包帯ごっこ

本作は、大学の医学部を舞台に医者を目指す若者たちの、不器用な恋愛模様と成長を描いたラブコメディ。物語の序盤は、身の丈に合わないことを望まない堅実な女子高校生・広瀬いつきが、国立大学の医学部を目指して日々勉強を続ける高校生活が描かれる。ある日、学校一の有名人でイケメンの日野恭介から「良い暇つぶしを知らない」と声を掛けられたいつきは、彼といっしょに図書館で勉強するようになる。そんな中、恭介が抱える心の傷を知ったいつきは彼を意識するようになるが、何事にも分不相応を避ける性分から、自分に自信が持てずに告白することができないでいた。その後、いつきは恭介がほかの男子と交わしている会話を偶然耳にして、彼を避けるようになってしまう。

月日は流れ、いつきは無事に医学部に合格するが、高校時代に好意を抱いていた恭介とは疎遠な関係のままだった。そして迎えた大学入学初日、いつきは医学部を受験していた恭介と再会する、まるで初対面のように振る舞う恭介に戸惑いを覚えるいつきだったが、その原因が高校時代に恭介を避けていた自分にあることを自覚していた。いつきは恭介に合わせて初対面のふりを続けるが、4年生になる頃には実習で彼といっしょになる機会が増えていく。そんな中、恭介が高校時代のいつきを大切な友達だと思っていたことを知り、傷つきたくないという自分の都合だけで恭介を避け続けていたことを反省する。

恭介の本音を知ったいつきは、彼が自分を恋愛対象外として見ていることを理解しつつも、友人関係に戻ることを決意する。いつきは昔のような友人関係に戻るために努力するものの、空回りしてしまい、逆に恭介に心配をかけてばかりいる。しかし、いつきは大学内の出来事や図書室でのトラブル、合宿を通じて、自分の本音が少しずつ漏れ出し、恭介とのすれ違いを克服していく。そんな二人のもどかしい恋の行方はもちろん、同じ医学部の仲間たちと共に過ごす青春のキャンパスライフも見どころとなっている。さらに、医大が舞台となってからは、医学部や医大生ならではのあるあるネタや豆知識も学ぶことができる。