お嬢様と執事の学園ラブコメディ
執事の黒星は、ふだんは有能で頼りになる存在だが、お嬢様の紫に対してはつねに慇懃(いんぎん)無礼な態度を崩さず、彼女をからかったり振り回したりする自由奔放な一面を持っている。一方で過保護な側面もあり、その献身的な愛情表現が作品に甘さを添えつつ、ギャグ要素とみごとに融合している。甘い恋愛模様を描きながらも、テンポの良い掛け合いやキャラクター同士の心地よい距離感が見どころとなっている。
名家のお嬢様が勇気を出して一歩を踏み出す
紫は名家に生まれたお嬢様。もともとはお嬢様学校に通っていたが、周囲の環境や自身の引っ込み思案な性格から、なかなか友人を作れずにいた。そんな自分を変えたいと願い、彼女は勇気を振り絞って転校を決意する。孫に甘い祖父の快諾を得て、紫は共学の学校へ通い始めた。これまでとは異なり、多くの生徒が身近にいる環境に強い緊張を感じつつも、少しずつ周囲との交流を深めていく。本作はラブコメディであると同時に、紫が自分の殻を破り、新たな世界へ踏み出していく成長物語としての魅力も兼ね備えている。
主従ギャグが彩る日常の騒動
紫は、家族や執事の黒星以外の人とは緊張してうまく会話ができない。しかし、共学の学校で新しい人間関係に触れるうちに、徐々に他者との距離感を学び、少しずつ成長していく。一方で、過保護な黒星は紫を心配するあまり、清掃員に変装して学校に潜入したり、こっそり尾行したりと、場所を問わず騒動を巻き起こす。日常的な学園ラブコメディを軸に、お嬢様の健気な成長と執事の過剰な愛情表現による主従ギャグが絶妙に織り交ぜられているのが、本作の大きな特徴となっている。
登場人物・キャラクター
西園寺 紫 (さいおんじ ゆかり)
日本有数の名門、西園寺家の令嬢で、お嬢様高校の1年生の女子。年齢は16歳。淡い色の髪を肩まで伸ばし、人形のように端正な容姿を持つ。生真面目(きまじめ)でおしとやかな性格だが、世間知らずの箱入り娘ゆえに極度の人見知りで、知らない人の前では緊張して挙動不審になってしまう。以前通っていたお嬢様学校では、周囲が多忙だったこともあり、友人が一人もいなかった。そんな自分を変えたいと思い、共学の高校へ転校。新しい環境に無事馴染(なじ)み、友人を作ることに成功した。執事で幼なじみの黒星に淡い恋心を抱いているが、彼が清掃員に変装して学校の窓掃除をしている姿を見つけるなど、その過保護な行動には手を焼いており、つい雑なツッコミを入れてしまう日々を送っている。
黒星 (くろぼし)
西園寺家の執事を務める青年。黒髪で長身かつ痩身、非常に整った容姿を持つ。家事から学業のサポートまで幅広くこなす有能な執事だが、紫を主として扱わず、本来の雇い主である紫の祖父に対しても、慇懃無礼で自由奔放な態度を崩さない。一方で、紫に対しては明確な好意を抱いており、彼女を溺愛する点では祖父と意気投合している。紫に内緒で学校の清掃員として働き、度々彼女の前に現れては奇行を繰り返すなど、その愛情表現は常軌を逸している。ふだんはふざけた言動が目立つものの、紫がチンピラに絡まれた際には即座に駆けつけて鎮圧するなど、ボディーガードとしても非常に優秀である。
書誌情報
執事・黒星は傅かない 11巻 白泉社〈花とゆめコミックス〉
第1巻
(2019-07-19発行、978-4592215585)
第9巻
(2022-09-20発行、978-4592224181)
第10巻
(2023-01-20発行、978-4592224198)
第11巻
(2023-01-20発行、978-4592224204)








