かわいすぎる男子がお家で待っています

山本麗央と飯尾遥希は、韓国アイドルグループ「メビウス」のライブをきっかけに知り合ったオタク友達。OLの麗央とフリーターの遥希は、6歳の年齢差があり性別も異なるものの、気の合うオタ友として交友を育んでいた。そんな中、麗央はヒモの彼氏に逃げられ、遥希はアルバイト仲間を殴ってクビになり収入源を断たれたことから、二人は同居生活を開始する。当初は互いに異性として意識していなかった二人は、同居生活を機にオタク活動にさらに深くのめり込み、オタク愛にあふれた楽しくにぎやかな日々を送ることになる。

当初、麗央は遥希のことを仲のいいオタ友としか見ていなかったが、同居生活を送るうちに、彼の多くが謎に包まれていることに気づく。そんな中、遥希の妹でブラコンの夏羽の襲来や、元彼の町田諒太との再会をきっかけに、遥希が役者を目指していること、有名俳優の伊上陽介の甥であること、複雑な家族関係にあることなど、彼の生い立ちを少しずつ知っていく。一方、遥希も麗央の社会人としてのスペックの高さを知り、私生活で見せるギャップから彼女に惹かれていく。自らが中途半端な存在であることを認識した遥希は、麗央に見合う人間になろうと決意し、努力を重ねるようになる。そんな彼の姿に、麗央はやがて自分の中にある思いに気づくものの、これまでの男性遍歴がトラウマとなり、どうしても一歩を踏み出せない。そんな二人のじれったいながらも少しずつ進展していく恋模様が、本作の見どころとなっている。

高校時代、家族や交友関係に問題を抱えていた遥希は、役者になるという夢をかなえるために裕福な家を出た。その後、遥希は麗央と出会い、彼女に惹かれると同時に、夢の実現を確固たる目標に定めることになる。そんな彼の前には、恋のライバルのように振る舞い危機感を煽（あお）りつつも、さりげなく遥希の背中を押す諒太や、麗央と遥希を美男美女カップルとしてセットで推す女子高校生の佐倉もえなど、多くの協力者が現れる。彼らとの出会いの一部は麗央がもたらしたものであり、遥希にとって麗央は思い人であるだけでなく、自らが飛躍するための大きな存在にもなっていく。そして最後には、二人が出会うきっかけを作った韓国アイドルグループ「メビウス」のメンバーが、遥希の夢の実現に重要な役割を果たすことになる。本作はラブコメディでありながら、一人の男性が少年から脱皮し、周囲の人々に支えられながら夢をその手につかむまでの成長譚でもある。