放課後は喫茶店で

高校2年生の凛久と瑛都の恋愛模様は、ノスタルジックな雰囲気あふれる「純喫茶アネモネ」を舞台に、プラトニックな関係が心地よく展開される。端から見れば二人が会話しているだけのなんてことない時間が、二人にとっては互いに距離を縮めていく特別な時間でもあり、そのほっこりと温かい様子が丁寧に綴られる。

ヒロインの凛久は、クラスの中で浮いた存在の瑛都に好意を寄せている。友人たちからは瑛都の無愛想さを理由に反対されるものの、かわいいモノ好きの友人たちと、古きよきモノ好きの自分とは趣味が合わないと話半分に聞き流していた。そんなある日、昭和レトロ感あふれる「純喫茶アネモネ」を訪れた凛久は、店頭に立って接客する瑛都と出会う。さらに高校では無愛想でクールな瑛都が、優しい表情で楽しそうに接客する姿のギャップにハートを撃ち抜かれ、凛久は瑛都に会うため店に通うようになる。

凛久の恋のライバルは、瑛都の幼なじみであり、別の喫茶店の跡取り娘でもある高校3年生の桃山心。スタイル抜群でコミュニケーション能力にも秀でており、大人っぽい雰囲気を漂わせた美女ながら、肝心の瑛都からは異性として見られていない。一方の瑛都にも、チャラ男として校内で名を馳（は）せている墨染雷蔵という恋のライバルが存在する。雷蔵は表情豊かで、何事にも素直な反応を見せるピュアな凛久に好意を抱き、瑛都をライバル関係と認識して挑んでくる。