老舗呉服店「三つ星」の再建改革ドラマ
老舗呉服店「三つ星」は、かつて江戸城大奥の御用達を務めており、奉公人たちは誇り高く、その経営手法も旧態依然としたやり方を続けていた。しかし、明治時代に西洋文化が急速に広まった日本において、彼らのプライドがかえって経営の足かせとなり、店は苦境に立たされていた。そんな中、当主の星乃在寅が失踪し、新たに社長に就任した虎三郎は、英国留学で培った先進的な経営術を駆使して、三つ星の再建に向けて次々と改革を断行していく。
虎三郎による「三つ星」復興の挑戦
虎三郎は、玲司が提案した女性従業員の登用をはじめ、困窮する大名華族が所有する高級品の売立(オークション)の開催、さらには土足のまま商品を見て回れる店内改装など、三つ星に次々と大きな変革をもたらしていく。そのたびに奉公人たちからは批判が噴出し、取引先である大名華族からも一度は否定的な反応を受ける。しかし、実際に実行に移すと意外にも好評を博し、確実な利益を生み出していった。こうしてさまざまな反発を受けながらも試行錯誤を重ねることで、利益を向上させていき、虎三郎は三つ星をかつてのように活気あふれる大店へと着実に復興させていく。
商慣習改革による未来志向の店づくり
虎三郎が三つ星を盛り立てていく中で、昔ながらの奉公人たちも次第に次の時代を見据えた店づくりに意識を向け始める。女性従業員の働きぶりを認め、対等に接するようになったり、担当の帳場が違うという理由で分けて販売していた商品を、顧客の視点からセット売り販売を行うほか、展示方法も見直している。また、他店の事例を参考にしながら売り場づくりに励んだ結果、三つ星はさらなる大きな変革を迎えることになる。本作では、このように維新を経て急速に西洋化が進む時代の中で、ジェンダーの壁や古い商慣習を乗り越え、誰もが未来へ向けて奔走する姿が鮮やかに描かれている。
登場人物・キャラクター
星乃 虎三郎 (ほしの とらさぶろう)
老舗呉服店「三つ星」の三男。西洋の建築や服飾の流行を見据え、3年間にわたり英国へ視察留学をしていた。留学中に玲司と出会い、親交を深めている。帰国後、兄の在寅が多額の借金を重ね、店を窮地に追い込んでいる事実を知る。当初は下足番として働きながら三つ星の改革に挑んでいたが、在寅が店の金を持ち逃げしたことをきっかけに、自ら新社長に就任することになる。他人の長所を見抜くことに長(た)けており、帰国直後は厄介者扱いされていた奉公人たちからも次第に信頼を得ていく。玲司からは「虎」と呼ばれている。
鷹頭 玲司 (たかとう れいじ)
資産家の青年。英国で出会った虎三郎の経営者としての才能を見抜き、経営ノウハウを伝授した。誰に対しても高圧的で無愛想な態度をとるが、海外の流行に敏感で多くの商人と交流があるため、虎三郎からは信頼を寄せられている。三つ星の役員に就任してからは、多額の出資や当時としては珍しかった女性従業員の採用、さらには三つ星の株式会社化を提案するなど、積極的に再建に協力している。しかし、内心には何か思惑があるらしく、大番頭の牛島や番頭の五百雀からは完全には信用されていない。
書誌情報
日に流れて橋に行く 13巻 集英社〈愛蔵版コミックス〉
第1巻
(2017-10-25発行、978-4087920253)
第2巻
(2018-10-25発行、978-4087920345)
第3巻
(2019-10-25発行、978-4087920543)
第4巻
(2020-05-25発行、978-4087920598)
第5巻
(2021-03-25発行、978-4087920703)
第6巻
(2021-10-25発行、978-4087920819)
第7巻
(2022-07-25発行、978-4087920840)
第8巻
(2023-04-25発行、978-4087920864)
第9巻
(2023-12-25発行、978-4087920901)
第10巻
(2024-08-23発行、978-4087920956)
第11巻
(2025-05-23発行、978-4087921014)
第12巻
(2026-02-25発行、978-4087921045)
第13巻
(2026-09-25発行、978-4087921069)








