暁天学園高校ラグビー部の群像劇
本作は、部活動としてのラグビーの練習や試合をテーマとしながらも、「主人公はいない」という但し書きが添えられている。物語は暁天学園高校ラグビー部の全員に焦点を当てた群像劇として展開される。不良上がりや複雑な因縁を抱える部員もおり、そうした背景から生まれる問題も重要な要素となっている。各部員がそれぞれの信念や悩みと向き合い、時には激しく対立しながらも懸命に練習を重ねて成長していく姿が丁寧に描かれている。こうした個々の努力がやがてチーム全体のレベルアップへとつながっていく。
暁天学園高校ラグビー部の再生と新たな挑戦
かつて暁天学園高校ラグビー部は、東京都内でも屈指の実力を誇り、全国高等学校ラグビーフットボール大会への出場を虎視眈々(こしたんたん)と狙っていた。しかし、1年前に校内で起きた暴力事件をきっかけに、当時のキャプテンをはじめ多くの部員が離れてしまい、かつての栄光は見る影もなくなっていた。現在のラグビー部には、中学大会で優勝経験を持つ特待生の嵐や、誇り高く屈強ながらも致命的に頭の悪い御曹司(おんぞうし)の行天樺丸、そして謎めいた雰囲気をまとった犬神誠など、個性豊かな1年生が集まっている。さらに、1年前にラグビー部を離れていた渋沢寿郎や北村一吹、南洋人も復帰し、やがて全盛期に勝るとも劣らない強豪チームとして再出発を果たす。
東京ラグビー強豪校との激闘
東京のラグビー界では、ほぼ毎年全国高等学校ラグビーフットボール大会に出場している王子工科高校や、近年急速に実力を伸ばし、昨年第二地区で優勝を飾った神楽坂高校など、多くの強豪校が激しく競い合っている。中でも神楽坂高校は、暁天高校との練習試合で、昨年のトラブルで弱体化しているとはいえ100点差をつけて圧勝するなど、圧倒的な実力を見せつけている。また、神楽坂高校の鮎川岬は中学校時代に嵐とチームメイトであり、現在も互いに友情とライバル心を抱き続けている。
登場人物・キャラクター
一 嵐 (にのまえ あらし)
暁天学園高校に通う1年生の男子。ラグビー部に所属している。ポジションはスクラムの要であるプロップで、「伝説男」と称されるほどの実力者。中学生ラグビーフットボール都大会では最多トライ数を記録した。さらに、ラグビー部内で唯一の特待生として入学しており、小日向徳(こひなためぐみ)や巫雅子(かんなぎまさこ)をはじめ、校内には彼のプレーに魅了されたファンが多くいる。ラグビーへの深い愛情と勝利への強い執念を持ち、つねに現状に満足せず、絶え間ない努力を続けている。一方で、自分が一番注目されたいという悪癖があり、チームメイトのファインプレーを称えながらも、不機嫌な表情を見せることがある。また、本来は神楽坂高校の特待生として入学する予定だったが、監督の判断で破談となった過去があり、同校に対して複雑な感情を抱いている。
鳴戸 京平 (なると きょうへい)
暁天学園高校に通う3年生の男子。ラグビー部に所属している。ポジションはチームの司令塔であるスタンドオフ。面倒見は良いものの、やや覇気に欠けるため、一部の部員からは「やる気があるのかないのか分かりにくい」と言われることもある。本来はキャプテンになる予定はなかったが、2年生の時のトラブルで同級生が多数退部したため、やむなくキャプテンに就任した。入学直後に足を負傷し、医師から「同じケガを繰り返すと人工関節を入れなければならず、その場合はラグビーを続けられなくなる」と告げられたことでイップスに陥った過去を持つ。しかし、ラグビーへの情熱を捨てきれず、やがてイップスを克服した。自身の経験から、小学生時代に鎖骨を骨折し、タックルへの恐怖心を抱える後輩の徳に共感し、彼が恐怖を乗り越えるために協力している。
書誌情報
ONE FOR ALL 8巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2024-03-06発行、978-4065349304)
第2巻
(2024-05-07発行、978-4065355961)
第3巻
(2024-08-06発行、978-4065365434)
第4巻
(2024-10-04発行、978-4065372630)
第5巻
(2025-01-06発行、978-4065382776)
第6巻
(2025-04-04発行、978-4065392287)
第7巻
(2025-07-04発行、978-4065401729)
第8巻
(2025-11-06発行、978-4065414057)








