英戦のラブロック

宙野陽彩は、「火葬の英雄」として知られる宙野蒼の弟。7年前に一度死んだことで「火葬」の能力を持つ超人種として蘇生し、英雄として活躍する蒼と違い、陽彩は英雄にはなれず、彼らの戦いの後始末をする「掃除人」として過ごしていた。そんな中、陽彩と蒼の幼なじみの南海イルカが、超人に関する研究を進めている「ハーヴェスト社」から実験体として狙われる。彼女を守ろうとした陽彩は、ハーヴェスト社の刺客である「岩石の英雄」によって瀕死の重傷を負う。しかし、その影響で「再構築」の能力を持つ英雄として蘇生し、イルカを殺そうとする蒼に抵抗を示す。陽彩は蒼に制圧されるが、蒼が任務を放棄した裏切り者として殺害された際、彼の体を借りる形で「再構築」を発動し、二人の肉体が融合。こうして陽彩は蒼の持つ能力「火葬」を継承し、二つの能力を得た彼は、特異な存在としてハーヴェスト社から注目されるようになる。

本作に登場する人類は、「英雄」と呼ばれる一握りの超人と、「群衆」と呼ばれる一般人に二分される。英雄は強大な力と「能力」と呼ばれる特殊な力をあやつり、中には自然現象を自在にあやつる者すら存在する。その発生原理は現在も不明だが、陽彩や蒼のように、一般人が死を迎えた際に英雄として再生することがある。英雄は表向きこそ周囲にもてはやされているものの、実際にはその力を私欲のために使う者も多い。中でも、エージェントとしてハーヴェスト社に所属している英雄たちは、「英雄法」と呼ばれる自分たちに都合のいい法律を制定し、意に沿わない群衆を一方的に弾圧したうえで、会社の力で自分たちの悪事をもみ消している。この事実に気付いた陽彩と幼なじみの南海イルカは、ハーヴェスト社から追われる身となり、逃亡生活を余儀なくされる。

「反英雄組織」の異名を持つラブロックは、世間にもてはやされている英雄たちの悪事を暴き、その野望を阻止するために結成された秘密組織である。その目的は、暴走して秩序を乱す英雄による被害を防ぐことであり、隠密行動を徹底しているため、一般人からはその存在を知られていない。多くの英雄たちからは取るに足らない存在とされているが、冷静な判断力と卓越した剣術を持つ八千代や、人並外れた腕力を誇る実行部隊リーダー・九鬼涼真など、並の英雄を遥かに凌ぐ実力者がそろっている。さらに、火葬の英雄の力を継承した宙野陽彩が加入したことで、その戦力は盤石なものとなった。