月読くんの禁断お夜食

パーソナルジム「access」でトレーナーを務める御神そよぎは、お客様に美と健康を届けるために日夜仕事に励んでいるものの、生真面目でストイック過ぎる性格なあまり、夜はいつも疲弊してネガティブ思考のスパイラルに陥っていた。そんなそよぎは、自らも率先して食事制限をしており、その日も空腹と寝不足の中で帰路についていたが、酔っ払いに絡まれているところを、一人の青年･月読悠河に助けられる。月読は食事制限だけのダイエットで体調の悪そうなそよぎを見かねて、料理を作ることを提案する。そよぎは半ば押し切られる形で自宅で月読に料理を作ってもらうことになり、久しぶりの温かな食事で心が満たされ、ネガティブな夜から解放されるのだった。

月読はそよぎに定期的に料理を作ることになるが、その関係を続けるにあたって月読は契約書を作り、その中に「恋愛禁止条項」を明記する。そよぎは納得の上で契約を交わしたものの、温かい気遣いのできる月読に思わずときめいてしまい、契約を思い出しては身を引き締めることを繰り返していた。しかし、月読の美味しい料理と気配りに癒やされているそよぎは、奇妙な関係と思いつつも、彼が自宅に訪れることを密かな楽しみにしていた。しかし月読の正体が、そよぎの所属するジム「access」とはライバル関係にある「アサヒナスポーツクラブ」の食事指導員だったことが判明する。アサヒナスポーツクラブは前々から優秀なトレーナーであるそよぎに目を付けていたが、どんな好条件を提示してもそよぎは首を縦に振ることはなかった。そのため、月読は食事を通してそよぎとなかよくなり、彼女をスカウトしようと考えていたのだった。

本作『月読くんの禁断お夜食』は、トレーナーがあえて夜食を食べるという設定のグルメ漫画。不規則な食事は体に悪いとトレーナーのそよぎ自身も語っているが、私生活を徹底的に管理したストイック過ぎる環境もストレスを溜め、疲労困憊（こんぱい）になってしまう。月読が作る温かくおいしい食事は、そんな無意識に溜めがちなストレスを発散させ、疲れた心や身体を癒やしてくれる。また本作で登場する料理は、低カロリーでありつつも滋養強壮効果のある料理が多いのが特徴で、夜食で食べるという罪悪感を薄れさせている。これらの料理のレシピはコミックス巻末に収録されており、実際に作ることもできる。