概要
1976年7月10日、北イタリアのセベソに暮らす少女ジュリアは、友人たちを招き自宅の庭でささやかな11歳の誕生日パーティを開いていた。その時、轟音と供に北方の空に巨大な黒煙が吹き上がり、付近には白い微粒子が降り始める。
2キロほど離れたところにあるイクメナ化学工場で爆発事故が起きたのだ。事故後工場は、流出物の害は一時的なもので長期的な心配はない旨を発表する。だが付近では、小鳥や鶏など小動物の急死が増え、動物病院はペットを連れた住人たちでごったがえした。
ジュリアは仲間たちとセベソ少年探偵団を結成し、原因究明にのりだす。そんなときジュリアたちは爆発事故の取材に来ていた日本からの特派員安藤史郎から、事故で流出したのが猛毒のダイオキシンであったことを知らされる。
そしてセベソの町の住人たちにも、健康被害が広がりだした。
登場人物・キャラクター
ジュリア
北イタリアの町、セベソに暮らす快活な少女で陸上クラブに所属。11歳の誕生日に、イクメナ化学工場爆発事故が発生。工場側の説明とは裏腹に不穏な死の影が忍び寄る中で、仲間達とセベソ少年探偵団を結成し、独自に事件を究明しようとする。
アンナ
ジュリアの姉で、夫アントニオとの最初のこどもを妊娠中。ダイオキシンの影響で胎児に畸形が頻発することを聞き及び、カトリックでは禁じられている中絶をするかどうか思い悩む。
アンジェロ
陸上クラブに所属するジュリアの友人。事故後にジュリアとたちとセベソ少年探偵団を結成する。
ソニア
アンナの隣に棲む老婦人。自らもダイオキシンの影響で病床に伏せりながら、出産への不安を抱えるアンナを励ます。
ルチオ
陸上クラブに所属するジュリアの友人。事故後にジュリアとたちとセベソ少年探偵団を結成する。兄はアンナの夫で獣医のアントニオ。
マリア
ジュリアの友人。事故後にジュリアとたちとセベソ少年探偵団を結成する。可愛らしい美少女だが、やがてダイオキシンの影響で顔に発疹ができ、誰ともあわなくなってしまう。
エンリコ
陸上クラブに所属するジュリアの友人。事故後にジュリアとたちとセベソ少年探偵団を結成する。父親は市長のカーロ。スイスにあるイクメナ化学工場の親会社の説明に疑問を持ち、後に安藤史郎と共に親会社の糾弾に向う。
安藤史郎 (あんどうしろう)
事故の取材のためセベソを訪れた日本の新聞社の特派員。事故の究明に乗り出したジュリアたちに協力し、事故で放出されたものがダイオキシンであったことを示唆する。
その他キーワード
ダイオキシン
『いのちの地球 ダイオキシンの夏』に登場する科学物質。正式名称はポリ塩化ジベンゾーバラージキンで、これにポリ塩化ジベンゾフラン、ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニルを併せてダイオキシン類と総称される。 きわめて毒性の強い化合物で、生物や人間に様々な健康被害を及ぼし、果ては死に至らしめることおある。その持続性の強さ、解毒の困難さは、放射能に匹敵するとも言われている。ベトナム戦争で米国が用いた枯葉剤の材料であったことでも知られる。
イクメナ化学工場 (いくめなかがくこうじょう)
『いのちの地球 ダイオキシンの夏』に登場する施設。セベソの北2キロにある小さな街メダにあった化学工場。反応ガマの爆発事故で大量のダイオキシンを飛散させてしまう。工場側は当初飛散した物質は、害の少ないトリクロロフェノールだったと発表し、ダイオキシン汚染の事実は隠されていた。 また工場の安全管理は杜撰で、また開設時期も古いために、周囲には工場が危険物を扱っているこをほとんど知られていなかった。 現実の企業の正式名称はICMESA (Industrie Chimiche Meda Societa) 社で親会社はジボダン社。
クレジット
- 原作
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蓮見けい
- 監督
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出崎哲
- 脚色
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小出一巳 , 末永光代
- 総作画監督
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清水恵蔵
- 音楽
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長谷川智樹 , カンパニーAZA
- アニメーション制作
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マジックバス