魔法使いロゼの佐渡ライフ

王女のロゼスタリア・エトワールは父親から見捨てられ、周囲の住民たちからは黒髪を忌み嫌われて愚王の娘と謂れのない差別を受けていた。すべてに絶望したロゼスタリアは、まだ見ぬ地に希望を求めて、完成させた魔法の力で異世界へと転移する。そんなロゼスタリアがたどり着いたのは、日本の新潟県の西部に位置する佐渡島だった。期待していたきらびやかな異世界ライフとは、まったく違う佐渡島での暮らしに戸惑いつつも、温かな人々との触れ合いや穏やかな自然に包まれ、ささくれ立ったロゼスタリアの心が癒やされていく。

本作は、北前船の寄港地として発展した佐渡島の港町・宿根木を舞台としており、現実に存在する佐渡島の名所や名物がたくさん登場する。主人公の土屋紗菜が観光業を生業として佐渡島で暮らしているため、佐渡島のほのぼのとした日常生活が描かれている。ロゼスタリアは紗菜と出会って、彼女の仕事を手伝うようになり、佐渡島のさまざまな文化に触れることとなる。また、コミックスには本編に登場した地域の詳細な地図や解説が掲載されている。作者のおみなえしは新潟県上越市出身だが、連載前からプライベートで何度も訪れるほど佐渡島が大好きで、「本作品で佐渡島の魅力がお届けできたら」と考え、本作を執筆したと語っている。

異世界にやって来たロゼスタリアは行く当てもなかったが、初めて出会った紗菜に助けられ、彼女の仕事を手伝いながら佐渡島で暮らすこととなる。しかし、紗菜には姉が残した借金があることが判明し、二人の佐渡島ライフは窮地に立たされてしまう。ロゼスタリアは紗菜に恩を返すべく、二人で協力して借金を返済することになる。借金返済という大きな目標を掲げ、スローライフを死守するために奔走し、二人の絆は一層深まっていく。