ようこそ実力至上主義の教室へ

ようこそ実力至上主義の教室へ

衣笠彰梧の小説『ようこそ実力至上主義の教室へ』のコミカライズ作品。東京の名門進学校と知られる高度育成高等学校に入学した綾小路清隆が、同じクラスやほかのクラスとのあいだで巻き起こる、さまざまな陰謀や抗争を描く学園サスペンス。「月刊コミックアライブ」2016年3月号から掲載の作品。2017年7月、原作小説版がTVアニメ化。

正式名称
ようこそ実力至上主義の教室へ
ふりがな
ようこそじつりょくしじょうしゅぎのきょうしつへ
原作者
衣笠 彰梧
漫画
ジャンル
サスペンス
レーベル
MFコミックス アライブシリーズ(KADOKAWA)
巻数
既刊12巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

高度育成高等学校への入学

進学率も就職率もほぼ100%と名高い全国屈指の進学校である高度育成高等学校は、最新設備の使用はもちろん、毎月10万円の価値があるプライベートポイントが支給され、髪型や私物の持ち込みなども自由で、生徒にとってはまさに楽園と呼べる場所だった。そんな高度育成高等学校に入学した綾小路清隆だったが、彼が在籍する1年Dクラスには、進学校とは思えないような問題児ばかりがいた。授業の私語・居眠り・サボタージュをも黙認するほどの放任主義の中で、自堕落な生活を送る生徒たちだったが、システムに違和感を抱く生徒も出てきた。その一人である堀北鈴音は、他人との交流を避けて孤独を貫くと同時に、自分がDクラスに配属されたことに疑問と不満を抱いていた。そんな鈴音は、生徒に高額なプライベートポイントが与えられているはずなのに、お金を持たない生徒への救済につながる物が校内に用意されていることに気づく。そんな鈴音と知り合った清隆は、気遣いと優しさでできた天使のような美少女、櫛田桔梗とも親しくなる。そして入学からしばらく経ったある日、とあるきっかけで清隆をはじめとするDクラスの面々は、この学校のシステムに隠された真実を知ることになる。高度育成高等学校は、本当に優秀な生徒だけが優遇される、実力至上主義の学校だったのだ。Dクラスが不良品のような生徒が集められた最底辺のクラスだと悟った清隆は、平和な学生生活を望みながらもその天才的な能力と出自から、校内の権力・利害を巡る激しい攻防や対立、さらにはクラス間で巻き起こる陰謀や策略に巻き込まれていく。

最初の中間試験

Dクラスの生徒たちが最初に振り込まれた10万円分のプライベートポイントを使い果たした頃、本来ならば5月1日に振り込まれるはずだったプライベートポイントが、Dクラスだけには振り込まれていなかった。実はクラスの生活態度や成績で決まるクラスポイントに応じて、毎月支給されるプライベートポイントが決定されていたのだ。遅刻・欠席をはじめマイナスな行為を繰り返していたDクラスは、クラスポイントが下がったことで、振り込まれるはずのプライベートポイントをすべて受け取れなくなっていたのである。来月からの支給ポイントを少しでも上げるべく、平田洋介堀北鈴音は中間試験対策として勉強会を開くこととなった。鈴音のぞんざいな態度から仲間割れが起こったことで勉強会が中断しかけるが、綾小路清隆の進言でなんとか危機を脱する。そんなある日、清隆は生徒会長の堀北学が鈴音と口論している場面に遭遇。これをきっかけに、清隆は二人が兄妹であることや、鈴音のある思いを知る。試験がせまり勉強会も順調に進んだ頃、試験の範囲が変更されていたことが判明。茶柱佐枝が範囲変更を伝え忘れていたことや、職員室の様子を見て違和感を覚え、過去問の存在を知った清隆は櫛田桔梗と共に食堂にいたDクラスの先輩に接触を試み、彼らにプライベートポイントを支払うことで過去問を入手する。そして迎えた試験当日、過去問のコピーをDクラスに配ることでなんとか赤点回避できたと安堵するが、過去問を覚え切れなかった須藤健が、1点差で赤点となってしまう。退学を言い渡されてしまった健を助けるために、清隆は左枝に交渉を試みる。

校内暴行事件

なんとか退学を免れた須藤健であったが、今度はCクラスの男子生徒三人が彼に暴行を受けたとされる事件が発生。Cクラスに嵌(は)められたと言い張る健を救うべく、再び動き出した綾小路清隆堀北鈴音だったが、彼女は健を救うことに乗り気ではない様子だった。事件の目撃情報を探る中で、清隆の説得を受けた鈴音が得た情報により、クラスメイトの佐倉愛里が当日の様子を目撃していたのだ。当初は愛里に避けられるも、櫛田桔梗の協力を得て彼女と打ち解けることに成功し、証言の協力を得られることになる。生徒会や教員も参加する審議会において、愛里はデジタルカメラの写真を提出したうえで証言をするも、健の無罪を証明する証拠にはつながらず、Cクラス側は彼がウソをついていると主張し審議が滞る。さらに担任の坂上数馬は、被害に遭った生徒の一人である石崎の暴行歴などをもとに健と石崎の停学処分を求めるが、鈴音が健の完全無罪を主張したことで、4日後に改めて再審議することとなる。健の無罪を証明できなかった愛里は落ち込むが、清隆はそんな彼女を優しく励ます。単なる話し合いだけでは健の完全無罪の主張が通らないと悟った鈴音は、一之瀬帆波たちに協力を求め、ある作戦に出る。

無人島特別試験・前半

退学騒動も無事解決し、夏休みに突入した綾小路清隆たちを待っていたのは、豪華客船での2週間のクルージングだった。1年生の夏休み行事として行われるこの恒例イベントでは、船内のレストランで食べ放題、各レジャー施設もすべて無料で堪能できるという豪華な内容だった。1学期には赤点で即退学という厳しいルールを強いられ、現金代わりのプライベートポイントもなく極貧生活を強いられてきたDクラスの面々は、自由を謳歌すると共にバカンスを楽しんでいた。さらに南の島でのバカンスが始まり、照りつける太陽の中で生徒たちは解放感にあふれ、夢のような日々が始まるように思えた。だが、完全実力至上主義の高度育成高等学校が単なる楽しい旅行を計画するわけもなく、バカンスと思われたこの旅行は、「自由」をテーマにした特別合同試験「無人島特別試験」の始まりに過ぎなかった。生徒たちは1週間、決められたルールと限られた道具のもとでクラスごとに無人島サバイバル生活を送ることになり、さらにこの試験の成績次第で、各クラスのクラスポイントが大幅に増減することも判明。Aクラス、Bクラス、Cクラスは試験内容を理解すると迅速に行動を始めるが、Dクラスの生徒たちは慣れない無人島に困惑し、仮設トイレを巡って男女で口論になり、方針も決まらぬまま険悪な空気が広がっていた。初日が終了し、キャンプ経験が豊富な平田洋介がまとめ役となり、なんとか集団生活が始められる一方、Cクラスでは独裁を敷く龍園翔に反発する伊吹澪による騒動が起こり始めていた。そんな中、清隆と堀北鈴音はほかのクラスの様子を探ろうと動き出すが、Cクラスだけは明らかに異様な空気が漂っていた。翔は試験にポイントを節約しようと努力するほかのクラスを嘲笑(あざわら)い、すべてのポイントを一気に使ってバカンスを楽しんでいた。不審に思った鈴音は翔の行動を自滅行為だと批判するが、彼らの行動にはある思惑が隠されていた。

無人島特別試験・後半

無人島特別試験の5日目、Dクラスでは早朝から女子の下着が盗まれるという事件が発生したことで、男女間に対立が生じてクラスは再びバラバラになってしまう。そんな中、Dクラスのキーカードを保有している堀北鈴音の体調が悪化していた。それに気づいた綾小路清隆は鈴音に指摘するものの、リタイアすれば大きなペナルティが課されることから、鈴音は体調不良を隠して乗り切りたいと言い張る。さらに試験6日目、川で水浴びをしていた鈴音のスキを狙って、何者かがDクラスのキーカードを盗み出す。自分の不注意だと責任を感じる鈴音を励ます清隆は、キーカードを盗んだ可能性が高い伊吹澪を見張ることになる。そんな中、マニュアルが燃やされるという放火騒ぎまで起こり、ふだんと異なる環境に晒(さら)される中で次々と起こるトラブルに、まとまりかけていたはずのDクラスは再び混乱に陥る。7日間に及ぶ特別試験は、生徒たちの疑心暗鬼や対立が強まったことで、Dクラスに敗北をもたらそうとしていた。一方、雨の中姿を消した澪を追い、キーカードを盗んだ彼女と一騎打ちになった鈴音は、なんとか身を守ったものの体調が悪化して倒れてしまう。澪がキーカードを盗んだ犯人だったが、マニュアルを燃やした放火には関与していないと言う。雨で体が冷え高熱を出してもリタイアを拒む鈴音を見て、体力的に限界と見た清隆は彼女を急患として船に運び、強制的にリタイアさせる。Dクラスの情報をCクラスに持ち帰った澪はそのままリタイアし、情報を漏らされたDクラスは失点を重ねていく。Dクラスの試験結果が絶望的になる中、清隆は結果を覆すべく、ある作戦のために動き出す。

夏季グループ別船上特別試験・前半

過酷な無人島特別試験を終えた高度育成高等学校の1年生は、帰りの豪華客船の中で疲れを癒しながら、束の間の平穏を感じていた。綾小路清隆平田洋介からある頼み事をされる中、学校側から生徒たちの携帯電話に一通のメールが届く。それは「シンキング」をテーマとする、新しい特別試験の始まりを告げるメールであった。清隆は少人数の生徒が集められた船内の一室に呼び出され、試験の詳しい説明を受ける。この「グループ別特別試験」は、生徒たちがクラスの垣根を越えて干支になぞらえた12のグループに分けられ、ふだんは味方なはずのクラスメイトとも「優待者」と「裏切り者」を巡って探り合いをする、人狼ゲームのような思考試験であった。清隆は「兎」グループの一員となったが、同じグループになった傍若無人の軽井沢恵や、話し合いに参加する気のないAクラスの生徒により、グループ内は早くも険悪な雰囲気に陥っていた。前回の試験で怪しい動きを見せていた龍園翔の率いるCクラスの動きに警戒しながら、堀北鈴音や洋介たちと慎重に連絡を交わす清隆だったが、同じ兎グループに属する真鍋志保をはじめとする女子たちが、過去に確執を抱える恵と対立を始める。ほかのクラスの生徒とつながりを持たない清隆はできることが限られて苦戦するが、そんな中、翔がAクラスに対抗するために共闘を申し出てきた。しかし鈴音と清隆は、敵も味方も潰し合うだけだと翔の提案を一蹴する。その後、同じグループの男子、町田を味方に付けた恵の様子を注意深く見ていた清隆だったが、同じく恵に目を付けていた志保たちが、再び彼女に怒りと軽蔑の視線を向けていた。さらに恵は廊下に呼び出され、執拗に追い詰めようとする志保たちに囲まれたことで怯(おび)え出し、見かねた幸村輝彦が止めようとする中、清隆はいつもと明らかに違う様子の恵に注目する。

夏季グループ別船上特別試験・後半

グループ別船上特別試験がクラスメイトの結束も必要な内容にもかかわらず、バラバラになったままのDクラスはなかなかまとまれずにいた。龍園翔の怪しい動きもあって静観を決めていた綾小路清隆だったが、Dクラスの中でも特別な立ち位置にいる軽井沢恵の今後の利用価値を見極めようと、静かに動き出していた。深夜に部屋を出た平田洋介を追い、彼と恵が二人きりで会っている場面に遭遇した清隆は、二人が本当は付き合っていないという、真の関係性を知ることになる。そのまま洋介と二人で話すことになった清隆は、恵が9年間も酷いいじめを受けていたこと、それに気づいた洋介が彼女を守るために仮の恋人となっていた事実を知ることになる。恵が洋介と付き合っているフリをしていたのも、町田に接近していたのも、自分の弱い本性を隠して身を守るためのことだったのだ。さらに清隆は、恵だけでなく異常なまでに他人を気遣い過ぎる洋介を不思議に思い、彼がかつてはリーダーとは程遠い目立たない生徒だった過去と、大切な友人をいじめから守れなかったトラウマを抱えていることを知る。そんな中、真鍋志保たちは再び恵にせまると同時に、恵が過去にいじめに遭っていたことを見抜き、ついに暴力を振るい始める。ここ数日間、恵を観察し彼女の過去と本性を探る清隆は、暴力を止めるわけでもなくただ様子を見ていた。そして清隆は恐怖心から泣きじゃくっていた恵に近づき、半ば脅迫するような態度でせまると同時に、洋介よりもうまく志保たちから守ってやるという約束の代わりに、この試験に最後まで協力するよう彼女に求める。トラウマを抱える恵を庇護下に置くと同時に、Dクラスの女子をコントロールできる恵を手駒として手に入れた清隆は、平穏な学園生活のために必要な力を手にする。特別試験終了日がせまり、多くの生徒がAクラスの対策に苦戦する中、以前から独自に動いていた堀北鈴音と機転を利かせた一之瀬帆波は、ある生徒を欺くための作戦に出ていた。

それぞれの夏休み

波乱のグループ別船上特別試験は、Aクラスを罠にはめることに成功し綾小路清隆の兎グループは無事勝利したものの、最終的には龍園翔の策略により、Cクラスがトップの成績を収めて幕を閉じた。Cクラスの勝利を確信していた翔は、以前から目を付けていた堀北鈴音に改めて宣戦布告をする。こうして、さまざまな事件や騒動が起こった二つの特別試験は終了し、夏休みの前半がほとんど特別試験で費やされた高度育成高等学校1年生の面々にも、本当の夏休みが訪れる。それぞれが夏休みを楽しんでいたある日、汗の滴るような炎天下の中で、清隆は軽井沢恵を公園のベンチに呼び出す。前回の試験で優待者に選ばれていた恵は清隆と協力関係を結ぶことで、最後までそれを隠し通すことに成功し、報酬として9月末には巨額のプライベートポイントが振り込まれることになった。特別試験を通して恵と急速に距離を縮め、必要に応じて全力でバックアップすることを約束した清隆は、他者へのいじめに加担する行為をしないよう念を押したうえで、彼女にある依頼をする。

関連作品

小説

本作『ようこそ実力至上主義の教室へ』は、衣笠彰梧の小説『ようこそ実力至上主義の教室へ』を原作としている。原作小説版はKADOKAWA MF文庫Jから刊行され、イラストはトモセシュンサクが担当している。

メディアミックス

TVアニメ

2017年7月から本作『ようこそ実力至上主義の教室へ』の原作小説『ようこそ実力至上主義の教室へ』をもととしたTVアニメ版『ようこそ実力至上主義の教室へ』が、AT-Xほかで放送された。制作はLercheが担当している。キャストは、綾小路清隆を千葉翔也、堀北鈴音を鬼頭明里が演じている。

登場人物・キャラクター

綾小路 清隆 (あやのこうじ きよたか)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する男子。Dクラスの中ではあまり目立たず、やる気のない性格をしており、抑揚のない話し方をする。何事にも動じず、つねに冷静に物事を見極め、場の空気に合わせながら多数派に溶け込んでいる。一方で他人とのコミュニケーションの取り方がわからず、得体の知れないところがあるため、一部のクラスメイトからは不思議に思われている。入学試験は完全に中間といえる成績を残し、大半の教員・生徒からは学力も身体能力も平均的で目立たない生徒と見なされているが、実は常人からかけ離れた優秀な学力と身体能力を持っている。それでも人並みの友達と平穏な学園生活を望み、平凡な高校生のフリをしているが、わけあって一般的な高校生の実態や常識を知らなかったため、ふつうの男子を演じるのには苦労している。また、入学テストでは平均的な学力を装うために点数配分を理解したうえで回答と点数を制御するなど、器用なところがある。高度育成高等学校の仕組みを理解してからは、他者の目論見を瞬時に把握したうえで利用したり、自分の目的のために貢献させたりするなど、天才的な知力を活かしてさまざまなピンチを乗り越えている。交友関係は薄いためにクラスメイトでも協力者は限られているが、最初に知り合った堀北鈴音やクラスのリーダー的な存在の平田洋介をはじめ、特別試験などを通してBクラスの一之瀬帆波など、ほかのクラスにも強力な味方を得ていく。クラスの垣根を越え、帆波をはじめとする一部の優秀な生徒からも興味を抱かれており、大半の女子からは人畜無害のように思われほとんど警戒されていない。誕生日は10月20日で、身長は176センチ。自分の好きなところは特になく、自分の嫌いなところは教科書どおりに動くこと。いつもいる場所は自室。

堀北 鈴音 (ほりきた すずね)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する女子。綾小路清隆とは席がとなり同士。黒のロングヘアの一部を三つ編みにまとめ、白いリボンをしている美少女。クールでマイペースな性格で、他者とコミュニケーションを取ろうとせず、いつも孤独を貫いている。本来はAクラスにいてもおかしくない優秀な学力を持つが、性格に問題があるため配慮や思いやりに欠け、まともな人間関係を築けていないことから、落ちこぼれが集められているDクラスに配属された。しかしDクラスに配属されたことには納得しておらず、Aクラスに成り上がろうとしている。実は生徒会長の堀北学の妹であり、兄妹仲は悪いように見えるが、本音では彼を慕い、追いつきたいと考えている。Aクラスへの昇格を目指すのも元は学に追いつきたいためであり、そのために他人との交流を不要と否定してクラスメイトとの交流すら避けていたが、入学式に知り合った清隆とは例外的に交流している。清隆がふつうの男子ではないことを見抜いて興味と疑心を抱くが、特別試験などを通して何度か彼にピンチを救われるうちに、信頼を寄せるようになっていく。同じ中学校だった櫛田桔梗から寄せられている悪意には当初から直観的に気づき、嫌悪し合うような関係だったが、彼女のコミュニケーション能力の高さと意外な知略を認め、自分なりに歩み寄ろうとしている。須藤健の暴行事件騒動を清隆たちと協力して解決するが、この事件を解決したのが堀北鈴音だという噂が広まると、健からは恩義を超えた好意を抱かれるようになる。さらには、この暴行事件の黒幕であった龍園翔からも興味を持たれ、言い寄られるようになったが、心底うっとおしいとしか思っていない。誕生日は2月15日で、身長は156センチ。自分の好きなところはまじめさと勤勉さで、自分の嫌いなところは甘さがあるところ。いつもいる場所は自室。

櫛田 桔梗 (くしだ ききょう)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する女子。男女共に絶大な人気を誇るクラスのアイドル的な存在。明るい茶髪のボブカットで、カチューシャをしている美少女。学校中のみんなと友達になるという目標を持つ。特に多くの男子にとってのあこがれの的であり、明るく気配りもできるなど、コミュニケーション能力も高い。このため、Dクラスだけでなくほかのクラスや、ほかの学年の生徒たちとも幅広く交流を持っている。クラスで孤立しがちな堀北鈴音を気にかけ、彼女と友達になろうと積極的にアプローチを繰り返している。また、友達募集中の綾小路清隆のことも気にかけ、すぐに親しくなった。表向きは明るい善人を装っているが、本性は承認欲求が強く傲慢で利己的な性格をしている。コミュニケーション能力の高さも、もともと人心掌握能力が高いためであり、本音では周囲を見下している。幼少期は学力・体力共に優れた成績を誇っていたが成長と共に埋もれがちになり、クラスメイトの相談役となることで承認欲求を満たしていた。そのストレスから、中学時代に学級崩壊を招くほどのトラブルを起こした過去を持ち、これらの情報が入学前に高度育成高等学校に伝わったことで、Dクラスに配属された。同じ中学校に通っていた鈴音を通して、自分の過去が周囲に知られる可能性を危惧しており、彼女を心配するフリをしながらも心底悪意と嫌悪感を寄せていた。誕生日は1月23日で、身長は155センチ。自分の好きなところは初対面の相手でもなかよくなれることで、自分の嫌いなところは一部の人とうまくいかず悩むところ。いつもいる場所は学校、カフェ、ケヤキモール、寮など。

平田 洋介 (ひらた ようすけ)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する男子。Dクラスのまとめ役を務めるリーダー的な存在。サッカー部に所属しており、男女問わずクラスメイトからの信頼が厚い。優秀な学力と身体能力の高さ、甘いフェイスに加え、善人を絵に描いたような正義感と気配りに満ちている。成績・人柄共に優秀な生徒であるにもかかわらず、Dクラスに配属された理由は謎に包まれている。入学当初から軽井沢恵と付き合っているが、付き合い始めて数か月経っても名字で呼び合うなど、関係は少々よそよそしいところがある。特別試験などでもトラブルを起こしがちなDクラスをうまくまとめており、無人島特別試験ではキャンプ知識を活かしてクラスメイトのサバイバル生活を主導した。綾小路清隆に対しては、当初からしっかりとした自己を持っていると高く評価している。また、清隆の暗躍によりDクラスの雰囲気がよくなったことに感謝しており、特別な信頼を寄せている。グループ別船上特別試験では、恵とは本当の恋人ではなく、いじめられた過去を持つ彼女を守るために偽の恋人関係を築いていたことや、平田洋介自身の過去を清隆に打ち明ける。中学生時代はクラスのリーダーなどではなく、地味で目立たない生徒だった。数少ない友人をいじめから救うことができず、その友人は飛び降り自殺未遂で現在も目覚めることなく入院している。これらの過去を深く悔やんでおり、敵味方問わず幅広く他人を気遣う現在の性格につながっている。誕生日は9月1日で身長は174センチ。自分の好きなところは器用貧乏なところで、自分の嫌いなところは割り切れない性格。いつもいる場所はカフェ、ケヤキモール、教室、部室。

須藤 健 (すどう けん)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する男子。一部からは池寛治、山内春樹と共に「Dクラスの3バカ」と評されている。バスケットボール部に所属し、学力の低い不良ながら、中学生時代から高校生レベルのバスケットボール選手として知られており、学年トップともいえる身体能力は高く評価されている。カッとなりやすい短気な性格で、ほかのクラスからは落ちこぼれの象徴として見下されがち。気性は荒いものの心根は素直で友人思いなところがあり、部活にも真剣に取り組んでいる。入学したばかりの頃から、自然と綾小路清隆と友人になった。初めての中間試験ではギリギリ赤点を取ってしまい無情にも退学を言い渡されるが、清隆と堀北鈴音に窮地を救われる。その後はCクラスの策略で暴行事件に巻き込まれ、Cクラスの生徒に暴力を振るったという疑いをかけられ、再び退学の危機に陥る。清隆と鈴音の活躍で事件が解決して退学も免れたが、鈴音がこの事件を解決したと思い込み、彼女に感謝を超えて好意を抱くようになる。また、これらの事件でクラスに迷惑をかけたという自覚を持つようになり、学力の低さと粗暴な性格は変わっていないものの、むやみに暴力を振るうことはやめている。誕生日は10月5日で、身長は183センチ。自分の好きなところは運動神経のよさとケンカの強さで、自分の嫌いなところは恋愛が下手なところ。いつもいる場所は体育館。

山内 春樹 (やまうち はるき)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する男子。一部からは池寛治、須藤健と共に「Dクラスの3バカ」と評されている。学力・体力共に平均以下の平凡な生徒で、彼女を作って楽しい学園生活を謳歌したいという願望を持っている。少々見栄っ張りな性格で自分を誇張することがあり、ウソの経歴を話す悪癖がある。クラスメイトの佐倉愛里に思いを寄せている。

池 寛治 (いけ かんじ)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する男子。一部からは山内春樹、須藤健と共に「Dクラスの3バカ」と評されている。成績は平均以下だがコミュニケーション能力は高く、アウトドア活動を得意としている。クラスのアイドル的な存在の櫛田桔梗に好意を寄せており、特別試験前の超豪華客船内で告白しようとしたが、実際は彼女と名前で呼び合えるようになっただけで終わった。

軽井沢 恵 (かるいざわ けい)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する女子。クラスのヒエラルキー最上位の立場にあり、一部を除く女子をコントロールするほど、その存在感が目立っている。明るい茶髪のロングヘアをポニーテールにまとめた不良っぽいギャル系の美少女で、櫛田桔梗とのツートップとして男子からも人気がある。入学後すぐに平田洋介と交際を始めるが、しばらく付き合ってからも名字で呼び合うなど、関係はどこかよそよそしい。実は小学生の頃から酷いいじめを受けてトラウマになっていること、洋介とは彼のリーダーとしての地位に寄生するために付き合っているだけで本当の恋人ではないことが、グループ別船上特別試験で判明する。ふだんは隠しているが左の脇腹下には、いじめで暴行を受けた時の傷痕が残っており、過去やトラウマを他人に知られることを何よりも恐れている。再びいじめに遭うのを避けるために過去に自分をいじめてきた者の傲慢な態度を真似して、特別試験などでは自分勝手な行動を取っていたが、本質的には暴力や威圧的な手段を好むタイプではない。グループ別船上特別試験では綾小路清隆と同じ兎チームになったが、洋介と共に行動できないことからその場限りの関係を構築して、別の男子に取り入って身を守っていた。これらの振る舞いを見抜いている一部の生徒からは疎まれており、真鍋志保からは完全に敵視されている。清隆に過去と洋介の本当の関係を知られてからは、清隆の庇護下に入る代わりに協力を求められるようになり、知らずのうちに彼がDクラスの女子をコントロールするための手駒となっている。誕生日は3月8日で、身長は154センチ。自分の好きなところはクラスの中心人物であることで、自分の嫌いなところは体に残った傷痕。いつもいる場所はカフェ、ケヤキモール、カラオケ。

佐倉 愛里 (さくら あいり)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する女子。明るい茶髪のロングヘアを二つのおさげにまとめ、眼鏡をかけている。非常に気が弱く、目立つことを嫌っている。成績も悪くないが、人付き合いが苦手でコミュニケーション能力が低いことから、Dクラスに配属された要因となっている。地味に見えて実はプロポーション抜群の巨乳美少女だが、いつもおとなしく猫背でうつむきがちなこともあり、誰も気づいていない。時おりカメラを持って校内を歩き回っては、人気のない場所で写真を撮っているが、単に風景を撮るためではなくこっそり自撮りをしている。プロポーションを活かしてグラビアアイドルの「雫」として活躍しているが、クラスメイトからは知られていない。高度育成高等学校では在学中のアイドル活動が禁止されているが、その対象外であるインターネットを中心に画像を公開することで活動を続けている。熱狂的な男性ファンからストーカー被害を受けていたが、綾小路清隆と一之瀬帆波に助けられ、清隆に好意を抱くようになった。須藤健が巻き込まれた暴行事件を目撃しており、清隆に協力を求められて健が暴力を振るっていないことを証言した。誕生日は10月15日で、身長は153センチ。自分の好きなところは写真好きなところで、自分の嫌いなところは人が苦手なところ。いつもいる場所は自室、校舎裏、学校内の人気のない場所。

外村 秀雄 (そとむら ひでお)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する男子。小太りな体型で、眼鏡をかけている。博識だがかなりのアニメオタクで、あだ名は「博士」。入学初日に8万ものプライベートポイントを使ってパソコンを購入している。ふだんは侍口調で話すが、アニメキャラクターの口調を真似して話すこともある。

王 美雨 (わん めいゆい)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する女子。中国人だが流暢な日本語を話せる。櫛田桔梗の友人で、中学1年生の時に日本に移住して来た。語学が堪能で特に英語力を生かしたコミュニケーションが得意で、高校入学時点で日本語も完璧に習得している。愛称は「みーちゃん」。クラスメイトの平田洋介に好意を寄せており、綾小路清隆に恋愛相談したこともある。

高円寺 六助 (こうえんじ ろくすけ)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する男子。有名財閥「高円寺コンツェルン」の一人息子。明るい茶髪をオールバックにして、表情はいつも余裕と自信に満ちている。唯我独尊を地でいくような性格で、非常に自己中心的な考えの持ち主。頭脳・体力共に数年に一人という高いレベルにあり、家柄やポテンシャルも桁外れだが、協調性が皆無なことが低評価につながり、Dクラスに配属された。しかし落ちこぼれのDクラスに配属されたことに対しても、学校側が自分の能力を測り切れなかっただけと発言するなど、つねに不遜な態度を取っている。お坊ちゃま育ちのために無人島特別試験への参加を嫌い、初日から無断でリタイアした。これ以外にも自己中心的な態度を隠そうともしない言動からクラスでも孤立しがちだが、まったくと言っていいほど周囲を気にすることなく、かなりマイペースに振る舞っている。ふだんから肉体を鍛えており、グループ別船上特別試験でも優れた頭脳を活かして活躍するなど、知力・身体能力共に卒業生などと比較しても非常に優秀。また、無計画に見えて実は計画的でもあり、入学当初に遊んでいた女子との会話を通して、Aクラスに成り上がる方法を把握していた。

幸村 輝彦 (ゆきむら てるひこ)

高度育成高等学校の1年Dクラスに在籍する男子。眼鏡をかけている。見た目どおりのまじめな性格で、トップクラスの学力を誇るが、身体能力は低い。また、学力のみで他人を判断する傾向があり、友人は少ない。Dクラス内では堀北鈴音、高円寺六助と並ぶ成績で、学年全体でもかなりの上位に位置する。親しい仲間からは「啓誠」と呼ばれている。

茶柱 佐枝 (ちゃばしら さえ)

高度育成高等学校の1年Dクラスの担任を務める女性教師。日本史を担当している。茶髪のロングヘアをポニーテールにまとめており、自分が担任をしている生徒にすら冷淡で厳しい態度を取る。実は高度育成高等学校の出身で、当時はDクラスに在籍していた。生徒に対して辛辣な態度を取ったり、ミスを指摘されても悪びれないなど、あまり教育者らしくない言動が目立つ。同じく同校のOBである星之宮知恵や真嶋智也とは、学生時代からの付き合いで、たまに三人で酒を飲み交わしている。学生時代はDクラスからAクラスへの昇格を目指していたが、自らのミスで目標が失われたことに、長らく負い目を感じている。態度には表さないが、教師になってDクラスの担任を任されてからも、教え子たちをAクラスにのし上がらせることに強い情熱を抱いている。理事長から綾小路清隆の話を聞き、さらに同クラスに堀北鈴音をはじめとする優秀な生徒がそろったことから、かつての野望を思い出し、鈴音をうまく誘導することで清隆がAクラス昇格を目指すよう仕向けた。当初は特別試験が始まった焦りから、清隆が入学当初から隠している情報を盾に半ば脅迫じみた話をすることで、無理やり彼がAクラス昇格を目指すよう誘導した。

一之瀬 帆波 (いちのせ ほなみ)

高度育成高等学校の1年Bクラスに在籍する女子。クラスのリーダーを務める。オレンジ色のロングヘアで、スタイル抜群の美少女。明るく正義感が強い性格で、クラスメイトをうまくまとめて団結力の強いクラスに導いた張本人でもある。明朗快活で社交的なことから、櫛田桔梗のようにクラスを超えて多くの同級生と幅広く交友関係を持ち、特にDクラスの綾小路清隆や堀北鈴音とは仲がいい。Aクラスの優秀な生徒たちに匹敵するほどの学力・人柄の持ち主で、担任からの信頼も厚い。しかし、中学生時代の欠席期間の長さや過去に起こした騒動などから、Bクラスへの配属となる。周囲から「本当の善人」などと高く評価されているが、買い被り過ぎと一之瀬帆波自身は否定している。過去に起こした騒動の罪悪感から、中学生時代は引きこもっていたことがあり、これらの失敗や過去が、他人を気遣い善人のような行動を取る現在の性格につながっており、友人の役に立つことで立ち直ろうとしている。Dクラスが巻き込まれた暴行事件をきっかけに清隆たちに協力し、その後もしばしば彼らに協力している。通常では得られないほどの大量のプライベートポイントを持っているが、不正ではなく正規の手段で入手した。誕生日は7月20日で身長は159センチ。自分の好きなところは友達がたくさんできたことで、自分の嫌いなところは失敗を引きずるところ。いつもいる場所は教室、カフェ、ケヤキモール。

堀北 学 (ほりきた まなぶ)

高度育成高等学校の3年Aクラスに在籍する男子。生徒会長を務める。堀北鈴音の兄でもある。鈴音からは尊敬されていると同時に、彼女にとっては優秀な兄の存在がAクラスを目指す最大の理由となっている。生真面目かつ厳格な性格で、生徒たちからは尊敬だけでなく畏怖の視線を向けられている。歴代生徒会長の中でもトップクラスの成績を持つほどに優秀な生徒で、頭脳明晰であると同時に武術も得意としている。妹の鈴音には冷淡な態度で接するうえに、虐待同然の制裁を下すなど、誰に対しても容赦がなく冷酷な一面がある。鈴音と口論になっている場面を見られたことから、綾小路清隆と知り合う。

神崎 隆二 (かんざき りゅうじ)

高度育成高等学校の1年Bクラスに在籍する男子。リーダーの一之瀬帆波と並ぶ知力を持ち、身体能力はトップクラスの高さを誇る。元はAクラス候補だったが、人付き合いが苦手で消極的な態度が多いことから、Bクラスに配属された。大勢と話すのが不得手で女子と話すのも苦手だが、同じ志を持つ帆波の実力を認めると同時に協力関係にあり、共にAクラスを目指す。須藤健が巻き込まれた暴行事件の際は、情報収集を行って綾小路清隆に協力した。クールに見えて、実は熱血漢な一面がある。

白波 千尋 (しらなみ ちひろ)

高度育成高等学校の1年Bクラスに在籍する女子。一之瀬帆波の友人で、美術部に所属している。帆波からは気づかれていなかったが、彼女に友人以上の感情を抱き、勇気を出して告白するも交際を断られてしまう。しかしそれ以降も、帆波とは仲のいい友人として、良好な関係を築いている。

坂上 数馬 (さかがみ かずま)

高度育成高等学校の1年Cクラスの担任を務める男性教師。クラスのリーダーを務める龍園翔による身勝手な独裁体制をひそかに容認しており、教育者らしからぬ人格の持ち主。須藤健が巻き込まれた暴行事件では、裏でCクラスの生徒たちと共謀して、Dクラスを陥れようとする。

星之宮 知恵 (ほしのみや ちえ)

高度育成高等学校の1年Bクラスの担任を務める女性教師。ふだんは保健医をしている。茶柱佐枝、真嶋智也とは高校生時代からの付き合い。小柄な体型の子供っぽく明るい性格で、生徒に対してもフレンドリーに接するために、多くの生徒から慕われている。しばしば二日酔い状態で現れるほどの酒好き。担任するBクラスの中では一之瀬帆波を信頼しており、ほかのクラスの生徒では綾小路清隆に注目している。

龍園 翔 (りゅうえん かける)

高度育成高等学校の1年Cクラスに在籍する男子。クラスのリーダーを務める。クラスメイトを信頼関係ではなく、支配と恐怖心によって統率しようとする独裁者タイプで、頭の回転が速いうえに目的のためなら手段を選ばない冷徹な性格をしている。暴力や校則違反につながる行為を含め、さまざまな奇策を駆使するそのダーティーさは一部から嫌悪・危険視されるが、Cクラスの生徒たちの大半は恐怖心を抱きながらも能力を買って忠実に従っている。努力するのが嫌いなどと言い放っているが、勝利のためであれば時間や労力も惜しまない。勝利ばかりではなく数多くの敗北を体験してきたことから恐怖への耐性は強く、折れずに相手を貶(おとし)める手段を模索し続け、巧みに追い詰める。中間試験のあとはDクラスを貶めるために須藤健の怒りっぽい性格を利用し、手下や教師とも共謀して罠にはめた。これらをきっかけにDクラスの優秀な生徒、とりわけ堀北鈴音に目を付けるようになり、彼女を下の名前で勝手に呼び捨てにするようになる。その後の二つの特別試験でも冷静に対応し、何重もの策を練ってCクラスを優勢に導く。

真鍋 志保 (まなべ しほ)

高度育成高等学校の1年Cクラスに在籍する女子。グループ別船上特別試験では伊吹澪と共に綾小路清隆と同じ兎グループになった。セミロングヘアを二つの三つ編みにまとめ、前髪にヘアピンをしている。龍園翔のように自分より強い人物には弱腰気味だが、自分より弱いとわかった相手には威圧的に接するなど、卑劣な性格をしている。また、気に入らない相手には脅迫や暴行を加えることから、クラスメイトの澪からも嫌悪されている。グループ別船上特別試験で同じグループになった軽井沢恵を目の敵にし、Cクラスの女子を率いて彼女に執拗な嫌がらせをする。さらには恵がいじめられっ子であったことを見抜いて暴行まで加えるが、彼女と取引を交わした清隆の策略で暴行がバレることを恐れ、おとなしく彼女から手を引いた。

真嶋 智也 (ましま ともや)

高度育成高等学校の1年Aクラスの担任を務める男性教師。茶柱佐枝、星之宮知恵とは高校生時代からの付き合い。まじめで硬派な雰囲気を漂わせている。個性的で特に優秀な生徒が集まったAクラスを静かに見守っている。船上で特別試験の説明を生徒たちに行うなど、学年主任に近い役割を担う。

伊吹 澪 (いぶき みお)

高度育成高等学校の1年Cクラスに在籍する女子。紺色のショートヘアで、男勝りな性格の持ち主。単独行動を好み、わけあってリーダーの龍園翔に、ひそかに反発心を抱いている。Cクラスの中では学力、体力共にかなり優秀で、特に格闘技術に優れ、武術経験者とも対等に渡り合えるほど。ふだんは口数も少なく、クラス内でも孤立していることが多い。当初はクラスの大半が翔に忠実に従う中で反発心を抱いていたが、彼がAクラスにもっとも近い存在であることは心底複雑に思いながらも認めており、表向きは彼の方針や指示に従い、協力している。その一方で真鍋志保など一部の者にはクラスメイトであっても、はっきりと嫌悪感を示している。無人島特別試験の途中までは、翔の策略によりDクラスへのスパイとして乗り込み、堀北鈴音を貶め、直接対決も繰り広げた。グループ別特別試験では、綾小路清隆と同じ兎グループになる。ウソをつく時は、無意識に相手の目を見て話す癖がある。

葛城 康平 (かつらぎ こうへい)

高度育成高等学校の1年Aクラスに在籍する男子。クラスを統率する二大巨頭の一人で、大柄で筋肉質な体軀の持ち主。過去の病気により頭髪を失っているため、スキンヘッドにしている。優れた知性を誇り、病気というハンデを抱えながらも小学校の頃からトップクラスの成績を保ち、生徒会役員を務めたこともある。冷静な判断力と慎重さも持ち合せており、紳士的な態度ながらも少々傲慢な一面がある。Aクラスにおいては自らの支持派を率いているが、坂柳有栖と彼女を支持する派閥とはひそかに敵対関係にある。

坂柳 有栖 (さかやなぎ ありす)

高度育成高等学校の1年Aクラスに在籍する女子。クラスを統率する二大巨頭の一人で、高度育成高等学校の理事長の娘でもある。薄紫色のセミロングヘアで、リボンの付いた黒い帽子をかぶっている。Aクラスにおいては自らの支持派を率いているが、葛城康平と彼を支持する派閥とはひそかに敵対関係にある。お淑やかな見た目だが、慎重な康平とは正反対に大胆で攻撃的な性格をしており、敵対する者にはその天才的な頭脳を活かして容赦のない対応をする。先天性心疾患により体が弱く、運動を禁じられているため、一部の特別試験には参加していない。

戸塚 弥彦 (とつか やひこ)

高度育成高等学校の1年Aクラスに在籍する男子。葛城康平の派閥に属している。康平のことを慕い、彼からも信頼されている。Aクラスの生徒としてのプライドは高く、ほかのクラスの生徒を見下しがちなところがあり、特にDクラスのことは侮辱的な言葉で蔑んでいる。

橘 茜 (たちばな あかね)

高度育成高等学校の3年Aクラスに在籍する女子。生徒会書記を務める。紫色のセミロングヘアを二つのお団子にまとめている。生徒会長でありクラスメイトでもある堀北学を誰よりも信頼・敬愛しており、特別な感情を抱いている。

場所

高度育成高等学校 (こうどいくせいこうとうがっこう)

希望先就職率99.9%で、広大な敷地と最新設備が整っている名門の高等学校。毎月支給されるプライベートポイントを電子マネー代わりに活用できるSシステムを採用しており、髪型から私物の持ち込みまでかなり自由な校風として知られている。一見、多くの高校生にとって夢のような学校だが、実はすべてを実力で価値づけると同時に生徒同士を競争させている、完全実力主義のハイレベルな教育学校である。クラス分けは、入学試験の総合点数が高い順にAクラスから配属されていく。入学前の段階から能力の高い者は必然的にAクラスとなり丁重に扱われるが、低い者はDクラスに配属されるため、入学当初からのプライベートポイントにも開きが生じる。筆記テストよりも面接など個人的な人格が大きく左右されるため、Dクラスには多くの問題児が集まっている。これらのシステムを知らぬまま入学する生徒が多く、実際には希望する進路に進めるのはAクラスの生徒が中心となっている。学力や人柄が優秀であっても、過去に問題を起こした者や、人間関係に問題のある者は低いクラスに配属される一方で、綾小路清隆のように実力を隠して入学したために実力に見合わないDクラスに配属された者も、わずかながら存在する。通常の定期テストのほかに特別試験というクラスポイントが大きく上下する試験も不定期に開催されている。この特別試験では単純な学力だけでなく、身体能力やクラスのチームワークが問われる内容も多く、作戦・クラス間の駆け引きなどで結果が決まる。生徒の中でも特に優秀なごく一部の生徒が集まった生徒会は、生徒間の紛争を調停する裁判所のような機能もある程度担っているが、どこまでの権限を持つかは不明。

その他キーワード

無人島特別試験 (むじんとうとくべつしけん)

高度育成高等学校の1年生を対象に実施される特別試験の一つ。「自由」をテーマとしており、すべての生徒は、南の無人島で1週間のサバイバル生活を送る。クラスごとに分けられた状態で集団生活を送るが、食料や生活物資は試験用に与えられたプライベートポイントで購入可能。ただし、試験終了まで獲得・保持できたポイントは、2学期にプラスされるため、慎重に使用しなければならない。また、クラスごとに決められたリーダーはキーカードを携帯し、リーダーの正体がほかのクラスに知られたり、キーカードを紛失すると大きな減点につながる。

グループ別船上特別試験 (ぐるーぷべつせんじょうとくべつしけん)

高度育成高等学校の1年生を対象に実施される特別試験の一つ。無人島特別試験の終了後に豪華客船の中で開始された。テーマは「シンキング」で、人狼ゲームに似たルールとなっており、前回と打って変わって思考力が試される頭脳戦が繰り広げられる。AクラスからDクラスのすべての生徒を干支になぞらえた12のグループに分け、あらかじめグループごとに一人だけ選定されている「優待者」を、ほかのグループの情報を収集しながら特定していくという内容。前回とは異なりクラス対抗という考え方を破壊する内容だが、それでもクラスメイトとの協力は欠かせず、優待者になった者も慎重に行動する必要がある。試験期間が終わるまでは、優待者が誰かを予想するためにグループで集まって話し合うことが義務化されており、優待者予想はメールで学校に送る。

学生証カード (がくせいしょうかーど)

高度育成高等学校において、通常の学生証の役割のほかにプライベートポイントを電子マネー代わりに使用するためのカード。敷地内にあるすべての施設の利用や、売店の商品などを購入することができ、敷地内にある物であればなんでも購入可能。ただし学生寮は無料で、制服やテキストも無料で支給される。

Sシステム (えすしすてむ)

高度育成高等学校の最大の特徴にして、各生徒の学生生活や将来を大きく左右するシステム。卒業するまでのあいだ、各ポイントがリセットされることはなく、各ポイントが増減する理由は基本的に公開されておらず、生徒間で情報を出し合って見つけていくしかない。月に一度は、すべてのクラスのポイントが発表される。生徒個人がポイント増減の対象だが、いずれもクラスで総合した結果のみが適応される。校内で使える電子マネーの金額にも直結しており、努力した分だけ報われる一方、ポイントがマイナスに陥った場合はいっさいの支給が受けられなくなる。

クラスポイント

Sシステムで採用されているポイントの一つ。生徒個人ではなく、クラス全体を総合的に評価したポイント。試験結果や授業態度はもちろん、授業以外での行動も合わせて総合的に評価される。毎月支給されるプライベートポイントは、クラスポイントに応じた数が支給される。これにより優秀な生徒が複数いても、一部の不真面目な生徒が勝手な行動を取れば、クラスポイントは減点されていく。このため、生徒はクラスポイントを意識してクラスメイトと上手に連携し、クラスポイントが下がらないよう協力し合うことが必要不可欠となっている。

プライベートポイント

Sシステムで採用されているポイントの一つ。単位は「pr」で、1ポイントにつき1円の価値がある電子マネーとして、敷地内での衣服の購入や飲食、娯楽などに使用できる。プライベートポイントが必要ない時は他者に譲渡することも許可されており、生徒間での譲渡は自由にできるが、学生証カードがなければ出納ができず現金化などは不可能。毎月、月頭にクラスポイント×100円に相当するポイントが支給される。校則の範囲内であれば賄賂として利用することが可能で、情報収集や取引のために譲渡されることもあるが、詳細な通用範囲は不明。敷地にある売店に数量限定の特売品や無料の品もあり、さらには食堂には無料メニューが用意されているため、もしプライベートポイントを大幅に失ったり0になった生徒でも、最低限の学生生活は送れるようになっている。

クレジット

原作

衣笠 彰梧

キャラクター原案

トモセ シュンサク

書誌情報

ようこそ実力至上主義の教室へ 12巻 KADOKAWA〈MFコミックス アライブシリーズ〉

第1巻

(2016-09-23発行、 978-4040685502)

第2巻

(2017-01-23発行、 978-4040690391)

第3巻

(2017-03-23発行、 978-4040691206)

第4巻

(2017-07-22発行、 978-4040693033)

第5巻

(2017-11-22発行、 978-4040695327)

第6巻

(2018-04-23発行、 978-4040697475)

第7巻

(2018-11-21発行、 978-4040653211)

第8巻

(2019-06-22発行、 978-4040657042)

第9巻

(2020-01-23発行、 978-4040642970)

第10巻

(2020-08-20発行、 978-4040647890)

第11巻

(2021-06-23発行、 978-4046803825)

第12巻

(2022-02-22発行、 978-4046811257)

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