会社と私生活－オンとオフ－

会社員の甘田とOLの阪久は同じ会社に勤務する同僚。二人の会社での印象は真逆で、人気者の甘田と変わり者の阪久には共通点がないように見えるが、実は甘田はゴスロリィタファッションを身にまとってオフを楽しみ、阪久はファンキーなパンクファッションを身にまとってオフを楽しんでいた。そんなある日、阪久が甘田の服を傷つけてしまう。そのお詫びとして連絡先を交換するが、お互いにメッセージアプリのアカウント名で呼んでいるため、会社の同僚であるとは思いもよらなかった。これをきっかけに、二人は互いのファッションセンスをリスペクトしながら、親しくなっていく。

甘田と阪久は、オンオフの切り替えがうまい。甘田は会社では上司の信頼も厚く、周囲への気遣いや紳士的な振る舞いで女性社員からの人気も高い。しかし私生活ではフリルやレース、リボンが飾り付けられたロリィタファッションとウィッグで女装して楽しんでいる。一方の阪久は、会社では地味でまじめな印象で、仕事にも厳しいため周囲からは嫌われているいわゆる陰キャ。しかし私生活ではパンクファッションを楽しみ、ダメージデニムや破れたシャツ、鎖やスタッズなど攻撃的な姿で過ごしている。そんなオンオフのギャップが激しい二人が、思いがけない場所で出会ったり、お互いの正体にいつ気づくのかも含めて、二人の絶妙な関係性から目が離せない。

高校時代から阪久と付き合いのある小学校教師の禄保は、自分のスタイルを貫く阪久に影響を受ける。職場ではスーツを着用し、子供たちと真剣に向き合っているが、オフになるとパンクファッションに身を包み、金髪を逆立て過激な変貌を遂げる。もともと過干渉な親元で暮らしており、勉強から服装まで親の言いなりの人生を送っていたため、自分の趣味嗜好（しこう）を表現することも許されず、受け入れてもらえなかった。そんなある日、阪久と出会ったことが保のライフスタイルに大きな変化をもたらすことになる。それ以来、二人はオフを共に過ごす仲となり、保にとって阪久は気を許せる数少ない友人となる。