集まったお嬢様たちは「ロックレディ」を名乗り、激しいパフォーマンスを披露していく。