THE COMIQ

THE COMIQ

『遊☆戯☆王』で知られる高橋和希が、2018年に発表した短期集中連載作品。少し未来の日本が舞台。新人漫画家の坂巻良太は、編集者を介して、アシスタントに背景画を依頼していた。その背景画に、事件関係者しか知らない「印(シンボル)」が描かれていたことから始まるミステリー漫画。集英社「週刊少年ジャンプ」2018年46号から52号まで連載。

正式名称
THE COMIQ
ふりがな
ざ こみっく
作者
ジャンル
作家・漫画家
 
推理・ミステリー
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
全1巻完結
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漫画に描かれた3年前の事件の手がかり

本作の舞台は、少し未来の日本。全国の刑務所では、受刑者に義務付けられる刑務労働として、漫画の背景制作も行われるようになっていた。新人少女漫画家の坂巻は、担当編集者を介してアシスタントに背景を依頼していた。丁寧な描き込みをしてくれるアシスタントに、礼を言いたいという坂巻だったが、編集者は「機会があればちゃんと会わせる」と言うのみだった。そんなある日、坂巻のもとに刑事がやってきて、3年前にこの街で起きた「ハロウィン殺人事件」のことを尋ねる。どうやら、坂巻の漫画に、事件に関係する「印(シンボル)」が描かれているらしい。さらに、坂巻が帰宅すると、釘だらけの真っ黒なかぼちゃ人形が窓辺に吊り下げられており、原稿データがすべて消えていた。理由もわからずトラブルに巻き込まれた坂巻は、3年前の事件について調べ始める。

新人漫画家と獄中アシスタントが真相を探る

「ハロウィン殺人事件」は、3年前の10月31日のハロウィンの夜、街を見下ろす高台公園で起きた殺人事件である。被害者は当時22歳の女性で、閉園後の公園の高台から突き落とされて殺害された。容疑者は、当時23歳無職の馬場勝男。任意同行からの取り調べで犯行を自供し、11月3日に逮捕となった。犯行現場に残された「不思議な印」が、自分の漫画の背景に描かれていることを知った坂巻は、担当編集者を介してやり取りしていたアシスタントが、服役中の馬場であることを突き止めた。さらに、刑務所を訪ねて面会した坂巻は、事件後、馬場が言葉が喋れなくなっており、漫画を通じて坂巻だけに無実を伝えようとしていることを知る。本作は、新人漫画家と獄中のアシスタントが、漫画の力で真実を突き止める姿を描いた本格ミステリーである。

制作経緯と裏話

2018年は、集英社「週刊少年ジャンプ」創刊50周年にあたり、久保帯人、うすた京介をはじめ、多くの人気作家の読み切り作品が掲載された。本作は、その大トリを飾った短期集中連載作品である。単行本巻末掲載の作者の言葉によれば、「記念企画物ならばいっそ“漫画”をテーマにしようと思い立ち、今までにないミステリーを絡めた」作品にしたという。さらに、テーマに合わせて絵柄も変更。「遊戯(同作者による『遊☆戯☆王』の主人公)のような目力のあるキャラはすぐに犯人を見つけてしまいそう」という理由から「少し愛嬌のあるとぼけた感じの主人公」となった。また、作中ではデジタルでの漫画制作が焦点となるため、自身もタブレットでの制作に初挑戦。単行本の各話の合間に、タブレットでの漫画制作過程を紹介している。

登場人物・キャラクター

坂巻 良太 (さかまき りょうた)

新人少女漫画家の青年。漫画好きの妹が一人いる。長い下積みを経て、人気雑誌「少女ジャンプ」で『恋するペンデュラム』連載にこぎつけた。背景制作は、担当編集者を介してアシスタントに依頼しており、顔も名前も知らなかった。自身の漫画の背景に、殺人事件に関係する「印(シンボル)」が描かれていたことから、3年前の「ハロウィン殺人事件」の真相を調べることになる。

馬場 勝男 (ばば かつお)

3年前の「ハロウィン殺人事件」で、当時22歳の女性を殺害したとされる青年。事件後は何らかの理由で言葉が喋れなくなっている。現在は「集A刑務所」で服役中。緻密で丁寧な絵を描く特殊技能を持ち、刑務労働として、坂巻の漫画の背景制作を行う。背景の中に、「ハロウィン殺人事件」に関する手がかりを入れ込み、坂巻に何かを伝えようとする。

書誌情報

THE COMIQ 全1巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2019-01-04発行、 978-4088817453)

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