鮮やかな色の髪を持つ色彩の子
本作は「色彩の子」と呼ばれる、性別がない子どもが存在する架空の国を舞台にしている。茶色の髪を持つ人々が普通の世界で、ごくまれに鮮やかな色の髪の子どもが生まれることがある。色彩の子が生まれた場合、親は山奥の寺院「極彩の家」に預けなければならない。それは、色彩の子の髪は切り落とした瞬間に極上の顔料になるからである。その後顔料は職人や芸術家の手にわたり、作品作りや国の行事など様々なことに使われる。極彩の家の子どもたちは学費も生活費も免除され、17歳までを寺院で過ごす。そして大人になり髪色が普通の人と同じになっても生涯生活は保証される。また、小さい頃から寺院に預けるのは、外界と交わらず無垢な存在でいたほうが髪の純度によいという理由もあるらしい。
極彩の家での日常と行事
極彩の家は、四季折々の花が咲く美しい庭園に囲まれた山奥の寺院である。ここに連れてこられた色彩の子は、髪色にちなんだ新しい名前を付けられ、外界と隔絶された環境で教育を受けながら暮らすことになる。極彩の家には独自の行事もある。その代表的なものが「色奉(しきほう)の儀」である。彼らの髪は1か月もすれば背中まで伸びるので、月に一度の「色奉の儀」で一斉に切り落とす。その代表として一番に髪を落として本尊に捧げるのが「色納め役」で、役目を務めることは大変な名誉とされている。色奉の儀の後にやってくるのが「花祭」。花祭は芸術関連のご利益(りやく)があるといわれており、参拝客が本尊の髪に花を飾りにくる色彩の祭典である。色彩の子らは花束を持ち歩き、互いの髪に花を挿し合う習わしとなっている。
色彩の子らの成長や人間ドラマ
色彩の子は幼い頃から極彩の家で暮らしているのが普通である。そんな中、極上の色とされる「漆黒」の髪を持つ烏羽が、13歳という年齢で極彩の家にやってくる。烏羽は、色彩の子であることを隠して母と二人暮らしをしていたが、ルカという画家の青年に通報され極彩の家で暮らすことになる。稀少な黒髪を持つ烏羽は、色奉の儀の色納め役に指名されるが、それに反発したのが天藍だった。極上の青髪を持ち、毎年色納め役を務めてきた優等生の天藍は、新参者の抜擢に納得がいかず、烏羽と衝突してしまう。しかし喧嘩の後、互いの過去を告白しあい、二人は友情で結ばれるようになった。美しく中性的な存在である色彩の子らは、それぞれ個性的で様々な事情を抱えている。彼らが繰り広げる友情や淡い恋愛感情、悩みを克服していく成長といった人間ドラマが本作の大きな魅力となっている。
登場人物・キャラクター
烏羽 (からすば)
超貴重な漆黒の髪を持つ13歳の子ども。本名はエルト。色彩の子であることを隠し、人里離れた森の中で母と二人暮らしをしていた。父親の行方は不明。ある夏の日、山の中で出会った画家の青年、ルカと親しくなるが、通報されて極彩の家で暮らすことになる。当初は周囲に馴染(なじ)めずにいたが、喧嘩を経て天藍と仲良くなり、優しい先輩の紅との出会いもあって次第に環境に馴染んでいく。
天藍 (てんらん)
美しい青色の髪を持つ品行方正な優等生。プライドが高く、青の子の中で自分が一番美しいことを自負している。貧しい母子家庭で育った三人兄弟の末っ子。父親は天藍が生まれた直後に事故で亡くなっている。「色奉の儀」で「色納め役」を務めるのは当然と考えていたが、珍しい漆黒の髪を持つ烏羽に役目を奪われたために、烏羽と衝突する。
書誌情報
極彩の家 全14巻 新書館〈ウィングス・コミックス〉
第1巻
(2016-05-26発行、978-4403622175)
第2巻
(2017-04-26発行、978-4403622403)
第3巻
(2017-12-26発行、978-4403622540)
第4巻
(2018-07-26発行、978-4403622656)
第5巻
(2019-03-22発行、978-4403622809)
第9巻
(2022-07-25発行、978-4403623455)
第10巻
(2023-05-26発行、978-4403623592)
第11巻
(2024-03-25発行、978-4403623721)
第12巻
(2025-02-26発行、978-4403623899)
第13巻
(2025-08-26発行、978-4403623967)
第14巻
(2026-02-26発行、978-4403624032)








