引きこもり男子の成長物語
本作は、引きこもりでコミュ障の男子高校生、スオウが、彼の部屋にやってくるミコトをはじめとする三人の女友達に振り回される姿を描いた、ほのぼのホームコメディ。過去の出来事から自信を喪失し、集団生活に馴染めずに不登校気味だったスオウは、ある日突然、美少女のミコトが部屋にやってきて、いっしょにゲームをすることとなる。この出来事をきっかけにミコトと友達になったスオウは、彼女に振り回されつつも武籐サクノや月夜リイコともなかよくなり、彼女たちとの交流を通じて本来の自分らしさを取り戻していく。
美少女はポンコツな「賢者」
ミコトはスオウの部屋に突然やってくる女子高校生で、彼から「賢者」と呼ばれる美少女。ゲームの協力プレイ時に、ピンチに陥ったコミュ障のスオウに対し、困った時は「助けてって言わなきゃダメ」と賢者のような正論を口にするが、いざスオウが助けを求めると取り乱した様子で「絶対無理」と拒絶するなど、ポンコツでかわいい魅力であふれている。ふだんはスオウを友達だと公言し、その関係性を大切にするミコトだが、出席日数が足りないために嫌々登校したスオウのやる気を出させるため、学校で自分を見つけたらご褒美をあげるとセクシーにせまるなど、学校ではまったく雰囲気の違う姿を見せる。
全員ポンコツのプチハーレム生活
スオウはミコトに振り回される中、二人の少女となかよくなる。「ドワーフ」のような小柄な体型で、面倒見がよくコンビニでアルバイトしているサクノは、蓮っ葉で乱暴な振る舞いが目立つ一方、スオウと共にゲームをプレイすることを心から楽しんでおり、ことあるごとにハイタッチなどスキンシップを取る天真爛漫な少女。また、スオウのゲーム友達にして彼を師匠と呼び慕っている「弟子」のリイコは、彼に恋心を抱いている。作中ではミコトだけでなく、彼女たちとの恋愛感情を匂わせる親密なエピソードも登場する。一方で、セクシーな描写よりもコミカルでかわいい要素に焦点が当てられており、プチハーレム状態の関係性が見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
天寺 スオウ (あまでら すおう)
とある高校に通う2年生の男子。ウェーブのかかったくせっ毛で、湿気の多い時期になると髪の毛が爆発しがちなことにコンプレックスを抱いている。他人を不快にさせることを恐れるあまり、人とのかかわりを極端に嫌ういわゆるコミュ障。学校には気が向いた時にしか通わず、引きこもり気味。そんな中、なぜか美少女のミコトが突然部屋に現れ、入り浸るようになる。この出来事をきっかけにミコトとゲームをプレイしたり、いっしょに外出したりと、徐々に生活態度が改善されていく。また、サクノやリイコとなかよくなり、人とのコミュニケーションも人並みに取れるようになった。ゲームやネットサーフィンを趣味にしているため、サクノからは「オタク」という直球なあだ名で呼ばれている。ネットこそが正義と考えている。
渦目 ミコト (うずめ みこと)
スオウと同じ高校に通う1年生の女子。引きこもりのスオウの部屋に突然やってきた謎の美少女で、一人称は「僕」。その正体は、スオウの母親の友達の娘。コミュ障で空気を読むことが苦手なスオウに正論を振りかざすことから、彼から「賢者」と呼ばれている。スオウのことを幼い頃から知っている素振りを見せるなど、彼との友情を何よりも大切にしている。学校では部屋での雰囲気とまったく違い、三つ編みに眼鏡をかけており、人との交流を意図的に抑えている。人との会話が苦手なスオウのことを導きによって何度も救うが、直後に墓穴を掘っては口にしたことを反古(ほご)にすることがある。
書誌情報
賢者が仲間になった! 3巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2021-07-16発行、 978-4065240397)
第2巻
(2021-11-17発行、 978-4065259962)
第3巻
(2022-03-17発行、 978-4065272794)