隙間

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連載デビュー作『緑の歌 - 収集群風 -』に次ぐ、高妍の連載作品。現代の台湾と沖縄が舞台。台湾の台北に暮らす女子大生の楊洋は、最愛の祖母を亡くし恋愛でも行き詰まっていた。半ば逃げるように、沖縄の芸大に留学した楊が、人々との交流を経て次第に“私”を取り戻していく姿を描いた青春物語。KADOKAWA「月刊コミックビーム」2023年5月号から2025年6月号まで連載。宝島社「このマンガがすごい!2026」オンナ編第2位に選出された。

正式名称
隙間
ふりがな
すきま
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
 
青春
レーベル
ビームコミックス(KADOKAWA)
巻数
全4巻完結
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近くて遠い異国の地に留学する台湾女子大生

台湾の台北で祖母と二人暮らしをしていた女子大生の楊洋(ヤン)が主人公。最愛の祖母がガンに倒れてから2年間、懸命に介護をしていたヤンだったが、ついに祖母は亡くなってしまう。また、彼氏の王俊(J)には、ずっと付き合っている恋人がいることが発覚。Jが自分を愛してくれないことを知ったヤンは、知っている人が誰もいない所へ、ただただ逃げたいと考えていた。沖縄芸術大学の交換留学生プログラムに合格していたヤンは、半ば逃げるように台湾を後にする。祖母との思い出やJとの恋愛の痛みを抱えながら、ヤンは異国の地で自分自身と「国家」を見つめ直すことになる。

沖縄と台湾の現代史を描く

1年間の交換留学で沖縄にやってきたヤンは、沖縄芸大で中国の留学生の李謙、台湾の留学生の陳婉婷と出会う。台湾が独立国だというヤンに対し、李は中国の一部だと言い、陳は意見を表明しない。「六四天安門事件」のことも知らない李に、ヤンは強い口調で攻め立てるが、むしろ台湾人なのに台湾を守らない陳に対して腹を立てる。ヤンは、高校の授業をきっかけに「二・二八事件」を知り、社会運動に関心を持つようになった。そんなヤンを通して、台湾の現代史や国家のアイデンティティー、沖縄と台湾の共通点などが描かれている。また、同性愛者の知念由里香と仲良くなったことで、同性婚が法制化された台湾で行われた国民投票についても言及される。

作者の実体験をもとにしたフィクション

本作は、作者の高妍が沖縄県立芸術大学に短期留学した経験をきっかけに創作された作品である。Webメディア「CINRA」掲載のインタビュー(2025年6月24日)によれば、本作のタイトルの意味を「沖縄への留学は人生の『隙間』でした。ほかにも人と人の隙間、人民と国家の隙間、人民と政府の隙間、国家と国家の隙間……いろいろな意味をタイトルに込めたいと思ったんです」と語っている。この物語を「いま描きたかった」理由は、大きく二つ。一つは、日本でも同性婚が話題になっていることを受け「台湾で同性婚が合法化されるまでの経緯を共有したい」と考えたこと。もう一つは「大学時代、台湾の歴史を知らなかった自分を『恥ずかしく思った』という経験」である。「二・二八事件」に衝撃を受けた作者は、「昔の台湾で起きたこと、そして自分が感じたことをすべて作品に刻み込むという決意をもって」本作を執筆した。

登場人物・キャラクター

楊 洋 (やん やん)

台湾の台北に暮らす大学生の少女。通称は「ヤン」。最愛の祖母の死などをきっかけに、1年間、沖縄芸術大学に留学する。両親はおらず、祖母と二人暮らしをしていたことから高校時代はいじめに遭っていた。高校の授業をきっかけに「二・二八事件」を知り、「二二八和平記念日」に行われるデモで、Jと出会い、好意を抱くようになった。

王 俊 (わん じゅん)

台湾の基金会で社会活動をしている青年。通称は「J」。言論の自由を守り、民主主義の健全な発展や台湾文化の新興を促進する活動をしている。「二二八和平記念日」に行われるデモにやってきたヤンと出会い、懇意になる。ヤンとは恋人のように振る舞っているが、長く付き合っている別の恋人がいる。

書誌情報

隙間 全4巻 KADOKAWA〈ビームコミックス〉

第1巻

(2025-02-12発行、978-4047381483)

第2巻

(2025-02-12発行、978-4047381490)

第3巻

(2025-04-11発行、978-4047384286)

第4巻

(2025-06-12発行、978-4047384538)

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