思春期の葛藤と成長を描くラブストーリー
本作は、岬と楡を中心に、高校生の男女が織りなす青春と恋愛模様を、思春期特有の未熟さや危うさを織り交ぜながら描いている。家庭環境に問題を抱える岬と、父親の影響で周囲から孤立している楡の共同生活を軸に、楡の幼なじみである井田日帆との再会をきっかけに物語が大きく動き出す。三人は次第に行動を共にすることが増え、大人たちの都合に翻弄され傷つきながらも、友情を深めて成長していく。また、共同生活や高校生活を通じて展開する三角関係の行方も、本作の大きな魅力の一つとなっている。
幼なじみの復学と複雑な三角関係
中学生の岬は、複雑な家庭環境で育ったため、幼い頃から周囲の友人たちとの違いを感じていた。高校進学後、そんな岬のとなりの席になったのは、以前からクラスで孤立し、いじめを受けていた楡だった。楡は裕福な家庭に育ったものの、高利貸しを営む父親の取り立てが原因で周囲から恨まれ、岬と同じようにクラスになじめずにいた。席替えをきっかけに二人は親しくなり、同じ高校へ進学。やがて、楡の父親が購入したフラットハウスで共に暮らすことになる。そんな中、ある事件で長らく疎遠になっていた楡の幼なじみの日帆が、長期欠席を経て復学する。日帆が楡に思いを寄せていることから、三人のあいだに複雑な三角関係が築かれていく。
三人の青春群像劇
日帆は幼い頃、父親が楡に恨みを抱き、彼の額に傷を負わせた過去があった。そのため、楡を大切に思いながらも強い罪悪感を抱いている。一方、岬は母親とその恋人と暮らす実家に居場所がなく、楡のフラットハウスで安らぎを見出し、次第に楡への思いを強めていく。そんな中、高校で迎えた初めての夏休み、楡は父親を激怒させて実家に閉じ込められてしまう。楡を助けるために岬と日帆は協力し合い、この出来事をきっかけに二人の友情は深まっていく。やがて、父親からの経済的援助がなくなったことで、岬たちはアルバイトを始める。平穏だった共同生活にさまざまな変化が訪れていくある日、楡が女性の香りを漂わせて帰宅する。気になった岬は思わず勢いで楡にキスをしてしまい、二人のあいだに気まずい空気が流れ始める。
登場人物・キャラクター
深山 岬 (みやま みさき)
高校1年生の女子。母親とその恋人と共に暮らす複雑な家庭環境のため、同年代の友人たちとの違いを強く感じ、クラスになじめずに孤立している。中学生時代からの同級生である楡とは、席替えをきっかけに親しくなり、やがて彼のフラットハウスでいっしょに暮らすようになる。共同生活を通じて楡に特別な感情を抱く一方で、日帆にも深い友情を感じており、恋愛と友情のあいだで葛藤を抱えていく。
廣瀬 楡 (ひろせ にれ)
高校1年生の男子。日帆の幼なじみ。中学生の頃、岬と出会った当時はクラスで孤立し、いじめを受けていた。父親が金融業を営んでいるため裕福な家庭に育ったが、厳しい取り立てが原因で周囲から恨みを買い、かつて日帆の父親に殴られてケガを負わされた過去がある。高校入学後は、父親が購入したフラットハウスで岬といっしょに暮らすようになり、幼少期の事件以来距離を置いていた日帆とも高校で再会を果たす。
井田 日帆 (いだ かずほ)
高校1年生の女子。楡の幼なじみ。幼少期に自身の父親が楡を殴る事件を起こし、その影響で両親が離婚した。そのため、長期間学校を欠席していたが、復学して楡と再会を果たす。さらに、楡と同居する岬とも出会い、これまで抱えていた楡への謝罪の気持ちを伝えて和解した。岬との友情も深まり、三人で過ごす時間が増える中、過去の出来事について楡に改めて謝罪し、心を通わせるうちに次第に彼に思いを寄せるようになる。
書誌情報
太陽が見ている(かもしれないから) 全8巻 集英社〈マーガレットコミックス〉
第1巻
(2014-09-25発行、978-4088452715)
第8巻
(2018-07-25発行、978-4088440699)








