今日から始める幼なじみ

主人公の相田航平は、ごく普通の男子中学生。彼が2年生となった春、彼の住む家の隣に柚木楓という少女が引っ越してきた。偶然にも楓はクラスの席も航平のお隣さん。奇妙な縁を感じた航平は、まだ学校になじめない様子の楓に対し、「何でも協力する」と声を掛ける。すると楓は、航平に「自分の幼なじみになってほしい」と願い出る。転校続きなうえに人見知りだった楓は、ろくに友達もつくれず、幼なじみという関係に並々ならぬ憧れを抱いていたのだ。そんな楓にとって、自分と航平のシチュエーションは、まさしく理想的。家も席も隣で、しかもお互いの部屋は二階の窓越しという、漫画でよくある、典型的な幼なじみのシチュエーションだった。冗談のようなお願いだが、楓は真剣そのもの。結局、航平は楓の願いを受け入れ、2人は幼なじみとなる。その日を境に、航平と楓の日常は、徐々に彩りを増していく。

唐突に幼なじみとなった相田航平と柚木楓。なにやら「ごっこ遊び」のような雰囲気だが、楓は真剣そのもの。しかも、昔からの憧れだけに、楓の幼なじみに対するこだわりは半端ではない。思春期を迎えた男女なら、躊躇（ちゅうちょ）するようなことでも、幼なじみなら問題なし。飲みかけのジュースを交換し合うといった、大胆なこともやってのける。航平は、そんな楓の言動にドギマギすることも多い。何しろ相手は、昔からの積み重ねがある本物の幼なじみではなく、中学2年生になって突然できた幼なじみ。魅力的な少女との近すぎる距離感に、戸惑いを覚えるのだった。

日々、ノリノリで幼なじみの関係を満喫する柚木楓と、戸惑いつつも、そんな新たな日常が楽しくもある相田航平。２人の関係は少しずつ、本物の幼なじみに近づいていく。もっとも、周囲に対しては、何とも説明しづらい間柄であることも事実。転校してきて間もない楓と航平が、互いを下の名前で呼び合っていることが知られれば、妙な噂が立つ可能性もある。そこで２人は、当分の間、お互いの関係を秘密にすることにした。ところがそんな中、目ざとく楓と航平の怪しげな様子に気づく者が現れる。それはクラスメートの夏目舞衣だった。ただし、舞衣は２人の正しい関係を見抜いたのでなく、ある意味当然ではあるものの、楓と航平が恋人同士であると勘違い。そんな舞衣の登場によって、物語はよりコミカルに展開していくこととなる。