シャンハイとアイジの情熱
本作のテーマは、個人が自由に制作するオリジナル雑誌「ZINE」。電子書籍が主流となった現代においても、紙の雑誌を愛してやまない「シャンハイ」こと上海響一と、彼の友人である「アイジ」こと阿井田慎。二人はそれぞれの才能を活かし、世界に一冊だけのオリジナル雑誌作りに挑む。最初は誰の目にも留まらなかったものの、あきらめずに創作を続けるうちに徐々に人気を集めるようになる。その情熱は少しずつ周囲を巻き込み、理解者も増え、二人の熱意はますます高まっていく。
オリジナル雑誌「ZINE」制作に挑む
静岡県の田舎町で暮らす響一と阿井田は、それぞれ閉塞感や焦燥感を抱えながらも、共通の趣味や何気ない会話を楽しむ日々を送っていた。ある日、響一のもとに兄の進一からマガジンハウスの雑誌『POPEYE』が届く。兄がその雑誌の執筆に携わっていることを知った響一は、学校で阿井田に誌面を見せながら、幼い頃から魅了され続けてきた紙の雑誌への思いを熱く語り始める。響一の広い視野と独自の視点に触れた阿井田は、オリジナルの雑誌を作ってみてはどうかと提案する。すると響一は、自分の草案を阿井田に見せ、デザイナーとして参加してほしいと申し出る。阿井田は快くこれを承諾し、二人は本格的に雑誌作りに挑戦することになる。
三人目の仲間と新たな目標
響一と阿井田は情熱を注ぎ込み、ついに初めてのオリジナル雑誌を完成させた。しかし、学校でのプロモーションを兼ねた販売は、多くの生徒にほとんど相手にされなかった。失意の中、クラスメイトの鈴木が雑誌を購入し、紙の雑誌に詳しいスナックの店主、アントンを二人に紹介する。アントンは、幅広いジャンルの個人出版物「ZINE」の存在や、かつて響一の兄の進一が自費出版したZINEを自身の店で扱っていたことを語る。そして、高品質なZINEを作り上げた暁には、自分の店で取り扱うと約束した。アントンを唸らせるようなZINE作りを新たな目標に掲げた響一と阿井田は、写真部のケーコを仲間に迎え、妥協のないZINE制作に奔走する。
登場人物・キャラクター
上海 響一 (うえみ きょういち)
五十海高校に通う男子。親しい友人からは「シャンハイ」と呼ばれている。兄の進一を深く尊敬しており、紙の雑誌に強い関心を持つようになったのも兄の影響が大きい。また、懐中時計やフィーチャーフォンなど、いわゆる「アンティーク」と呼ばれるものを愛する独特の美学を持っている。周囲の人々の些細な癖や持ち物から、その本質を的確に見抜く広い視野も備えている。さらに、一度興味を持った対象には非凡な集中力を発揮し、文章を書く才能にも優れている。阿井田とは互いの才能を尊重し合う良好な関係で、彼からオリジナル雑誌の制作を提案された際には、デザイナーとして協力してほしいと申し出た。
阿井田 慎 (あいだ しん)
響一と同じ高校に通う男子で、周囲からは「アイジ」と呼ばれている。ふだんは明るくお調子者のように振る舞っているが、実際は非常にまじめで、細やかな気配りを欠かさない。趣味はオリジナルデザインで、自作のTシャツを学校内で販売したこともある。しかし、冷ややかな反応や心ない言葉を受け、自分のデザインは自己満足に過ぎないのではないかと悩んでいる。そんな阿井田の真摯な姿勢を響一は誰よりも理解し、尊敬している。二人で雑誌を作ることが決まると、響一の文章にふさわしいデザインを作ろうと意気込んでいる。
書誌情報
RIOT 3巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2024-11-28発行、978-4098630998)
第2巻
(2025-04-30発行、978-4098634101)
第3巻
(2025-10-30発行、978-4098636198)







