新解釈『西遊記』の煩悩コメディ
本作は『西遊記』を原作とし、三蔵法師が孫悟空、猪八戒、沙悟浄の三人を従えて旅に出るところから物語が始まる。従来の主役である悟空ではなく三蔵法師を主人公に据え、お供たちをはじめ多くのキャラクターが女性に変更されているほか、豊富なギャグ要素が盛り込まれ、作者独自のアレンジが随所に施されている。さらに、コミックスには原作『西遊記』のストーリーや見どころを紹介するおまけコーナー『原作☆西遊記』が収録されており、原作を知らない読者でも楽しめる内容となっている。
三蔵法師の煩悩との闘いと修行の旅
本作に登場する三蔵法師は人間でありながら、孫悟空たちに匹敵するほどの強大な力を持っている。その気になれば短期間で天竺に到達することも可能だが、修行の一環として煩悩に耐えながら徒歩で天竺を目指すよう、釈迦如来から命じられている。旅の途中、色欲をはじめとするさまざまな煩悩が次々と三蔵法師に襲いかかる。三蔵法師は誘惑に駆られるたびに必死に自分を落ち着かせ、時には自らを傷つけてまで煩悩を振り払おうと奮闘している。
三蔵法師とお供たちの煩悩と葛藤
幾度となく煩悩に翻弄される三蔵法師と同様に、彼のお供である三人もそれぞれに悩みを抱えている。孫悟空は不老不死であるがゆえに、親しい者たちといつか別れなければならない運命に苦しみ、自らの不死を次第に疎ましく感じるようになる。猪八戒は強い食欲や性欲に翻弄される自分を憂い、沙悟浄は自信のなさから三蔵法師に強い依存心を抱いている。三蔵法師はそんな彼女らを「手がかかるが大切な娘」のように思い、それぞれの悩みに真摯に向き合おうと努めている。しかし一方で、「彼らとは決して恋愛関係になってはならない」と自らを厳しく戒めているのだった。
登場人物・キャラクター
三蔵法師 (さんぞうほうし)
僧侶の青年。ふだんは「三蔵法師」と呼ばれている。直属の上司である釈迦如来をはじめ、一部の関係者からは戒名の「玄奘」と呼ばれることもある。孫悟空、猪八戒、沙悟浄と共に、特殊な経典を受け取るため天竺への旅を続けている。生真面目(きまじめ)で礼儀正しく、面倒見がよいため、三人のお供から慕われている。また、安易な方法を好まず、あえて自ら苦労を伴う手段で問題を解決しようとするストイックな一面もある。一方で、修行中心の生活を送ってきたため女性に対する免疫がなく、あられもない姿を目にすると動揺してしまうことが多い。人間でありながら仙術を使いこなし、悟空たちに劣らない戦闘能力を発揮する。そのため、本来なら数日で天竺に到着することができるものの、釈迦如来の意向により徒歩での旅を強いられている。
孫 悟空 (そん ごくう)
三蔵法師の旅に同行する上仙の女性。自らを「斉天大聖」と名乗ることもある。さまざまな仙術を駆使し、伸縮自在の「如意棒」や雲を飛ぶ乗り物「筋斗雲」を自在にあやつり、強力な妖怪を圧倒する高い戦闘力を誇る。花果山では親分のように振る舞い、手下の猿たちからは「姉さん」と慕われている。裏表のない性格と面倒見のよさから、猪八戒や沙悟浄からも厚い信頼を寄せられている。効率を重視し、物事を手早く片付けることを好む一方で、三蔵法師に対しては深い慕情を抱きながらも素直になれず、好意の裏返しとして突き放すような態度をとることが多い。
書誌情報
煩悩☆西遊記 13巻 小学館〈サンデーGXコミックス〉
第1巻
(2020-11-19発行、978-4091576149)
第2巻
(2021-02-19発行、978-4091576255)
第3巻
(2021-07-19発行、978-4091576439)
第4巻
(2022-01-19発行、978-4091576675)
第5巻
(2022-08-19発行、978-4091576866)
第6巻
(2023-02-17発行、978-4091577290)
第7巻
(2023-08-18発行、978-4091577795)
第8巻
(2024-02-19発行、978-4091577979)
第9巻
(2024-07-18発行、978-4091578280)
第10巻
(2025-01-17発行、978-4091578525)
第11巻
(2025-06-19発行、978-4091578846)
第12巻
(2025-11-19発行、978-4091582072)
第13巻
(2026-01-19発行、978-4091582102)








