極道の孫娘がマフィアの愛娘に転生
極道一家の孫娘として育ったとある日本の少女は、17歳の時に敵対組織の刺客による銃撃で命を落とす。両親は生まれてすぐに亡くなり、祖父と過ごす日々に充実感を感じていたため、極道の娘としての人生に後悔はなかった。ただ一つ、周囲から恐れられていたため友達が一人もできなかったことだけが心残りであり、来世では平穏に暮らし、多くの友達を作りたいと願っていた。しかし、転生した先は生前にプレイしていた女性向けゲームの世界で、しかも王政を裏から支える五大ファミリーの一つ、「カルヴィーノ家」の一人娘だった。前世と似た裏社会から今度こそ距離を置こうとするが、極道の家で培った度胸と仁義を重んじる性格から、本人の思惑とは裏腹にあっさりとこの世界に馴染(なじ)んでしまう。さらにゲーム本来の不穏な要素も存在し、平穏を望む彼女の思いに反して、陰謀の渦中へと巻き込まれていく。
中世風異世界におけるスキル格差
フランチェスカが転生したのは、自動車や汽車が存在しない中世風の世界で、一部の人間が「スキル」と呼ばれる不思議な力を持っている。人々には「☆1」から「☆5」までのレア度が設定されており、☆1や☆2の者はスキルを使えないが、☆3以上になるとスキルを持ち、レア度が高いほど強力で複数のスキルを備えている。また、強力な敵も複数のスキルを持っており、その攻略法が重要なポイントとなる。転生後の世界でもこの設定は反映され、スキルは生まれつきの能力であり、貴族や王族にはスキルを持つ者が多く、平民はほとんどスキルを持たない。同じ炎をあやつるスキルでも、平民より貴族のほうが強力な場合が多く、ゲームにおけるレア度の差がそのまま社会的な力の差にもつながっている。ただし、能力の数値は伸ばせなくとも、スキルを使いこなすための訓練は可能である。たとえば、身体強化のスキルに高度な武術を組み合わせるなど、一見非力なスキルでも運用の工夫次第で強大な力を発揮できる。
五大ファミリーと「鉄の掟」
舞台となる王国では、表向きは王政に忠誠を誓いながらも、裏社会を支配する貴族「五大ファミリー」が絶大な影響力を誇っている。彼らは恐れられる存在であると同時に、多くの敵も抱えている。フランチェスカの生家であるカルヴィーノ家や、レオナルド・ヴァレンティーノ・アルディーニが率いるアルディーニ家など、各ファミリーはそれぞれ独自の立場や思惑を持ち、後継者たちがゲームの主要な登場人物となっている。物語は五大ファミリーを中心に展開し、前世のフランチェスカは全7章のうち、実装されている第5章までの知識を有している。各ファミリーは自らの思惑から陰謀を巡らせ、時には敵対関係となるが、その複雑な関係性は国を維持するための「鉄の掟」による相互監視の役割も果たしている。この「鉄の掟」には麻薬の売買禁止など、国家運営の根幹にかかわる規律が含まれており、違反すれば全ファミリーを敵に回す禁忌とされる。ゲーム内では、レオナルドがこの「鉄の掟」を巧みに利用し、五大ファミリー間に亀裂を生じさせることで、第5章までのシナリオにおけるラスボスとして立ちはだかる。そのため、フランチェスカは彼を危険視し、未実装のストーリーに隠された真の目的や秘められた能力にも警戒を怠っていない。
登場人物・キャラクター
フランチェスカ・アメリア・カルヴィーノ
五大ファミリーの一つである「カルヴィーノ家」の一人娘。年齢は17歳で、腰まで届く赤い髪と水色の瞳を持つ。前世では日本の極道一家の孫娘だったが、17歳の時に敵対組織の刺客に襲われ命を落とした。その後、生前にプレイしていた女性向けゲームのヒロインへと転生した。前世では家柄の影響で友人を作ることができなかったため、今世では平穏な生活を送り、たくさんの友達を作りたいと願っている。可憐(かれん)な外見とは裏腹に、極道一家を率いた祖父から「自分の責任は自分で負う」という教えを受け継ぎ、芯が強く仁義に厚い。前世で培った裏社会の知識と度胸により、危険な状況にも動じることはない。文武両道である一方、前世で友人がいなかったため対人関係は不得手。ゲームのシナリオを知っているため、王都以外の地に移り住めば平穏な生活を得ることができる。しかし、自身の不在がシナリオの破綻を招き、多くの人々を不幸にしてしまうため、監視の意味も込めて王都に留まり学校に通っている。学校では素性を隠すため、母方の姓である「フランチェスカ・アメリア・トロヴァート」を名乗っている。本来は利用される立場であったレオナルドから強い関心を寄せられ、ゲームの展開も次第に変化していく。彼女自身はゲームの主人公と同様に、他者のスキルを「強化」「育成」するという規格外の能力を持つ。育成したスキルは半永久的に持続するため、現代の貴族社会を根底から覆す可能性を秘めているが、そのあまりの危険性から、現カルヴィーノ家当主からは口外を厳禁とされている。
レオナルド・ヴァレンティーノ・アルディーニ
五大ファミリーの一つである「アルディーニ家」を率いる青年。年齢は17歳で、身長は180センチ。黒髪に金色の瞳を持ち、非常に整った容姿をしている。五大ファミリーの中でも屈指の勢力を誇り、ゲームのメインシナリオではラスボスとして君臨する人物。つねに飄々(ひょうひょう)とした態度で人懐っこく振る舞うものの、その威圧感と隙のなさで周囲を戦慄させている。本来のシナリオでは、婚約者であるフランチェスカを誘拐し、ファミリー間の抗争を引き起こす役割を担っていた。しかし、フランチェスカが転生した世界では、誘拐されても動じない彼女の肝の据わりに興味を持ち、さらに暗殺者から救われたことで、婚約者として異常なまでの執着と独占欲を抱くようになる。ゲーム内ではキャラクターとして未実装で、レア度も設定されていないが、プレイヤーからは「☆5」以上の評価を受けている。シナリオ上の三つのスキルのうち一つは「相手の動きを強制的に止める」というもので、人数制限がなく射程も長い。発動すれば問答無用で相手の行動を封じる非常に凶悪な能力だが、プレイヤーからはラスボスの能力としてはあまりに「地味」と評されている。残る二つのスキルは該当シナリオが未実装のため詳細は不明で、フランチェスカからも強く警戒されている。
クレジット
- 原作
-
雨川 透子








