日本で暮らすハーフたちの葛藤と共生を描く
本作は、日本で生まれ育ち、日本社会の中で生きる「ハーフ」たちの葛藤を描いたヒューマンドラマ。物語の中心人物は、日本人の母親とフランス人の父親を持つ和美。序盤は、弟の改名に複雑な思いを抱く和美の視点で物語が進むが、やがて彼女の友人である関口紗暎子をはじめ、多様なルーツを持つ人々へと焦点が広がり、群像劇へと展開していく。どのエピソードにおいても人種差別などのデリケートな問題が扱われているが、登場人物たちは生きづらさや周囲との葛藤を抱えながらも希望を失わず、共生の道を模索していく前向きなストーリーが特徴となっている。
弟の改名を機にアイデンティティに悩む
フランス人の父親と日本人の母親を持つ和美は、地元を離れて東京で暮らしていたある日、弟の米山優太マンダンダが「米山優太」へ改名したことを知らされる。生まれ育った日本で異物扱いされても、和美はこれまで笑ってやり過ごしてきた。しかし、優太から打ち明けられた切実な本音に触れ、彼女は自身の過去やアイデンティティと向き合わざるを得なくなる。Webライターとして働く和美は、仕事のパートナーである友人のシバタに優太の改名について相談しようか迷っていた。そんな矢先、見知らぬ男性からの心ない言葉に傷つき、張り詰めていた糸が切れてしまう。和美はシバタとすれ違う中で、これまで溜め込んできた不満や本音をついに吐き出すのだった。
ハーフとしての葛藤と親子の絆
中国人の母親と日本人の父親を持つ紗暎子は、日本で育ちながらも、つねに自分の居場所に違和感を抱いていた。中国の親戚とは馴染めず、母親が中国語を交えて話すため、言葉を完全に理解できずに悩んだこともあった。一方で、日本の学校では言葉遣いや風習の違いを指摘され、どこにいても自分が異質であると感じていた。現在、美容師として働く紗暎子は、常連客に自分がハーフであることを隠しているが、母親とのすれ違いや、常連客が中国人を差別する発言をしたことをきっかけに、心の悩みが深まっていく。誰にも相談できず一人で抱え込んでいたが、自分の変化に気づき、優しく心配してくれる母親をどうしても嫌いになれなかった。葛藤の末、紗暎子は母親にこれまで胸に秘めてきたすべての本音を打ち明ける。
登場人物・キャラクター
米山 和美マンダンダ (よねやま かずみまんだんだ)
フリーランスのWebライターとして働く女性。フランス人の父親と日本人の母親を持ち、黒髪のセミロングをドレッドヘアにし、色黒の肌を持つ。九州で生まれ育ったため博多弁を話し、周囲からは「マンダ」という愛称で親しまれている。5歳年下の弟、優太が改名したことをきっかけに、過去のトラウマが蘇(よみがえ)り、カメラマンの友人、シバタをはじめとする周囲の人間関係にも悩み始める。幼少期には、肌の色を理由にクラスメイトから嫌がらせを受けたり、容姿や名前を理由に差別された経験があり、面接で不採用になることもあった。日本で暮らすハーフの紗暎子たちとは定期的に集まり、近況を報告し合ったり愚痴を言い合ったりしている。
関口 紗暎子 (せきぐち さえこ)
美容室で働く美容師の女性。和美の友人で、中国人の母親と日本人の父親を持ち、金髪のボブヘアにしている。母親の里帰りに伴い何度か中国を訪れたことはあるが、日本で生まれ育ったため、中国語は簡単な単語以外は話せない。母親や中国人の親戚とのあいだで言語や文化の壁を感じ、学校では異物のように扱われた経験から、幼少期から他人との関係だけでなく家族関係にも悩みを抱えている。一見するとハーフとは分からない容姿のため、職場では親しい常連客にも自分のルーツを隠している。一方で、母親への理解を深めるために、密かに中国語の勉強を続けている。








