鳥たちが人間の姿で暮らす不思議な町
松戸町外れの森の中には忘れ去られた小さな祠(ほこら)があり、さらにその後ろにはてっぺんが見えない程の大きな御神木がある。そんな町にはるい以外にも、人間に姿を変えた鳥たちがたくさん暮らしている。シマフクロウのるいをはじめ、鳥カフェ「グワイヒア」のオーナーのおつうはタンチョウヅル、店長の船橋稔はコウテイペンギン、グワイヒアのライバル店「クレーエ」のオーナーの紅子はハシボソガラス、店員の真黒はハシブトガラスなど、鳥種は多岐に渡る。鳥が人間に化けることができるのは、るいがツリーハウスを建てて住んでいる御神木の加護によるものだとされており、この御神木が本作のナレーションも務めている。
ヒロインはシマフクロウの女の子
その正体はシマフクロウではあるものの、あくまで女子高校生として生活を送っているるいは、周囲から不思議な女の子として扱われている。無表情で首が180度回ったり、笑顔が非常にぎこちなかったりと、るいのように人間に姿を変えている鳥類の友人以外からは距離を置かれ、その奇天烈な行動を見た子供たちからは、怯え泣き叫ばれることも多い。しかし、心根が優しいためか鳥たちからは異様に好かれており、るいが呼びかけると無数の鳥たちがその場に集まってくる。そんな不思議な魅力にあふれている彼女に、遊は次第に好意を寄せるようになる。
恋の障壁は「人間」と「猛禽類」であること
るいと遊は、第一印象は最悪のスタートだったが、そこから二人の好感度はゆっくりと上がっていく。当初、るいの正体が鳥であるという事実に半信半疑だった遊も、実際にるいがシマフクロウの姿になって見せたことから、現実を受け止めざるを得なくなる。さらに種族の壁を乗り越え、彼女への恋心を自覚した遊の前に、るいに好意を寄せるシロハヤブサの小隼カスミや、かつて遊に告白した人間の少女、我孫子エミが現れ、遊は種族を超えた恋愛について深く考えるようになる。
登場人物・キャラクター
猛禽 るい (もうきん るい)
県立鷹匠高等学校に通う2年生の女子。年齢は16歳。黒髪ロングヘアにアホ毛が2本飛び出している。目つきが鋭く、無表情で唐突に首を180度回転させるため、初対面の相手から怖がられている。松戸町の外れの御神木の上にあるツリーハウスに住んでおり、登校の際には玄関前のポーチから遥か下の地面に飛び降りるため、近所の子供たちからは幽霊と間違えられることもある。鳥カフェ「グワイヒア」が、ファミリーレストランだった頃からアルバイトをしており、遊とはそこで知り合った。その正体は人間ではなくシマフクロウで、鳥たちから非常に慕われている。グワイヒアには、タンチョウでオーナーのおつう、コウテイペンギンで店長の船橋、シマエナガで店員の白井あかねが働いている。
小鳥 遊 (ことり ゆう)
黒陽高校に通う2年生の人間の男子。年齢は17歳。小鳥の翼のような羽を持つ。長めの茶髪で右目は前髪で隠れている。遊を見た女性のほとんどが見惚れるほどのイケメンながら、当初は粗暴な性格の不良だった。現在の鳥カフェ「グワイヒア」がファミリーレストランだった頃、迷惑客としてスタッフに認識されており、るいからも注意を受けたことがある。しかし、るいの友人で伝説のヤンキーと知られる小野まきみに調教を受けて改心し、好青年へと生まれ変わった。その後、鳥カフェに改装したグワイヒアで見習いとしてアルバイトを始め、次第にるいに好意を抱くようになる。