『ダンベル何キロ持てる?』と世界観を共有する格闘技アクション
本作は原作を務めるサンドロビッチ・ヤバ子の『ダンベル何キロ持てる?』『ケンガンアシュラ』『ケンガンオメガ』『求道の拳』と、世界観や設定を共有している。また、本作の登場人物や高校、団体がそれぞれの作品に登場し、本作の登場人物もそれぞれの作品の関係者として登場する。このため、各作品の共通点を探したり、登場人物の関係性を考察したりするといった楽しみ方もできる。その経歴や境遇になんらかの事情を抱える女性格闘家の戦いを描くだけではなく、格闘技団体の運営もテーマになっている。裏格闘技団体を立ち上げた天馬希望が、超危険人物の本郷姫奈と共に一攫千金を狙う格闘ドラマが、バトルアクションを交えて展開される。
無職になった元プロ格闘家が新団体を立ち上げる
主人公の希望は弱小格闘団体を突如解雇され、無職になった元プロ格闘家の女性。この追い詰められた状況を打破するため、希望は幼なじみの警察官・伊織いちか、暴力団の組長・美谷はなと共に一攫千金を狙って、女性だけの新たな裏格闘技団体「戦乙女(ヴァルキュリア)」を立ち上げる。しかし興行を成功させるためには、華のあるスター選手が必要不可欠だと考え、そこでいちかが目を付けたのは、過激派宗教団体によって格闘術を叩き込まれた女子高校生の姫奈だった。強引に姫奈を戦乙女にスカウトしたものの、姫奈はかつて教団が作り出した化学兵器の所在を教えることを交換条件に、希望たちに強者との対戦を求める。希望たちは姫奈の人間離れした強さと底知れぬ狂気に不気味さを感じながらも、彼女を花形闘士「革命姫」に据えて戦乙女の運営に邁進する。
賞金目当てで挑んでくる強者たち
さまざまな問題を抱えながらも旗揚げした裏格闘技団体「戦乙女」の初興行は、予想以上の大盛況のうちに終わる。すると、さらなる強者との対戦を希望する姫奈が、優勝賞金500万円で対戦相手を募ったことで、希望は戦乙女初の1DAYトーナメントの開催を決意する。このトーナメントの優勝賞金を狙って、女子暴走族の凶悪狂人と知られる瀬名姉妹や、中国武術の使い手である柚巴・リーが姫奈に挑んでくる。アンダーグラウンドな裏格闘技界を舞台に、個性的な格闘家たちと姫奈が繰り広げる緊張感あふれる死闘の数々や、ただ勝利するだけでは成り立たない裏格闘技団体のシビアな現実も見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
天馬 希望 (てんま のぞみ)
元プロの格闘家の女性。黒髪をロングヘアにしている。年齢は27歳。気だるげな表情をしたダウナー系女子。ファッションに無頓着で、動きやすいラフな服装を好む。学生時代に友人とダイエットのためにジムに通ったのをきっかけにプロの格闘家を志すも、目を負傷して引退を余儀なくされる。格闘技界の表舞台から降りたあとは裏格闘技の世界に身を投じるが、試合に華がないという理由であっさり解雇される。無職になって酒の席で友達に愚痴っていたところ、幼なじみの不良警察官・伊織いちかと弱小暴力団体の組長・美谷はなの協力を得て裏格闘技団体「戦乙女」を立ち上げ、オーナーとなる。今でも格闘家としての実力は確かで、いちかの紹介でスカウトした本郷姫奈からもその実力を認められており、対戦を望まれている。姫奈の怪物じみた強さとその内に秘めた狂気を感じ取り、彼女をスカウトした決断に疑問を覚えることもある。身長162センチで、体重54キロ。
本郷 姫奈 (ほんごう ひな)
皇桜女学院に通う女子高生で、天馬希望の裏格闘技団体「戦乙女」の花形格闘家。年齢は17歳。桃色の髪をロングヘアにしており、試合のときはお団子にまとめている。実はカルト教団「神の教団」の教祖の養女で、「革命姫」の異名を持つ。一時は公安警察の監視対象だったこともあり、警察関係者からは「日本一危険な女子高生」と評されている。見た目はキラキラした可憐な少女だが、養父から仕込まれた武術「六道」を駆使して、体格で上回る相手を瞬時にKOする圧倒的な戦闘力を持つ。しかし、強者と戦うために手段をいとわないなど、そのかわいらしい見た目からは想像できない危険人物。「戦乙女」を立ち上げたばかりの希望から強引にスカウトされ、団体のスター選手として連戦連勝を重ねている。しかし、その異常な強さと内に秘めた狂気に対し、希望たちからは信頼されていると同時に危険視されている。試合に勝利したときの決め台詞は「革命大成功♡」。身長161センチで、体重50キロ。
クレジット
- 原作
書誌情報
一勝千金 3巻 小学館〈裏少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2023-09-19発行、 978-4098528332)
第2巻
(2024-03-19発行、 978-4098531684)
第3巻
(2024-08-19発行、 978-4098535293)