月の燃えがら

勢いで家出した女子高校生の菅原千鶴が夜のホストクラブに迷い込み、売れないホストの恭太と出会うところから物語が始まる。行き場がない千鶴はそのまま恭太の自宅に同居し、恭太や彼の友人と共に過ごす日々の中、初めてのアルバイトを経験したりと、小さな幸せと平穏を見いだしていく。ふつうに暮らしていたら、決して交わることのなかった二人の奇妙な同居生活の中で生まれる恋愛模様が、少女漫画の要素を交えて展開される。

ヒロインの菅原千鶴は衝動的に家出をしたものの、学校や家庭でも問題児ではなく、おとなしく生真面目な性格の女子高校生。二度と家に戻らない覚悟で家出をした理由は、千鶴の継父が大きく関係しており、当初はその詳細な経緯が謎のままにストーリーが展開される。そんな千鶴を保護した恭太も訳あってホストを生業としているが、イケメンながら不器用な性格が幸いしてホストとしては全然売れていなかった。恭太が本来ホストと無縁な千鶴を保護した理由や、不向きと自覚しながらもホストになった事情が徐々に明らかになる。

菅原千鶴は恭太と過ごすうちに淡い恋心を寄せるようになり、できることならずっと共に暮らしたいと考えていたが、まだ高校生で家出した彼女の新しい生活には障害も多い。また、千鶴の継父が捜索願を出しているため、彼女はつねに警察の目から逃れる必要があり、決して自由の身ではなかった。その後もさまざまなトラブルに巻き込まれながら、二人はお互いの居場所を懸命に見つけようとする。