青森への移住が紡ぐ再生のヒューマンドラマ
本作は、埼玉のアパレルショップで働いていたアリスと、リンゴ農家の美青年、正市との出会いと交流を軸に描かれるヒューマンドラマ。都会での人間関係や家族の問題に疲れたアリスは、心機一転を図るため、青森への移住を決意する。豊かな自然と美しい風景を背景に、優しく温かな雰囲気の中で物語が紡がれていく。一方で、アリスは正市をはじめとする青森の人々や自然に癒されるものの、田舎特有の人間関係の難しさにも直面する。自身のコンプレックスや家族との確執とどのように向き合っていくのかが、本作の最大の見どころとなっている。
都会育ちのアリスが青森でイケメンと出会う
華やかな名前とぽっちゃりした体型にコンプレックスを抱えるアリスは、他人と自分の容姿を比べては自己嫌悪に陥りがちで、さらに押し付けがましい母親との関係にも悩んでいた。そんなある日、青森に住む祖母の藤田エツから届いたリンゴをきっかけに、アリスは地元を離れ、しばらくエツの家で過ごすことにする。都会育ちのアリスにとって、豊かな自然に囲まれた青森の風景はまるで別世界のように感じられた。新鮮な景色に心を躍らせるアリスだったが、エツの家へ向かう途中で出会ったリンゴ農家の青年、正市が、なんとエツの家の離れに住んでいることを知る。不慣れな土地で、同年代の男性と半ば同居する形になったアリスは戸惑いながらも、正市の不思議な優しさに触れ、彼やその家族との交流を深めながら、少しずつ新たな生活を歩み始める。
特別支援学級での学びを通じて成長していく
青森での生活に徐々に慣れてきたアリスは、仕事探しを始める。そんな中、正市たちの勧めもあって、近所の小学校にある特別支援学級「りんごの木」の担任を務めることになる。さまざまな事情を抱えた子供たち一人ひとりと向き合う日々の中で、アリスは悩みながらも彼らと共に成長し、自分の居場所を見つけていく。順調に思えた新生活だったが、彼女の何気ない一言がきっかけで正市とのあいだに誤解が生まれ、二人の心はすれ違ってしまう。その後、美しい容姿ゆえに人柄や能力を決めつけられ、過度な期待を寄せられた末に理不尽に失望されてきた正市の、悲痛な本音と過去が明らかになっていく。
登場人物・キャラクター
加藤 アリス (かとう ありす)
埼玉県で両親と暮らす女性。年齢は25歳。かわいらしい名前とは裏腹に、自身のふくよかな体型に強いコンプレックスを抱いている。幼い頃からファッションに強い関心を持ち、かつてはアパレルショップの店員として働いていたが、体型のせいでお気に入りの服をうまく着こなせず悩んでいた。さらに、高カロリーな料理を出しては体型をからかう母親との確執もあり、心機一転を図るため、祖母のエツが住む青森へ引っ越すことを決意した。青森で出会った正市に、赤くふっくらとした頬をリンゴに例えられ、彼が育てるジョナゴールドというリンゴにちなみ、「ジョナ」という愛称で呼ばれるようになる。短大で取得した教員免許を活かし、桜庭菜知が通う小学校の特別支援学級「りんごの木」の担任教師として働き始めた。
桜庭 正市 (さくらば まさいち)
アリスの祖母、エツの家の離れに居候している男性。黒髪短髪のイケメンで、津軽弁を話す。一時期は東京に滞在していたが、帰郷した際には実家に兄の純市が家族と共に暮らしており、自分の居場所のなさや肩身の狭さからエツの家に身を寄せるようになった。現在は、教師となった兄に代わり家業のリンゴ農家を継いでいるが、家族との関係はあまり良好とは言えない。埼玉から来たばかりのアリスには、道案内や仕事の紹介など、何かと親切に接している。しかしその内面には、イケメンであるがゆえに身勝手な期待を寄せられたり、「残念なイケメン」と揶揄(やゆ)された過去が深いトラウマとなっている。
桜庭 菜知 (さくらば なち)
小学3年生の女子。加藤アリスが担任を務める特別支援学級「りんごの木」に通っている。正市の兄、純市の娘で、叔父にあたる正市に面倒を見てもらうことも多い。場面緘黙(かんもく)症のため、家族の前でも口数が少なく、特に他人の前で話すことを極端に苦手としている。そのため、通常学級の環境になじめず、ストレスから体調を崩したり登校を嫌がることが増えたため、「りんごの木」へ転籍した。教師や友人との会話では、筆談を使うこともある。








