着物を着る楽しみを描く
本作最大の特徴は、着物を着ること自体の楽しみをメインテーマにしていること。大の着物好きである作者は、着つけの流れを儀式のように丁寧に描き、主人公を普段とは違う特別な存在へと変身させる。物語は1か月単位で進行し、弥生(3月)には、春らしい淡い桃色に蝶々柄の小紋と木蓮の柄の帯、文月(7月)には朝顔柄の浴衣(ゆかた)に爽やかな鶸萌黄(ひわもえぎ)色の帯など、季節や行事に合わせたコーディネートを披露していく。また、各話の最後には監修を務める着物スタイリストによるコラムがあり、物語に登場した着物の解説に加え、毎月のおすすめコーディネートが紹介されている。なお、ももが訪れる「京都・六曜社珈琲店 地下店」「大阪・中之島図書館」といったスポットはすべて実在のもので、単行本の最後に住所が掲載されている。
ももの初恋と成長物語
本作のもう一つのテーマは、ももの初恋と成長物語。ある会社の受付嬢をしているももは、休日になると祖母が遺してくれたたくさんの着物の中から、季節や目的にあったものを選び、おでかけするのが趣味である。3月5日、春らしい着物に着替えて京都の六曜社珈琲店を訪れたももは、静かに本を読むメガネの青年、椎名透也に一目惚(ぼ)れする。偶然の再会に淡い期待を抱きながら過ごしていたももだったが、じつは透也がももの会社の取引先の社員であることが判明。そこからももの恋愛は大きく動くことになる。ももは内気な女性で、なかなか行動を起こせない奥手な女性。一方の透也は、女性に冷たいところがあり、過去の経験から恋愛に臆病になっている男性。そんなピュアな二人のもどかしい関係を、着物とおでかけスポットを交えながら、ほのぼのと描いていく。
制作秘話
「KYOTO CMEXポータルサイト」掲載の作者インタビューによれば、主人公のももは、「身近に感じてもらえる」存在として「一般企業に勤めていて、どこにでもいる女の子」にしたという。また、「祖母のおさがりの着物」という設定にしたきっかけは、知人のおばあさんから素敵な着物を譲り受けたという作者の経験から、「祖母のおさがり」が一番身近で素敵だと感じたためである。また、本作の特徴として、一連の着つけの流れをしっかり描いているのは「掲載する雑誌には男性読者が多くいらっしゃるので、普段覗(のぞ)き見ることのできない部分を見せられたら面白いんじゃないか」というのが理由である。ちなみに着つけシーンは、作者自身が着物を着る様子を母に撮ってもらって描いているという。読者に対しては「着物に興味のなかった方が、漫画を読むことで『着物っていいな』と思ってもらえたら最高ですよね!」と語る。
登場人物・キャラクター
野々村 もも (ののむら もも)
大阪で家族と暮らすボブカットの女性。とある企業の受付嬢をしている。内気で恋愛に非常に奥手な性格。祖母が遺してくれた色とりどりの着物や帯が入った箪笥(たんす)を大切にしており、休日には季節や行き先に合わせたコーディネートでおでかけすることを楽しみにしている。京都の老舗喫茶店で見かけた透也に一目惚れする。
椎名 透也 (しいな とうや)
ももの会社の取引先の青年。右目尻の泣きぼくろとメガネが特徴。姉と妹がいる。根は優しいがクールな性格で、女性にやや冷淡なところがある。ももが喫茶店で一目惚れした相手で、その後デートを重ねる。昔の恋愛を引きずり、新たな恋愛に臆病になっている。
クレジット
- 監修
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コバヤシ クミ , 大川 枝里子
書誌情報
恋せよキモノ乙女 全15巻 新潮社〈バンチコミックス〉
第1巻
(2018-01-09発行、978-4107720375)
第9巻
(2022-06-09発行、978-4107725080)
第10巻
(2023-01-07発行、978-4107725615)
第11巻
(2023-08-08発行、978-4107726322)
第12巻
(2024-04-09発行、978-4107727039)
第13巻
(2025-01-08発行、978-4107727879)
第14巻
(2025-08-07発行、978-4107728609)
第15巻
(2026-03-09発行、978-4107729156)








