32人の魔女たちによるデスマッチトーナメント
本作で描かれるのは、「魔女千夜決戦(ヴァルプルギス)」という、32人の魔女によるバトルトーナメント。ここでいう魔女とは、人類700万年の歴史の中で、善悪関係なくその名を轟(とどろ)かせた女傑たち。具体的には、ジャンヌ・ダルク、巴御前、クレオパトラといった歴史上の人物。いずれも、悪魔女王、アグラット・バット・マハラットの招待を受け、死の間際に契約を交わした者たちである。魔女たちは尋常ではない「欲」の持ち主であり、このトーナメントは己の「欲」を賭けて行なわれる魔女同士の殺し合いである。アグラットの力で己の最も強い「欲」を叶(かな)えられるのは、たった一人の優勝者のみ。敗者たちの魂は輪廻(りんね)の輪を外れ、この世から完全消滅する。つまり、敗北即死のデスマッチなのである。
「徳」を賭け「推し魔女」を応援する大観衆
試合会場は、魔界の魔宴(サバト)闘技場。大観衆が見守る中、魔女同士、一対一のバトルが行なわれる。これらの試合は賭けの対象にもなっていて、観衆は自分の「推し魔女」を選び、自分の「徳」を賭けることができる。「徳」とは、たくさんあるほど高位の存在に転生できるポイントである。魔女には、事前投票による「魔女階位(ウィッチズ・オッズ)」が設定されていて、観衆は自分が賭けた魔女が優勝すれば「徳」が何十・何百倍にもなり、より良い来世が迎えられるという仕組みになっている。
魔法と魔装、二つの異能力で戦う魔女たち
魔女たちの戦いは、主に魔女特有の力によって行なわれる。魔女には大きく分けて二つの力がある。一つは己の「欲」を源として発露する異能である「魔法」。もう一つは「欲」を武器や鎧(よろい)にする戦闘装束「魔装」である。これらは、各自の「欲」やキャラクターに応じたもので、例えば「嫐(なぶ)ること」を喜びとする殺人鬼、『血』の魔女、エリザベート・バートリーの魔装は、無数の拷問器具が仕込まれた「血の伯爵夫人(カウンテス・オブ・ブラッド)」。魔法は「血魔法・朱殷の遊び部屋(レッド・プレイルーム)」という、巨大な鉄の処女(アイアン・メイデン)と宙に浮いた無数の拷問器具を出現させるもの。『豪』の魔女、巴御前の魔装は鎧甲冑(かっちゅう)と巨大な薙刀(なぎなた)「大刀一人千力(だいとういちにんせんりき)」、魔法は大型の弓を使う「禍断の空弓(まがたちのからゆみ)」である。
登場人物・キャラクター
ジャンヌ・ダルク
「無欲」という欲を持つ『無』の魔女。魔女階位(ウィッチズ・オッズ)は最下位で1065.0倍。魔装は、両手に十字架のような盾を持つ「無貌の乙女(ラ・ビュセル・ド・アンフィニ)。魔法は、相手の感情に共鳴して自分の能力にするもので、「無魔法・軌跡の聖乙女・紅蓮(ラ・ビュセル・ド・ラージュ)」と「無魔法・義憤の業火(フラム・デ・コレール)」。15世紀、フランス東部の農家の娘。12歳のときに神の啓示を受け、フランス軍に従軍。華々しい活躍を見せた後、最後は異端者として火刑に処せられる。死の間際に現れた悪魔により、別世界へと転移。32人目の魔女として、魔女千夜決戦(ヴァルプルギス)という、デスマッチトーナメントに参加することになる。幼少時より他人に従う人生を送っていたため、「欲」を持たないと思われていたが、「欲」そのものを欲する「無欲」の魔女であることが判明する。同名の実在人物をモチーフにしている。
アグラット・バット・マハラット
悪魔女王。魔女たちの「欲」が醜く激しくお互いを喰らいあい、大きくなるのを見たいという「欲」を持つ。32人の魔女を魔界に招待し、700万年越しの悲願である「魔女千夜血戦(ヴァルプルギス)」を開催する。「無欲」のジャンヌ・ダルクこそ、最もおぞましい「欲」を持つ魔女であることを見抜く。武則天との戦いで、期待以上の力を見せたジャンヌに脅威を感じる。
クレジット
- 原作
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書誌情報
魔女大戦 32人の異才の魔女は殺し合う 10巻 コアミックス〈ゼノンコミックス〉
第1巻
(2021-06-18発行、 978-4867202425)
第2巻
(2021-09-18発行、 978-4867202647)
第3巻
(2021-12-20発行、 978-4867202876)
第4巻
(2022-06-20発行、 978-4867203927)
第5巻
(2022-10-20発行、 978-4867204313)
第6巻
(2023-02-20発行、 978-4867204672)
第7巻
(2023-07-20発行、 978-4867205259)
第8巻
(2023-11-20発行、 978-4867205884)
第9巻
(2024-03-19発行、 978-4867206287)
第10巻
(2024-07-20発行、 978-4867206690)