サンダー3

基本情報

池田祐輝の代表作にしてデビュー作。

要旨と舞台設定

現代を舞台に、平凡な男子中学生三人組の異世界「マルチバース」での非日常的な冒険を描いた物語。手塚ぴょんたろうを中心としたなかよし中学生トリオは、教師のドクから怪しいゲームソフトを借りたことをきっかけに、異世界での奇想天外な冒険の旅に臨むこととなる。

ストーリー展開

物語は、ぴょんたろうの妹、ふたばがマルチバースに迷い込み、宇宙人に誘拐されてしまうことから始まる。三人の中学生はふたばを助けるため、マルチバースでの冒険を開始。さまざまな困難に直面しながらも、それぞれが成長を遂げ、三人が友情を深めていく様子が描かれている。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、中学生という身近な主人公設定と非日常的な冒険要素を組み合わせたSFアクション。現代の中学生の視点から、異世界での不思議な冒険に挑む姿が描かれている。

作品固有の表現技法と特徴

作中では、物語の導入部分である第1話が76ページという大ボリュームで構成され、物語世界への導入と登場人物の関係性の確立に重点が置かれている。また、読者が物語の世界に没入しやすくなるよう、日常から非日常への転換が段階的に進行していく。

世界観の構築と設定

世界観は、現代の中学校生活を基盤とした設定が構築されている。主人公たちの日常における友人関係や学校生活が詳細に描かれており、これらの要素が冒険への導入部分で重要な役割を果たしている。また、冒険の舞台となるマルチバースについても独自の設定が組み込まれている。

連載状況

講談社「月刊少年マガジン」2022年6月号から連載。

受賞歴

2023年「このマンガがすごい!2024」オトコ編第4位。

「スモール3」と呼ばれる手塚ぴょんたろう、お茶の水ひろし、吾妻つばめはどこにでもいるふつうの中学生。ある日、三人が担任教師のドクから借りたディスクを再生したところ、家のテレビにリアルな異世界「マルチバース」が映し出される。その後、モニターからリアルなトンボが出てきて、彼らが目を離したスキにぴょんたろうの妹･ふたばとペットの犬がトンボを追いかけてモニターの中に入り込み、マルチバースの異星人に捕らわれてしまう。本作は、そんなスモール3が、ふたばを助けるためにマルチバースの地球人たちと力を合わせて異星人たちに立ち向かう姿を描く、パラレルワールドSFアクションとなっている。

異世界「マルチバース」は基本的に元の世界の人々が、同じ名前と場所で暮らしている。だが、現実世界とは物理法則が異なっており、「スモール3」や手塚ふたばは、マルチバースの世界では超人的なパワーやスピード、耐久力を発揮する。また、マルチバースの住人の見た目は元の世界とは違い、スモール3の存在はアニメのキャラクターのように見られており、どこへ行っても注目の的となっている。なお、作中では元の世界はデフォルメ調に、マルチバースの世界は写実的に描かれている。

異世界「マルチバース」の特徴に、「大帝」と呼ばれる指導者が率いる異星人の存在が挙げられる。彼らは動物の頭に巨大な人型の体を持ち、マルチバースの人間をはるかに上回る身体能力と軍事技術を誇る。そして、自らの力を誇示するように政府を懐柔して手懐け、些細なことで地球人を殺害するなど、暴虐の限りを尽くしている。そんな異星人に対抗しているのが、「リベリオン」と呼ばれる民間の抵抗組織。彼らは異星人から奪った武器や兵器のほかに、10分間だけ超常的な能力を発揮できる薬「ツヨクナール」を保持しており、異星人への反撃ののろしを上げる。リベリオンと異星人の争いは熾烈（しれつ）を極め、やがて「スモール3」もリベリオンに加勢して戦いに介入することとなる。