挫折した天才と、亡くなったはずの天才が出会う
かつて天才ピアニストとして名を馳(は)せた一郎は、中学1年生の時に開催されたあるコンクールで逆水クロードに敗れたことをきっかけに、中学卒業後はピアノから距離を置いていた。そんな一郎の前に、200年の時を超えてベートーヴェンが現れる。ベートーヴェンはピアノへの熱い情熱を語り、鍵盤の前で演奏する喜びを全身で表現する。その圧倒的な情熱に心を揺さぶられた一郎は、再び高みを目指す決意を固める。成長途上の一郎と、人生を全うしたからこそ音楽の真髄を知るベートーヴェン。二人は奇妙な同居生活の中で激しく意見をぶつけ合いながら、二人三脚で音楽の深淵へと挑んでいく。
ピアノにかける青春の成長物語
一郎がピアノから決別したのは、クロードにコンクールで敗れたことがきっかけだった。しかし、復帰を決意した彼を待ち受けていたのは、かつてのように実力を発揮できないという苦悩だった。完全復活とクロードへの雪辱を誓う一郎は、ベートーヴェンだけでなく、後輩の天野雀や幼なじみの華鳳院桜花からも優しく寄り添われると同時に、時には厳しい評価を受ける。周囲の支えと励ましを受けながら成長していく一郎の姿が、王道の成長物語として描かれている。
ベートーヴェン復活の謎と追跡劇
ベートーヴェンとの同居生活が始まった矢先、謎の二人組が彼の行方を追っていることが明らかになる。マーシャとレキシーと名乗る彼らは、ベートーヴェンの復活に「死者蘇生(そせい)の指輪」がかかわっていると確信している何者かの依頼で、彼の捜索を続けていた。生前のベートーヴェンの人柄を知り、行方を追っているのは誰なのか。そして、ベートーヴェンを復活させた真の黒幕とは何者なのか。この二つの大きな謎が、本作の大きな見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
夜創 一郎 (やそう いちろう)
玲瓏学園高校に通う2年生の男子。四方八方に跳ねた無造作なウェーブのかかった黒髪が特徴。幼い頃から父親による英才教育を受けていたが、天才的な才能を持ちながらも当時はピアノに興味を持てず、レッスンを嫌がっていた。しかし、ある日カフェのマスターの美影原務が奏でるピアノの音色に心を奪われ、初めて自らの意思でその高みを目指すようになる。ところが、あるコンクールでクロードに敗れたことがきっかけで心が折れ、それ以来2年間ピアノに触れていなかった。だが、現代に蘇(よみがえ)ったベートーヴェンとの出会いを通じて失われた情熱を取り戻し、ピアニストとしての復帰を果たす。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
1827年に亡くなったはずの作曲家の男性。逆立った白髪をオールバックにしている。ウィーンの自室で全聾のまま生涯を閉じた記憶を持つ。200年後の日本で蘇った際には聴覚も完全に回復しており、そのことに戸惑いながらも深く感動している。蘇って最初に出会ったのが一郎で、彼の才能を見抜くと強引に弟子入りさせて彼の家に居候を始めた。技術的なミスには寛容だが、曲の解釈には非常に厳しく、時にはパワハラじみた指導を行うこともある。また、未成年の一郎に対しても平気で酒や女性関係に関する際どい比喩を用いるなど、破天荒な一面も持つ。かつての恋人、ヨゼフィーネや謎の女性からは「ルイ」と呼ばれていた。
書誌情報
Bの星線 3巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2025-06-04発行、978-4088845586)
第2巻
(2025-08-04発行、978-4088846071)
第3巻
(2025-08-04発行、978-4088846910)







