不器用な先輩。

新人社員の亀川侑の教育係となったのは、つねに無愛想で仕事に厳しいことで知られる鉄輪梓だった。ぶっきらぼうな口調で怖い印象の梓だったが、実は内気で不器用なだけで、内心では初めての後輩がかわいくて仕方がなく、ついつい構ってしまう。しかし口から出る言葉は、すべて誤解を招きかねない厳しいものばかりで、梓は後輩を褒めることもままならないため、侑は周囲からも同情されてしまう。だが侑は梓の不器用な優しさに気づいており、二人は少しずつ距離を縮めていく。

人に媚（こ）びずに凛（りん）とした雰囲気を漂わせた鉄輪梓だが、実はゲームが大好きなインドアオタクで、酔っぱらうとさらに残念さを増す。その見た目の怖さと乱暴な言葉遣いから友達も少なく、陽キャ気質の亀川侑とは何もかも正反対なタイプだった。そのため侑から持ちかけられる相談は自分が知らないことばかりで、後輩の手前見栄を張る梓だったが、のちに後悔したり、侑との思わぬ急接近に戸惑っている。また梓はテレビゲーム「FINAL FANTASY」シリーズの大ファンで、ゲームの話になるとふだんとは打って変わって饒舌（じょうぜつ）となる。

鉄輪梓は大分県出身で、ふだんは標準語でしゃべっているが、驚いた時や酔っぱらった時に思わず大分弁が出てしまう。方言でしゃべる際はいつもの冷静さは欠片（かけら）もなく、職場での凛々（りり）しい表情と素の表情のギャップがかわいい。また亀川侑は大分弁を知らないため、当初は何をしゃべっているか理解できず混乱していたが、侑も大分弁を勉強して梓との距離を縮めていく。なお、本作に登場するキャラクターの大半は大分県別府市に実在する温泉地の名前に由来している。