起承転転

起承転転

『あした死ぬには、』で知られる雁須磨子の作品。舞台は福岡県を中心とした現代の日本。50歳を迎え、女優業を引退して故郷に戻った若林葉子が、新たな生活や出会いを通じて新たな人生を歩み始める姿を描いた大人のヒューマンドラマ。太田出版「Ohta Web Comic」で2024年10月より配信の作品。2025年12月には、宝島社「このマンガがすごい!2026」オンナ編第3位を獲得している。

正式名称
起承転転
ふりがな
きしょうてんてん
作者
ジャンル
家族
 
ヒューマンドラマ
レーベル
太田出版
巻数
既刊1巻
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50代独身女性をリアルに描くヒューマンドラマ

本作は、東京から故郷へUターンした50代の独身女性の葉子を主人公に、新たな人生の一歩を踏み出す姿を描いている。葉子の地元での生活を中心に、日常のコメディやヒューマンドラマが展開される。物語は単なる明るく爽やかな内容にとどまらず、何かをあきらめる痛みや体力・気力の衰えといった、加齢に伴う厳しい現実にも焦点を当てている。自身の老い、家族の背景、過去と向き合いながらも、新たな出会いを通じて少しずつ変わっていく葉子の姿が、焦燥感や哀愁を帯びたリアルな心理描写と共に丁寧に綴られる。

夢をあきらめて故郷での新たな一歩

劇団にスカウトされ、18歳で上京して以来、女優として活動を続けてきた葉子。しかし、目立った実績を残せないまま、気づけば50歳を迎えていた。自分が「何者にもなれなかった」という後悔と虚しさを胸に故郷へ戻るものの、母親には頼ることができず、賃貸アパートで一人暮らしを始める。短期のアルバイトを転々としながら、新たな生活の道を模索していた。そんな葉子が住むアパートの前には、大家の息子である森快晴という青年が母親と共に暮らしていた。快晴は、引っ越してきたばかりの葉子をなぜか気にかけていた。実は彼は、かつて大好きだったドラマで毒親役を演じていた葉子の演技に深く感動していたのだった。

さまざまな出会いがもたらす新たな生活の変化

東京での生活が長かった葉子は、新しい環境になかなか馴染(なじ)めず、ストレスから体調を崩してしまう。腰痛や原因不明の病気に悩まされ、生活費が尽きて弟の穂波に借金をするなど、次々と困難に直面する。ようやく体調が回復し仕事に復帰した葉子は、長いあいだ、女優業の廃業や帰郷のことを伝えていなかった母親に会うため、久しぶりに実家へ戻る。母親への罪悪感や後悔に苛まれながらも、気分転換に訪れたうどん屋で再会したアルバイトの同僚、淡輪や、保護猫活動に熱心な快晴と交流を重ねるうちに、葉子の心身は少しずつ彩りを取り戻していく。

登場人物・キャラクター

若林 葉子 (わかばやし ようこ)

福岡県出身の元女優で、愛称は「葉ちゃん」。幼い頃に父親を亡くし、裕福とは言えない環境で母親と弟の穂波と共に育った。幼少期から容姿に恵まれ、18歳で役者を志して上京。以降、32年間にわたり女優として活動するものの、主に死体役や脇役が中心だった。生活は苦しく、アルバイトに明け暮れる日々を送っていた。50歳を機にボブヘアからベリーショートに髪型を変え、女優業を廃業して故郷に戻る決意をした。しかし、母親にはその真実を伝えられず、現在は賃貸アパートで一人暮らしをしている。短期のアルバイトを転々としながら生活しているが、加齢やストレスによる体調不良に悩まされている。

森 快晴 (もり かいせい)

葉子が引っ越したアパートの大家の息子。人懐っこく素直な性格の青年で、ふだんはアパートの管理業務を行いながら、友人たちと共に保護猫カフェの活動にも熱心に取り組んでいる。葉子が47歳の頃に出演していたドラマに学生時代から夢中で、女優としての彼女を知る数少ないファンの一人。足を悪くした母親の介護をしながらも、兄と自分をことあるごとに比較する母親とのあいだには微妙な確執がある。

書誌情報

起承転転 1巻 太田出版

第1巻

(2025-09-29発行、978-4778323332)

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