配達先のお姉さんが怖すぎる

本作は、配達サービスのアルバイトを始めたばかりのお兄さんと、その配達先である引きこもりのお姉さんが、配達を通じて交流を深めながら失った青春を取り戻していく様子を描いたラブコメディ。二人は共にコミュニケーションが苦手な陰キャであるため、すれ違いやカンちがいを繰り返しながらも徐々に親しくなり、やがて配達員と客という関係を超えた特別な絆を築いていく。物語は基本的にお兄さんとお姉さんの視点を交互に切り替えながら、二人の会話劇や日常がショートコメディ形式で展開される。さらに、主要キャラクターがオタクであることから、Vtuberや推し活といったオタクネタが豊富に盛り込まれている。

とある町で出前の配達アルバイトをしているお兄さんの配達先には、一人暮らしをしている大柄でグラマラスな女性・お姉さんがいる。彼女は無口で謎めいた存在で、いつも弁当を注文するが、玄関先での受け渡しの際には鋭い目つきでにらむことから、お兄さんはいつも恐怖を感じていた。しかし、田舎のためにほかの配達員に代わってもらうこともできず、不安を抱えながら配達を続けていた。そんなある日、お兄さんはお姉さんの声を初めて耳にする。その声は、彼女の怖い見た目からは想像もつかないほど美しく、しかもお兄さんが熱心に応援している「推し」のVtuber・花枝ふわりの声にそっくりだった。さらに、お姉さんはチップを支払うので、話し相手になってほしいという予想外の注文をお兄さんに突きつけてくる。

お兄さんは、配達先のお姉さんが自分の推しであるVtuber「花枝ふわり」ではないかと考えていた。お互いのことをあまり知らないまま、お兄さんはお姉さんのコミュ障の克服をサポートすることになる。最初は少し外出することから始めた二人は、お姉さんの奇行によるトラブルに見舞われながらも、徐々に心の距離を縮めていく。交流を重ねる中で、お姉さんがかつて声優として活動していた過去や、極度の引きこもりになった理由も少しずつ明らかになっていく。そんな中、お兄さんたちの前に、ふわりの大ファンであり新人配達員でもある謎の少女・あかりが現れたことで、それぞれの関係や穏やかな日常に新たな変化が訪れることになる。