虐殺ハッピーエンド

虐殺ハッピーエンド

向浦宏和の代表作の一つ。原作は『不能犯』をはじめとする、心理戦や催眠術を題材にした漫画原作を多く手掛けている宮月新が務めている。現代の日本を舞台に、難病に冒された妹、草壁詩織を救うためアルバイトに明け暮れていた高校生の真琴が、とあるきっかけで「人を殺さなければ永遠に同じ1日を何度もループする」という神様のイタズラにより、殺人を繰り返す姿を描いたタイムリープサスペンス。白泉社「マンガPark」で2017年8月3日から2019年12月5日まで連載。続編に『虐殺ハッピーエンド~蒼の章~』がある。

正式名称
虐殺ハッピーエンド
ふりがな
ぎゃくさつはっぴーえんど
原作者
宮月 新
作画
ジャンル
タイムトラベル
 
サスペンス
レーベル
ヤングアニマルコミックス(白泉社)
巻数
全8巻完結
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1日一人、誰かを殺さなければ明日が来ない

本作におけるタイムリープの条件は、「人を殺さないとその日をループする」という謎めいたもの。翌日に時間を進めるためには、「1日一人」人を殺害する必要がある。最初は殺人に罪悪感を抱いていた真琴だったが、タイムリープが始まった7月10日に重病で入院している妹の詩織のドナーが見つかり、8月10日に手術が決定した。そのため、詩織を救うにはなんとしてでも時間を進めなければならない。1日巻き戻るごとに妹の詩織の病状が悪化していくことに気づいてからは、積極的に人を殺害するようになる。

きっかけは神社での慟哭から

真琴がタイムリープするようになったきっかけは、詩織の入院費用を父親が使い込んだことを知った真琴が、神社で「未来に絶望しかないのなら僕と詩織に明日なんか来なければいい」と叫んだことに起因する。最初はタイムリープから脱する条件を知らなかった真琴だが、いつの間にか握っていたおみくじの「憎むべきものの命断ち切りて後に明日一の扉開かれん」の文言がヒントとなる。

情け容赦ない負のスパイラル

真琴は自分に与えられた絶望的な運命の中、さまざまな葛藤を感じながらも自らが殺してもよいと判断した「悪人」を次々に殺害していく。しかし警察の捜査がせまり、周囲の人間の動向、何よりも妹の余命が減っていくにつれ、だんだんと真琴は殺人鬼の顔になっていく。そんな中、真琴がタイムリープすることを知る人物も現れ、それが味方なのか敵なのか、疑心暗鬼に駆られる。また、タイムリープする瞬間に触れていた人間や物質は、いっしょにタイムリープする性質を持っており、やり直せばやり直すほど、敵が増える悪循環に陥っている。

登場人物・キャラクター

草壁 真琴 (くさかべ まこと)

宮幸高校に通う2年生の男子。ウェーブがかった黒髪をショートボブヘアにしている。眉目秀麗な好青年で、何度か男性から犯されそうになったことがある。余命宣告されている妹の詩織の治療費を稼ぐため、日々アルバイトに明け暮れている。しかし、父親に入院費用を奪われたことに慟哭し、とある神社で「未来に絶望しかないのなら僕と詩織に明日なんか来なければいい」と叫んだことがきっかけで、「1日一人、憎いと思う人間を殺さなければ同じ1日を繰り返す」という、神様のイタズラのようなタイムリープを繰り返すようになる。最初は時間を進めるため短絡的に殺人を犯していたが、次第にタイムリープの特性を利用し、真琴自身が殺人犯だと露見しないように殺害方法を画策している。幼なじみの新庄弥生からは「マコちゃん」と呼ばれている。

草壁 詩織 (くさかべ しおり)

真琴の妹で、中学生の女子。宮幸市立病院に入院している。7月10日時点で意識不明の状態が1か月続いており、内臓の移植手術を受けなければ余命2か月と宣告されている。病気の発症前は剣道部に所属しており、男子部員の瀬戸拓真と仲がよかった。病気の自覚症状はあったものの、父親に口止めされていたため、倒れるまで誰にも病状を明かしていなかった。真琴のタイムリープと連動して密かにタイムリープしており、真琴が殺人を犯して翌日に進めなければ、病状が1日分進行してしまう。時おり一瞬だけ意識を取り戻し、真琴の動向を心配する幼なじみの弥生や、拓真に真琴の行動を阻止するヒントを託している。ドナーが見つかり、8月10日に手術を受ける予定になっている。

クレジット

原作

書誌情報

虐殺ハッピーエンド 全8巻 白泉社〈ヤングアニマルコミックス〉

第1巻

(2017-09-19発行、 978-4592162018)

第8巻

(2020-02-28発行、 978-4592162087)

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