平成敗残兵すみれちゃん

東条すみれは平成時代にアイドルとして活動していたものの、なかなか成功を収めることができずに夢をあきらめてしまう。しかし、令和に入ると従姉の泉雄星に背中を押され、インターネットや即売会を中心とした同人アイドル活動を通じてリベンジを果たすべく奮闘する。本作は同人活動やアイドルをテーマにしており、作中にはオタクネタやグラビア用語、アイドル用語が多く登場する。また、すみれと雄星を中心に繰り広げられるテンポのいい会話劇や、彼女が周囲に振り回されながら活動の幅を広げていくギャグコメディも楽しめる。

すみれは、かつてアイドルグループのグラビア番長として活躍していたが、芸能界の厳しい競争に敗れ、苦い過去を抱えている。三十路を迎えたすみれは、グループ解散後はスナックでアルバイトをしながら、ほぼニートのような生活を送っていた。令和時代に入ると、アパートによくやってくるオタク高校生の雄星から「同人アイドルとして再起を目指さないか」と提案される。当初はコスプレ写真集をイベントで販売したり、雄星が独自に作成したSNSで情報を発信したりするなど、小規模な活動から始まったが、写真集の売れ行きは好調で、撮影イベントや合同写真集など、活動の幅が徐々に広がっていく。さらに、コスプレファンやほかの同人アイドルからも注目を集め、雄星の才能も相まって、順風満帆な日々を送っていた。しかし、知名度が上がるにつれて、思わぬトラブルにも巻き込まれるようになる。

同人アイドル活動に励むすみれは、グラビアモデルやコスプレイヤーとしても有名な「ファムプロダクション」の代表を務めるファムファタ任三郎からスカウトされる。これをきっかけに、すみれはファムプロダクションの支援を受けながら、雄星のプロデュースで活動の場を広げていくことになる。その第一歩として、すみれと任三郎の合同コスプレ写真集が発売されることが決定した。物語は当初、すみれと雄星の二人を中心に展開していたが、次第に芸能関係者やアイドル時代の彼女のファン、かつてのアイドル仲間など、個性的なキャラクターたちが登場し、すみれの七転び八起きの日常はますます賑やかになっていく。