夢の真昼

夢の真昼

吉村明美の代表作の一つ。平成の日本を舞台に、わがままな姉から距離を置くために引っ越しを決意した小田桐鈴子と、気難しい性格で周囲から敬遠されがちだが、豊富な人生経験を持つ水の江浜子。二人の共同生活を通じて、鈴子が人間として成長していく姿を描いたヒューマンドラマ。小学館「月刊flowers」2007年2月号から2016年5月号まで連載の作品。

正式名称
夢の真昼
ふりがな
ゆめのまひる
作者
ジャンル
家族
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女子大学生と老婦人の共同生活

女子大学生の鈴子は、アパートで一人暮らしをしていた。しかしある日、突然姉の鳩子が押しかけてきて、わがままを繰り返し鈴子を振り回すようになる。心身共に疲れ果てた鈴子は、姉から逃れるために、格安で間借りできる老夫婦の家へ引っ越すことを決意する。ところが、引っ越した直後にその家の主人である水の江島吉が亡くなってしまう。遺された妻の浜子とのぎこちない二人暮らしが始まるが、共同生活を重ねるうちに互いを深く理解し合い、やがて強い絆で結ばれていくのだった。

年齢が近い小田桐姉妹の確執

年齢が近い姉妹でありながら、性格はまったく正反対の鈴子と鳩子。鳩子は自己中心的な性格で、鈴子が母親に引き取られて贅沢な暮らしをしていると誤解し、何かと突っかかっては鈴子を悩ませていた。一方、鈴子も姉の強引な態度に悩みながら、自分の意見をうまく伝えられない弱さを抱えていた。鈴子が浜子の家に移り住んだあとも、鳩子の傍若無人な態度は変わらなかった。しかし、鳩子はよくも悪くも素直で、誰に対しても平等に接する一面があり、鈴子も彼女を嫌いになれずにいた。そんな二人の前に、予想外の出来事が次々と起こり、その因縁は離婚した両親とその再婚相手までも巻き込んでいく。

水の江家が紡ぐ新たな家族の絆

浜子は息子夫婦と折り合いが悪く、夫の島吉が亡くなった際には「お祖父さんを婆さまがいびって殺したのではないか」と噂され、誰も同居を申し出る者はいなかった。浜子自身も、息子たちの身勝手で俗っぽい振る舞いにうんざりしており、「誰にも世話になるつもりはない」と宣言。そんな中、引っ越してきた鈴子と二人で暮らし始めることになる。しかし、海外で活動している娘の子、高遠明や、息子夫婦の娘でありながら浜子を慕う波江が家に滞在することになり、鈴子も含めた彼女たちはやがて新たな「家族」として深い絆を築いていく。

登場人物・キャラクター

小田桐 鈴子 (おだぎり すずこ)

大学に通う女子。年齢は20歳。幼い頃に両親が離婚し、高校卒業までは母親とその再婚相手の三人で暮らしていた。優しく素直な性格だが、押しが弱く、自分の気持ちを相手に伝えるのが苦手。大学進学後は一人暮らしをしていたが、両親の離婚後しばらく会っていなかった鳩子が突然家に転がり込んでくる。鳩子のわがままから逃れるため、浜子の家で間借りを始める。共同生活の中で、つねに強気な浜子に振り回されながらも、次第に彼女を慕うようになる。浜子の厳しい指導を受けるうちに、鈴子は持ち前の優しさはそのままに、自分の意見をしっかり主張できる強い意志と、個性的な人々とも対等に渡り合えるしたたかさを身につけていく。浜子やその家族からは「すずめ」と呼ばれている。

水の江 浜子 (みずのえ はまこ)

鈴子と共同生活を送る女性。年齢は75歳。鈴子たちからは「婆さま」と呼ばれている。三男一女に恵まれたものの、息子夫婦とは非常に仲が悪く、顔を合わせるたびに口論が絶えない。強気な性格で辛辣な言葉が多いため、近所の人々からは敬遠され、「因業ばばあ」と呼ばれている。しかし実際は、他人の悪意に敏感で強い正義感を持ち、筋の通らないことには毅然(きぜん)と立ち向かう。信頼する相手には成長を願い、的確な助言を惜しまない。そのため、鈴子や孫の波江、明からは深く慕われている。

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