終末ツーリング

本作の舞台は、文明が崩壊し、静寂に包まれた日本。街にはかつての人々の姿はなく、ポストアポカリプス的な世界が広がっており、ヨーコとアイリが1台のセロー225に乗り、この終末の世界を気ままに旅する様子が描かれる。旅の途中では、東京ビッグサイトや秋葉原、箱根の温泉街など、実在の場所をモデルにした数々のランドマークが姿を現す。それらはすべて朽ち果て、かつての面影をわずかに残すのみとなっている。そんな風景の中で、ヨーコとアイリはかつての日本に思いを馳せ、失われた文明への郷愁と寂しさを感じながらも、変貌した世界を明るく生き抜いていく。

主人公のヨーコとアイリは、多くの謎を抱えた少女たち。特にヨーコは不思議な力を持っており、夢の中で過去の映像を見ることができる。彼女は廃墟となった名所のかつての姿を垣間見ることができ、その映像は荒廃した現在と活気に満ちた過去をつなぐ重要な要素となっている。ヨーコ自身はなぜこの力を持っているのかは知らないが、過去を生きた人々の思いや、今はもう見ることのできない賑やかな光景に触れることが、彼女が新たな地を目指す強いモチベーションとなっている。

ヨーコとアイリは、人々の姿が消えた荒廃した世界を旅しながら、さまざまな出会いを重ねていく。彼女たちが出会うのは、家族を思い続けるサイボーグとなった元人間や、音楽を未来に残すためにラジオ放送を続けるAI、そしていつの日か人々が戻ることを夢見て温泉宿を再建し続けるロボットなど、個性豊かなキャラクターたち。彼らはそれぞれ魅力的な個性とドラマティックな背景を持っている。ヨーコとアイリは、彼らとの出会いを通じて多くのことを学び、成長していく一方で、別れを惜しみ、時には悲しみに暮れることもある。