西園寺さんは家事をしない

「偽家族」として同居することになった38歳の独身女性・西園寺一妃と、4歳の娘・ルカを育てる29歳のシングルファーザー・楠見俊直を描いたラブコメディ。一軒家を購入し、家事を一切せず自由なアラフォーライフを満喫する西園寺。しかし、火事でマンションに住めなくなったという楠見に自分の家の一部屋を貸したことから、3人暮らしが始まる。面倒くさいだけだと思っていた「家事」が意外と楽しく、3人暮らしは合理的でもあると考えた西園寺は、楠見に偽家族になることを提案する。こうして偽家族生活を続けることになった二人は、お互いに好意を抱くようになる。しかし、恋愛関係になれば偽家族は維持できない。そう考えた西園寺は、家族と恋愛の間で揺れることになる。 

西園寺は、家事アプリを制作するIT企業に勤務する38歳の独身女性。数々のヒットアプリを制作した有能で面倒見が良いキャリアウーマンである。合理的な彼女は「パラフィンの容器を食器として使用」「洗濯は全自動でシワにならない服だけを買う」などの方法で、プライベートで家事は一切しない。西園寺にとって、家事は面倒で嫌なものでしかなく、やっと手に入れた自由な一人暮らしが何よりの幸せだった。しかし、楠見とその娘・ルカと暮らすうちに、家事や家族についての考えが変わっていく。楠見は、シリコンバレーの会社から転職してきた、29歳の天才エンジニア。天才ゆえに無愛想で無表情な変わり者の一面があるが、実際は素直で礼儀正しい青年である。一年前に妻を亡くしたが、まだ彼女のことを愛しており、一人で娘のルカを育てている。しかし、西園寺の家で「誰かと生活すること」を思い出して安らぎを覚え、西園寺に対する気持ちに少しずつ変化が現れる。 

いつの間にか楠見に恋していることに気がつく西園寺だったが、ルカの誕生日パーティーで、彼女から「パパのことを好きにならないで」と釘を差されてしまう。ルカを不安な気持ちにさせてしまっていることに気づいた西園寺は、楠見への気持ちを封印しようと、マッチングアプリに登録。とりあえず彼氏を作って、ルカを安心させようとする。そんなとき、西園寺の前に現れたのが、一緒に仕事をすることになった男飯料理研究家・カズト横井だった。カズトは西園寺の前職の元同僚であり、動画サイトでブレイクするきっかけを作ってくれた西園寺を尊敬し、好意を抱いていた。「ずっと一緒にいたい」という横井の告白に、西園寺の気持ちは揺れ動き、楠見にはモヤっとした気持ちが生じることになる。