世代も人生経験も格差がある男女の「入れ替わり」
ある朝目覚めると、見知らぬ人間になっていた17歳の葉菜と38歳の木根が、1年後に偶然出会うところから物語は始まる。人気読者モデルとして活躍する現・葉菜(以下、葉菜。中身は木根)」に対し、現・木根(以下、木根。中身は葉菜)は、自動車工の知識を失ったため失業し、清掃員の仕事をしていた。引っ越し先の住所がわからずに接触できなかった木根に対し、葉菜は現在の状況を楽しんでいた。怒りをぶつける木根に責任を感じた葉菜は、助け合うことを提案。自分が出入りしている雑誌編集部の雑用係として働けるように段取りをつけた。本作は、女子高生と中年男性という、世代も人生経験も格差がある男女の「入れ替わり」を描いた異色のヒューマンドラマである。
曖昧になっていく「自分」を描く
貧困層で冴(さ)えない独身のアラフォー男性だった葉菜は、17歳の少女になったことに驚くが、しばらくして、経験を引き継いで新たにスタートできる「強くてニューゲーム」状態であることに気がつく。二度と同じような失敗をしないと考えた葉菜は、人生経験と野心を武器に読者モデルとして成功し華やかな生活を手に入れた。一方の木根は、経験が浅く何の技術も持たない。記憶喪失扱いされて職を失い、清掃の仕事で細々と暮らしていた。そんな対照的な二人だが、話しているうちに互いの記憶の一部が混じり合っていることが判明。心が体にひきずられ、恋愛対象や性自認も曖昧になっていく。本作は、「男女の入れ替わり」というファンタジーを題材にしながら、アイデンティティやジェンダーといったリアルなテーマを描いていく。
登場人物・キャラクター
小田薪 葉菜 (おだまき はな)
もうすぐ20歳の人気読者モデルの女性。17歳のある朝、38歳の自動車工、木根と人格が入れ替わった。入れ替わる前は、猫背で地味な女子で性格は内向的、スクールカーストでは中の中だった。中身が木根になった後は、第2の人生を成功させるために容姿を磨き、読者モデルとして成功を収める。
木根 正吾 (きね しょうご)
ファッション誌の編集部の雑用バイトとして働くアラフォー男性。38歳のある朝、17歳の少女、葉菜と人格が入れ替わった。入れ替わる前は、自動車工として働く中肉中背の冴えない独身男性。どちらかといえば貧困層で登山を趣味としていた。中身が葉菜になってからは記憶喪失とされ、定職を失う。1年後に、現在の葉菜(中身は木根)と出会い、彼女が所属する雑誌編集部で働くことになる。








