いじめられっ子が不良グループの頭に就任
主人公の達人と翔は、最弱と最強という真逆な存在ながら瓜二つの容姿を持つ高校生。翔は不良連合グループ「グランドクロス」の頂点に立ち、1000人を超えるヤンキーたちを従える不良界のカリスマ、一方の達人は存在感がまったくないことから「二酸化炭素」のあだ名を持つ最下層のパシリで、二人は正反対の人生を送っていた。そんなある日、バイクに乗っていた翔は不注意から飛び出してきた児童と、彼を助けようとした達人を避けるために転倒して瀕死の重傷を負ってしまう。その後、達人が翔を病院に運び込んだことで一命を取り留め、達人の容姿が自分とそっくりなことに着目し、1か月のあいだ自分に成り変わってグランドクロスの総長を務めるよう依頼した。こうして達人は「伝説の頭・翔」として不良グループの頂点に君臨し、メンバーたちに入れ替わったことがバレないように振る舞いつつ、グランドクロスと敵対する不良グループと戦うことを余儀なくされる。
最強の武闘派グループ「グランドクロス」
不良連合グループ「グランドクロス」は、関東の暴走族やチーマーを統制するために翔が立ち上げた武闘派集団。いわゆる不良と呼ばれる少年が多く在籍しているほか、達人と同じようにパシリの少年も在籍している。メンバーたちは、圧倒的な強さとカリスマ的な人気を誇る翔を慕っていることから団結力は極めて高い。また、不良グループに対しては容赦しないが、一般人に対しては恐喝や暴行はいっさい行わず、ほかの不良グループと対立することで治安維持にも貢献しており、一部の少年課の刑事からも好意的にとらえられている。達人は翔に成り変わってグランドクロスの総長になったため、当初は彼らに自分の正体がバレないか戦々恐々としていたが、数々の修羅場をくぐり抜けることで仲間意識を強め、メンバーたちをかけがえのない友として彼らと信頼関係を築くことになる。
「グランドクロス」と敵対する悪漢たち
伝説の頭、翔が総長を務める「グランドクロス」は、圧倒的な力でほかの不良グループを統制して関東の秩序を保っていたが、かつてグランドクロスとの抗争に敗れて警察に捕まった金山や、グランドクロスをほかの不良グループと同じ穴のムジナと決めつけている警察本部の陣内など、彼らを快く思わない集団や人物も多い。中でもギャンググループ「レッドブリザード」は、麻薬の売買やヤクザと親交のある極悪集団で、グランドクロスの副長、大門を闇討ちしたり、パシリの吉田を人質にとってグランドクロスの全面降伏をせまるなど、卑劣な行為を繰り返していた。レッドブリザードに仲間を傷つけられたことで激怒した達人は、翔の後押しを受けてレッドブリザードの総長の蟇目とのタイマン勝負に臨む。
登場人物・キャラクター
山田 達人 (やまだ たつひと)
とある高校に通う男子。黒縁眼鏡をかけている。年齢は15歳。幼い頃より宮本武蔵にあこがれを抱き、彼のように強くなりたいと夢見ていた。しかし生まれて15年間、中学でも最下層のパシリにされている。まったく存在感がなく、人の役に立たないことから「二酸化炭素」という不名誉なあだ名を付けられている。自分の不甲斐なさから自己嫌悪に陥り、一度は自殺すら考えていたが、伝説の頭、翔と入れ替わって不良連合グループ「グランドクロス」の総長になったことで人生が大きく好転する。長年いじめられっ子に甘んじていたが、実際にケンカが弱いわけではなく、翔はその潜在能力の高さを見抜いていた。狂犬と恐れられる金山に勝利してからはタイマンに抵抗がなくなり、やがて翔に匹敵するカリスマ性を発揮するようになる。
伊集院 翔 (いじゅういん しょう)
不良連合グループ「グランドクロス」の総長を務める少年。達人と瓜二つの容姿をしている。金髪リーゼントで、小柄な体型をしている。わずかな期間で関東最大を誇るグランドクロスを築いたことから「伝説の頭」と呼ばれている。バイク事故で全治1か月の重傷を負い、現在は入院生活を送っている。ケンカが滅法強く、正義感の強い男気あふれる人物で、筋を通すことに強いこだわりを持っている。そのため、グランドクロスのメンバーのみならず、男女問わず多くの人たちから慕われている。達人に対して単なる入れ替わり以上の思い入れを抱いているが、これは彼が単に命の恩人というだけではなく、翔自身もかつてはいじめられっ子だったことも遠因となっている。また、達人から素手で金山を倒したことを知ると、彼がかつての自分のように大きく成長する可能性を秘めていることを直感し、その将来性に期待を寄せるようになる。
クレジット
- 原作
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夏原 武