異形の住人と配達員が紡ぐヒューマンドラマ
本作は、謎めいた集合住宅の住人たちに手紙を届ける仕事をする1871号の配達風景と出会いを軸に、ホラー要素を織り交ぜたヒューマンドラマを描いている。1871号の配達先は人間ではなく、いずれも怪物のような異形の姿をした者たちばかり。エピソードごとに異なる異形のゲストキャラクターが登場し、1871号は配達を通じて彼らとかかわり、時には交流を深めていく。ダークな世界観を繊細に表現した風景描写や、家族や恋人からの手紙を心待ちにするキャラクターたちの感情描写も、本作の大きな魅力となっている。
ディストピア世界の異形の住民たち
本作は、異形の存在や荒廃した建物が不穏な雰囲気を醸し出し、ディストピア的な世界観を描いている。舞台となる巨大な集合住宅は、果てしなく続くかのような複雑な構造を持ち、香港の九龍城砦やサウジアラビアの巨大都市、ネオムをモデルにしている。住民は国家のために日々働き続ける異形の者たちで、早朝から労働をうながす国民放送が響き渡る中、逓信所飛脚業代員である1871号の1日が始まる。労働を終えた逓信所飛脚業代員は「人民券」を受け取り、それを缶詰などの食品と交換して生活している。物語が進むにつれて、この国には国民間に明確な格差が存在し、労働で得た人民券によって等級の高い居住区へ移ることができる階級制であることが明らかになっていく。
巨大集合住宅での1871号の仕事
朝と夜に国民放送が響き渡る巨大な集合住宅で、住民たちに手紙を届けることを仕事とする逓信所飛脚行代員の1871号は、いつも通り業務を開始していた。その集合住宅には、一つ目の少女や多数の腕を持つ怪人など、おぞましい異形たちが暮らしていた。1871号は相棒のととと共に、霊の集合体のような異形のズモモのもとへ向かうが、その途中でズモモの一人、アル宛の手紙を紛失してしまう。1871号は大切な手紙を取り戻すため、危険が潜む集合住宅のあちこちを命がけで探し回るのだった。
登場人物・キャラクター
1871号 (せんはっぴゃくななじゅういちごう)
巨大な集合住宅の住人に手紙を届ける「逓信所飛脚業代員」と呼ばれる配達員の青年。黒い長髪で中性的な容姿を持ち、左頬の下には傷跡がある。勤務中は「1871」と刺繍されたオレンジ色のジャケットを身にまとい、大きな配達バッグを背負っている。ふだんは淡々と業務をこなすが、命の危険が伴う状況でも真摯に仕事に向き合い、個性豊かな住人たちのために命がけで奔走している。
とと
1871号の相棒を務める痩せた。犬種はイタリアン・グレーハウンドで、ふだんは集合住宅のどこかで野良犬のように暮らしている。当初は1871号の仮のパートナーだったが、ある日の配達をきっかけに正式な相棒となった。おとなしい見た目に反して、配達先で遭遇する異形にもひるむことなく、果敢に1871号の業務をサポートする頼もしい存在。








